多元的な教団
西岡昌一郎
北海教区には、かつて新日基の集団離脱という経験があった。記録によれば、一八教会、二六一八人の信徒が離脱した。この数は、当時の北海教区において、教会数では四〇%、信徒数では四五%にあたる。これだけ大規模な離脱を経験した教区は他にない。
この集団離脱は、「信仰告白」や「教会観」の考え方が原因だとされる。一致の要となるはずの「信仰告白」が、相互の教会を豊かに結び合わせる力とはならず、分裂の力として作用したのだ。
教会観の一致がなくては、一緒に伝道はできないという主張がある。これは特に信条主義的な教派の教会で見られる考え方だ。しかし教団は、そのような立場に立つ教会だけでなく、多様な立場を認めて歩もうとする教会も多い。これが合同教会(きわめて未成熟だが)としての教団の実際である。
「教憲教規」も、その受けとめ方は各教会で多元的である。厳密にこれを守る立場もあれ……
第四回信仰職制委員会は、一月二六日(木)~二七日(金)、教団B会議室で行われた。式文改定小委員会より、結婚・葬儀・主日礼拝式文の試用版を、信仰職制委員会編として出版することが、常議員会で承認されたとの報告がなされた。それを受けて、なお細部の文面を検討することとなった。
今回も三つの諮問の答申に時間を要した。
①A教会より、教会規則中の「信徒」の用語を全て「教会員」と変更したい。幼児バプテスマを受けた乳児を「信徒」と呼ぶ現行規則において、父母の信仰に基づいて受洗したにも拘らず、あたかも乳児本人が既に信仰を有した人物であるかのように解釈できる。規則変更承認申請は可能か否かとの諮問があり、以下答申した(要約)。教憲、教規は、幼児バプテスマを受け、まだ聖餐に与ることが出来ない「未陪餐会員」をも含めて、バプテスマを受けた者を「信徒」と呼称している。教会規則(準則)はこの教憲、教規に則って制定され……
第34総会期第四回伝道委員会が、二月六日~七日に、若草教会(金沢市)と問安教会である恵泉教会(かほく市)で開催された。
第三回伝道委員会議事録
承認後、会計、第三回常議員会、宣教委員会、「こころの友」「信徒の友」編集委員会、「働く人」編集委員会の諸報告を承認した。
協議事項は、二○○五年度予算の修正を協議、承認した。二〇〇六年度伝道委員会予算案を承認した。
二〇〇六年度開拓伝道援助金申請は八件で、二○○○万円であったが、協議の結果、次のように決まった。新得教会(北海教区)一二〇万円、男鹿教会(奥羽)一八〇万円、水元伝道所(東京)一七〇万円、武山教会(神奈川)七〇万円、蒲原教会(東海)一二〇万円、恵泉教会(中部)一八〇万円、城辺教会(四国)一八〇万円、名瀬教会(九州)一八〇万円の合計一、二○○万円。
伝道力強化のため開拓伝道援助献金の一層の拡充が切望される。
資金援助実施要綱に「……
第七回「新潟県中越地震」被災教会会堂等再建支援委員会が、関東教区の要請を受け、被災教会の一つ長岡教会で開かれた。
一月三〇日(月)長岡駅へ一時に集合。二時より長岡教会での被災五教会連絡会議に、当再建支援委員会のメンバーも出席させていただいた。
この冬の大雪で屋根に新たな被害が出ていること、積雪で崩壊の恐れがあるため付属施設で礼拝を守っている、などの報告と共に再建という大きな事業への不安も窺い知ることとなった。そのような中で、十日町教会牧師館は解体・撤去を終え、再建計画を進めている。また見附教会は、液状化により地盤崩壊を起している現在地に代わる土地を取得したとの嬉しい報告があった。しかし、主任教師である和泉啓三牧師は体調不良のため長期療養中で、熊江秀一新潟地区長(新津教会)が代務をされている。資金の目処が立たないまま再建計画を考えるのは、大変不安なことであろうと拝察する。
再建支援委員……
教憲第9条検討作業委員会の小林眞委員長は、長文の委員会報告を配布し、これに基づいて以下のように委員会活動を概略した。
先ず、現行教職制度について、教団成立時の拙速さ等が原因で幾つかの課題が未整理であることは否めないとし、所謂「二種教職制度」は、教職と信徒の区別を、基本的には「聖礼典の執行の可否」におくプロテスタント教会としては本来なじまない制度だが、多少急いだ教会合同の流れではやむを得なかった措置であったと思われるという考え方を述べた。
その上で、59年に「教憲改正特別委員会」を設置して以来の、改正への努力がなされて来た経緯・歴史を概説した。
また次のように「作業委員会」の協議を総括した。
第34総会期第二回常議員会で、本委員会がこの課題を様々な角度から検討した結果、その作業推進の困難さの故に、作業継続をほぼ断念する「中問報告」を提出した。しかし常議員の意見もあり、更に検討を加え、……
二日目午前、「セクシュアル・ハラスメントの防止等に関する規則制定の件」が上程された。教会内でのセクシュアル・ハラスメントの訴えに対して、教団が相談窓口を設置して被害者の相談に応じ、必要な調査、調停を行う事、調査委員会や専門家の関与などを盛り込んだ手続規定が提出され、活発な議論の後、継続審議となった。
提案者である山北宣久議長は、提案理由で「教団としては、教団諸教会において起こることの防止および相談・苦情への窓口の設置、またセクシュアル・ハラスメントが生じた場合の迅速かつ適切な対応がとられることの準備」の必要性を訴え、議場への補足として「常議員会の中でも、この規則の制定については課題であった。今まで教団は後手に回ってきた。教団で負いきれないところを教区なども関わってくれていたことに感謝する。今回の規定の作成については、すでに規則がある学校や専門家の意見も聞いた。組織的にどう責任をとるか。形……
二日目午後、合同のとらえなおし関連の議案が一括上程された。
今回も、沖縄教区との関係回復に向けた状況は相変わらず厳しいことが認識され、これを何とか打開したいとの思いから一つの提案が常議員から出され議論が交わされたが、具体的な実りには至らなかった。
まず山北宣久議長が、七月三一日付で山里勝一沖縄教区議長にあてた書簡を朗読した。書簡の趣旨は次のような内容だった。「二月一三、一四日の常議員会が招集されています。今回も、沖縄教区との関係をめぐって討議され祈りを合わせることが中心となろうかと思います。教団と距離を置くという姿勢が続いていること、そうした現実をもたらせてしまっていることについて痛みを覚えております。しかしそれ故にこそご出席下さり、今思っていることをお話しいただきたいと切望する次第です。教団総会議長個人としても訪問する用意が常にありますので、会見をご一考下さい。新しい主の年二〇〇六年……
日程二日目に入り、「阪神大震災救援募金(第一次募金)終了に関する件」が山北宣久議長より提案された。
議案は「第一次募金を終了する。募金残金四、三三一、〇一二円は『新潟県中越地震』被災教会会堂等再建支援募金に繰り入れる。『地震・教団』の残部は廃棄処分とする」。
提案理由を要約すると次の通りである。
第29総会期第一回常議員会において「募金については三役会で決めた」ことに基づいて「教会・地域のために一億五千万円」と議決した。第30総会期に口座を閉じることが決められたが、その一方で、送金されてきたものは受け入れるとされ、事実上今日まで継続されてきている。
第一次募金の総額は約二億八千万円になる。常議員会は第32総会期に最終監査を行ったが、常議員会が監査を行ったのは九七年度分からであり、九五、九六年度の約二億五千万円については監査が行われていない。
阪神淡路大震災は、その被害を前にして、……
第34総会期第四回常議員会は、二月一三日午後一時三〇分から二日間、教団会議室で開会時三〇人中二九人が出席して開催された。
総幹事報告で竹前昇総幹事は、兵庫教区から阪神大震災救援第二次募金の会計報告(05年9月末現在)を受領したことを報告し、「収入合計一億四、九二四万円余。貸出金一億一一八万円、現預金四、〇八四万円余(返済分)。個人貸付返済完了三八名、返済中四五名、死去四名。教会貸付返済教会九、返済中一五教会」となっていることを明らかにした。 これに対し、「常議員会の議決により集めた募金であり、返済分は教区にではなく、教団に戻すべき」「兵庫教区は貸付に当たって契約書を交わすべきだった」「貸付金は何年で完済予定なのか。死去者への請求はどうなるか」「常議員会で給付の意見が大勢であった中で、当時の兵庫教区議長が貸付を主張して決まった経緯がある」「総幹事は緊急事態に陣頭指揮をするのであり、常時指揮……
教団の根幹に関わる議論
今常議員会で協議された案件の大半は、過去三回の常議員会は勿論、前総会期更にそれ以前の総会期から継続的に取り扱われてきた事柄である。時間をかけてきた分進展し解決或いは解消の方向に向かっている、とまでは言えないかも知れない。しかし、従来に比べて議論が深められ、対立点が明確になって来たようにも見える。少しずつであっても、積み重ね、時には更地に戻し、これが教団の未来を築くための基礎を固める業になるようにと祈るのみ。所謂「沖縄教区との関係回復」の課題も同様で、秋の教団総会開催を見据えるならば時間的リミットがあるが、焦らずに真の解決をこそ願う。