【4886・87号】2018年 在日大韓基督教会 日本基督教団 平和メッセージ

2018年平和聖日

日本基督教団 総会議長 石橋秀雄

在日大韓基督教会総会長 金 鐘 賢

平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。 (マタイによる福音書5章9節)

 わたしたちは、主イエス・キリストを救い主として、世にあって教会に呼び集められ、そして主イエス・キリストの名によってこの世に「平和を実現する」(マタイ5・9)使命を帯びて遣わされている教会であります。この信仰的自覚に立ちつつ、わたしたちは、今遣わされているこの時代の世にあって、国家の政治の道が聖書の指し示す平和の道に反すると判断した時、黙認することなく、預言者の心をもって警鐘の声を挙げずにはおられません。

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 共謀罪について
 「剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。」(旧約聖書イザヤ書2章4節)

 衆院・参院本会議において、多くの反対の意見が表明されている中、十分な審議の時間を持つことなく、組織的犯罪処罰法改正案を可決した(2017年6月)ことに強く抗議します。

 同改正において新設される「テロ等準備罪」の実質的な内容は、過去三度廃案となった「共謀罪」そのものです。そもそも同改正自体、憲法第31条に謳われている罪刑法定主義に反しています。また、その内容については、処罰の対象者が極めてあいまいで、一般人が処罰の対象となる可能性を排除することはできません。

 さらに、この改正により、いわゆる「監視社会」体制作りが進められることが懸念されるほか、個人の内心の自由の侵害が現実のものとなること、また、市民の自主的で自由な活動が委縮してしまうことが予想されます。

 わたしたちは、日本が、「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」との聖書の教えに学び、世界の国々相互の信頼関係を構築し、積極的に平和を実現していくための不断の努力と取り組みを続けることを強く求めます。

大嘗祭について
 来る2019年4月に現天皇が退位し、5月に新天皇が即位します。わたしたちは、天皇の代替わりに伴う儀式として予定されている大嘗祭について、以下の点から反対を表明します。

 わたしたちは聖書の教えと信仰告白に従って、ただひとりの神を信じます。「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。」(出エジプト記20章3節) 従って、天皇を神格化するような祭祀を認めることはできません。

 大嘗祭を国による行為として行なうことは、日本国憲法の保障する信教の自由、政教分離の原則に違反します。

 前回の大嘗祭には、国費が支出され、三権の長が出席しました。国事と皇室祭祀とは明確に区別すべきです。

憲法改正について
 過去四半世紀の日本の政治の流れを振り返るとき、わたしたちは大きな危惧を抱かずにおれません。

 特に、今日では憲法第9条をはじめとする改憲の動きを一層強めています。安倍政権は、『教育勅語』の学校教育教材採用を容認する答弁書を閣議決定しました。さらに、戦前に国民の内心の自由、表現の自由、集会結社の自由を脅かす弾圧装置として機能した治安維持法と酷似する「テロ等準備罪」(共謀罪)法案を成立させ、それは施行されることになりました。

 これら一連の政治の動きを通して、基本的人権と平和主義の理念に立つ現行憲法に支えられてきたこの日本は今、自由と人権を尊重する民主主義と平和主義、そして国家権力の暴走を防ぐ立憲主義を崩壊させつつあると、わたしたちは認識し、強い危機意識を持つと共に、憲法改正の動きに反対します。

ヘイトスピーチ根絶に向けて
 現在日本に住む外国籍住民は200万人を超えています。またグローバル化の時代、旅行者だけ数えても、日本から海外へ行く人々は一年間に2000万人近く、逆に日本を訪れる外国人は3000万人に迫ろうとしています。このことは、日本、そして世界は様々な局面で外との交流なしには成り立たないということの証左であります。

 そのような中、日本の国内では、相も変わらず在日コリアンをはじめとする在留外国人、特にアジア人に向けての偏見に満ちたヘイトスピーチが止みません。二年前に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律」(いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」)が施行されたものの、法律自体が何の罰則を科さないものであり、そのすきを突くような形でヘイトスピーチは巧妙化しています。

 神は人をその姿に似せて作られたと聖書にあります。ヘイトスピーチはその人間の尊厳、霊的な部分を深く傷つける罪に他なりません。一日も早く、このような愚かな行為が日本、そして世界から根絶されるよう、わたしたちは祈りと必要な行動を共にして行きます。

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 日本基督教団と在日大韓基督教会は、以上のような信仰的立場を共有しながら、1984年2月に和解と協力の宣教協約を締結し、今日に至るまで、福音伝道に協力し合いながら世の平和に仕え歩んでまいりました。今後もわたしたちは、朝鮮半島において和解と平和を希求する活動に対して積極的に呼応しながら世界の平和、核兵器の無い平和な世界を目指します。

 主イエス・キリストの恵みと平和が、すべての人の上にありますように。

【4886・87号】▼社会委員会▲震災3年目の熊本を訪問

 第5回社会委員会が6月25~27日、熊本で開催された。

 一日目、在日大韓基督教会熊本教会にて、松本敏之教師による開会礼拝の後、九州教区救援対策本部委員長、日下部遣志教師(九州教区副議長・川内教会)が「熊本・大分地震に対する九州教区の働き」と題して報告をした。

 続いて九州教区との復興支援の共働関係にある、在日大韓基督教会「エルピスくまもと」のセンター長、金聖孝教師(在日大韓基督教会熊本教会)が活動報告をし、質疑応答の時を持った。震災対応の初動から今日まで続けられる活動に関して実際の声を聞くことが出来た。支援の継続と、これからも憶え続けて行くことの重要性を感じさせられた。

 二日目、錦ヶ丘教会にて会議を行い、以下を協議。⑴「社会委員会通信」第50号発行に関して、内容を検討した。発行は2018年11月とする。⑵第41回教団総会、報告書作成に関して、内容を検討した。

 続いて川島直道教師(錦ヶ丘教会)が錦ヶ丘教会における震災対応と現状について報告をした。「復興支援の『愛の業』。そこには『共感性』と『継続性』という二つの面がある。神の、人間の痛みへの共感において、私たちの果たす隣人への共感の在り方が教えられる。それは神の愛の永遠性に基づく時にこそ、継続した『愛の業』となる。だからこそ、今の時、教会における礼拝、御言葉と聖礼典に与り、祈ることが必要である」と語り、印象に残った。

 報告の後、被害のあった熊本城と、益城町を視察した。

 三日目、御船町仮設住宅における「エルピスくまもと」の傾聴カフェに参加した。心の交流の場である傾聴カフェの存在が、困難な生活の中にある方々にとって、どれだけ大きな力となっているか実感させられた。 (石井佑二報)

【4886・87号】▼「牧会者とその家族のための相談室」設置準備委員会▲相談室設置、常議員会に提案

 6月25~26日、第3回「牧会者とその家族のための相談室」設置準備委員会を教団会議室にて開催した。教団にこの相談室が設置されるために慎重に準備と討論を重ね、以下のことを決議した。

 第6回常議員会に「牧会者とその家族のための相談室委員会設置に関する件」を議案として提出する。委員会は、宣教委員会の下に置かれる。

 委員会の目的は、牧会者とその家族に対する魂の配慮と精神的ケアなどの実際的問題に取り組むためであり、設置期間は第40総会期とし、第41総会期以降も継続して行うこととした。活動計画として、一つは牧会者とその家族のための電話相談窓口の設置である。相談員により、週1回の電話相談を予定している。

 もう一つは全国交流会の開催である。「障がい」を考える小委員会主催で、「牧会者ならびにその家族の精神的ケアを考える」を主題に2010年、2014年に開催した。今年10月に第3回を開催予定である。相談室委員会設置の後は、そこで培われたものを受け継いでいきたい。

 2009年より「障がい」を考える小委員会において、牧会者とその家族の自死や精神的疲労、およびそれに伴う教会の崩壊的状況といった深刻な問題が協議され、精神的ケアの取り組みが急務であると同時に、その重要性が確認されてきた。宣教委員会は、このことを「宣教に関する重要な事項」と認識し、より専門的な委員会を設置して、牧会学的な基盤をもとに、具体的な魂の配慮と精神的ケアを行っていきたい。

 ここで重要なことは、問題を解決することではなく、問題を受け止めていく中で、主イエスの福音に立ち帰れるように導くことであり、伝道の業としてなされることである。このことも確認と共有をしていきたい。

 長期にわたって運営するために、宣教委員会において相談室継続の申し送りをすることとした。 (堀眞知子報)

【4886・87号】教区議長コラム♦ 京都教区 ♦ 入 治彦 教区センターに新しい教会の設立を

 京都教区は2014年度総会決議により、京都教区センター土地建物を教団特別財産から宗教法人日本基督教団京都教会へ移管しました。それまで長期間かけて教区は、安定的に活用できるセンターの将来像を模索してきましたが、最終的に教区内の宗教法人教会への土地建物移管の方向を願いました。そこから移管受入の依頼を教区から受けた京都教会は役員会として、教区が移管受入れを望むなら、財政など教区の利害関係のためだけでなく、教区による宣教のヴィジョンを示してほしいと要請しました。それに応えて「宗教法人京都教区センター教会(仮称)」を10年後設立し、同教会にセンター土地建物を再移管することで安定的にセンターを宣教に活用する方針を教区総会で決議しました。

 センターでの宗教法人教会設立に向け、2016年度より毎月第3土曜2~3時半の礼拝・懇談をセンター礼拝室で開始して3年目です。青年たちの朗読劇による礼拝、現代的ワーシップ(賛美)音楽礼拝、バザールカフェ(教区と市民の協働で社会的マイノリティー支援を行うコミュニティーカフェ)関係者の立証など、様々な礼拝を続けてきました。

 この礼拝では、教区内の多様な人材による司会や説教、祈祷や賛美に触れることができ、出席者は毎回新鮮な刺激を受けています。現在25名前後の出席で、「礼拝共同体」としての絆が育まれてきています。この新しい礼拝につながり、将来ここに教会籍を移したいという人も現れました。今後、伝道所設立に2年、二種教会設立に3年、宗教法人教会設立に3年をヴィジョンとして、決して簡単ではない教会設立の実現を祈り求めています。今後も近隣の大学生、留学生との協力や、テゼの礼拝など実験的な宣教の形も模索したいと願っています。 (京都教区議長)

【4886・87号】消息

石川兼子氏(隠退教師)
 18年5月20日逝去、81歳。神奈川県生まれ。61年同志社大学神学部卒業。71年より宿河原伝道所(75年から教会)を牧会し、10年隠退。
 遺族は娘・石川ユリさん。

 

中村民男氏(隠退教師)
 18年6月25日逝去、85歳。東京都生まれ。61年青山学院大学大学院卒業。同年より亀戸教会を牧会し、09年隠退。
 遺族は妻・中村洋子さん。

 

齊藤昭夫氏(隠退教師) 
 18年6月30日逝去、91歳。秋田県生まれ。54年東京基督教神学専門学校卒業。55年より武蔵野、高岡、熊本坪井(75年から錦ヶ丘)教会を牧会し、02年隠退。

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