台湾ユースミッション
8月29日〜9月5日
台湾基督長老教会のもと、台湾ユースミッションが8月29日から9月5日まで、日本側から7名、台湾側から7名の青年が参加して台北および台南で実施されました。
テーマは「沈黙」です。遠藤周作の同名の小説でも扱われたように、人間は時としてこの世の不条理に対して神が「沈黙」しているように感じることがあります。近現代の台湾を生きてきた人々にとっては、日本統治時代、戦後の一党独裁政権下での人権弾圧を通してこうした不条理に遭遇してきました。主催者である長老教会青年幹事の李信仁牧師は、台湾の凄惨な過去の歴史が残る地を巡り、そこで生じたように見える「沈黙」に思いを至らせることで、自らの信仰の糧にしてほしいと語っておられました。
プログラムではまず、前半の4日間をかけて台北周辺の展示施設や教会を巡りました。博物館については、国民党政権による白色テロのきっかけとなった事件を記念する二二八国家記念館、政治犯の収容所を再利用して設立された国家人権博物館の他、中華民国初代総統である蒋介石を記念して作られた中正記念堂、台湾の歴史や自然に関する資料が多数展示されている台湾国立博物館を訪問しました。また、教会は長老教会本部を皮切りに、白色テロの事件現場となった住宅跡に建てられた義光教会、カナダ人宣教師マカイにより台湾北部で最初に設立された淡水教会、立法院の隣にある済南教会を訪れました。
旅の後半では台南に移動しました。日曜日にはマックスウェル宣教師が設立した太平境馬雅各記念教会を訪問し、主日礼拝(台湾語)に出席しました。その他現地教会の会員である日本人女性や、日本基督教団から派遣され、台南神学院で教鞭をとる高井ヘラー由紀先生=ヘラー・ダニエル先生のご家族とお会いし、日本と台湾の教会事情などについて伺うことができました。最終日には互いの国の文化を紹介するミニセッションを行い、日本語、琉球語(琉球方言)、英語、中国語、台湾語、原住民語の讃美歌を歌って閉会となりました。
様々な場所を巡りましたが、参加者各々がじっくり考える時間があり、かつ緩やかで形式にとらわれない雰囲気も手伝って他の参加者と心を開いて話す機会が何度もありました。
また、台湾の教会の皆様の温かいおもてなしのおかげで、互いの国・教会の歴史や伝統、教会が果たす社会的な役割について理解や関心を深めることができました。特に印象に残ったのは、台湾の教会における若者の存在感、社会問題に対する積極的な取り組み、教会の中の言語事情等々です。
事前準備も含めて他の日本側の青年との交流も私にとっては大きな刺激を与えられるものとなり、様々な点で非常に実りのあるプログラムになりました。
最後に、今回の渡航に際しご支援とご協力を賜りました日台の教会の皆様に心より感謝申し上げます。今後の両教会の交わりと一致のための取り組みが益々豊かなものとなることを祈っております。
(仲渡千宙報/広島教会員)