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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【 5011・12号】社会事業奨励日メッセージ(2面)

2023年12月23日

“キリスト教社会事業を覚えて祈る日”に寄せて

 社会事業とは社会援助を必要とする方々への組織的な援助活動であるが、では現在わが国において、キリスト教社会事業の存在意義はどのような形で具現化されているだろう。
 「キリスト教社会福祉が果たした役割は…人間の尊厳そして“このひとりの人”を見ようとした人間の精神史」であり「近代化の悪に対抗する人間愛の戦い」「他者への痛覚の発露」でもあった。(秋山智久『社会福祉実践とキリスト教』)この視座が潰えたわけではない。
 しかし、なぜキリスト教界が社会問題を扱うのか…との問いは、決して過去のものではない。教会の本懐は伝道にあるという主張は変わらず周辺で耳にする。そのたびに私は、キリスト者とは何かを反芻する。現実社会で起こるさまざまな問題が私たちの上に降りかかり、生命の尊厳・人としての権利そのものが脅かされそうな時、ひとりの人間としてこれを看過することなど到底できない。ましてや福音的視点からも理屈を越えて、他者の痛みをわが内に感じたいとも願う。これが問題に向き合う発露となる。
 社会問題は「知る」ことから始まる。その問題と自分との距離感を認識することが次の作業となる。自らの中に一度は取り込み、自覚的にその問題を捉え直すことによって、はじめて問題に向き合うスタートラインに立てるように思う。私たちひとり一人が向ける真摯なまなざし、これこそがキリスト教社会事業の推進力となるのではなかろうか。
 今年も12月第1主日は「キリスト教社会事業を覚えて祈る日」として備えられている。変遷する社会情勢を受け止めながら、さまざまな分野でキリスト教社会事業に携わってこられた方々の尊いお働きに心から感謝しつつ、全国の教会に連なるキリスト者の篤い祈りに支えられた豊かな事業の展開を願い続けたい。

2023年12月1日
第42総会期日本基督教団
社会委員 金子直子

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