新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)がおさまりそうもない。ドイツ在住の作家、多和田葉子さんが「コロナ・テスト」と表現していたが、今や世界のシステムのあらゆる要素に深刻な問いが突き付けられテストされている。教会も例外ではない。この事態の中、教会はどうふるまうか、何をしているのか、教会とは何なのか、深刻に問われている。
中世ヨーロッパで「黒死病」が流行した際、各地の修道院が病人の看病に尽くした一方で、わが身を守ろうと逃避した上級聖職者も多かったという。彼らへの不信感が後の宗教改革にも影響したとの指摘もある。
さかのぼって三世紀にローマ帝国を襲ったパンデミックは、当時まだ少数派だったキリスト教の進展をうながしたと言われている。疫病のもたらす死を神々の懲罰と恐れ、感染者が手当てもされず放棄される中、キリスト者たちは死を恐れず隣人たちの看病にあたった。それによってキリスト教への信頼が高……
賛美において 分かち合う日まで
加藤 功子さん
病気でしばらく休んだ後、礼拝に行くと驚くことがあった。エレキギターを大音量でかき鳴らしている男性がいた。聞けば奥さまを亡くされたが、その無二の友人が教会員にいて、追悼の思いを携えて来て何週かギターを礼拝後に披露しているというのだ。
圧倒される教会員も多かったが、加藤さんは心惹かれるものがあった。
若い頃からクラシックギターの音色が好きで、楽器も手には入れていた。何十年も放ったらかしであったが、ふと再び手に取ってみた。つま弾く音色は美しく、本気で習いたい思いが湧き上がった。くだんの男性に弟子入りを申し込んだ。
メキメキ上達……というわけには、決していかなかった。新しいコードを押さえるのも、ままならない。
加藤さん曰く「Fのコードは、汚いですね」。
師匠曰く「そりゃあなたの押さえ方が汚いんだ」。
遅々たる歩みながらも、大いに笑い……
「緊急事態宣言」の解除が出されました。未だ油断することは出来ませんが、新型コロナウイルスによる感染拡大が一時的に収まりつつあることに感謝をささげます。
この2ヶ月近くの間、諸教会・伝道所、関係団体・学校の教師と信徒および教職員の方々におかれては、本当に厳しい日々を送られたことと思います。
わたしたちプロテスタント教会の命である『礼拝』を守るために、この期間、祈りと力と知恵を尽くし続けました。ある教会は「苦渋の決断の中で、礼拝を休止しました」。ある人は「神の愛の業として、感染者にならないために、礼拝へ出席することを控えました」。
一つひとつの教会・伝道所が、学校・団体が、そして、そこに生きる一人ひとりが、神への信仰の決断の下、様々な選択をされたことと思います。そのすべてにおいて、主の豊かなる顧みがありますようにと祈ります。
教団としては、4月10日付で『新型コロナウイルス感染拡大防止……
逝去
西尾市郎(うるま伝道所主任担任教師)
20年4月6日逝去、72歳。岡山県生まれ。76年農村伝道神学校卒業。同年より信濃町、真和志教会、うるま伝道所を牧会。
遺族は妻・西尾照子さん。
寺尾龍彦(無任所教師)
20年5月4日逝去、67歳。石川県生まれ。81年東京神学大学大学院卒業。同年より山田、愛知守山教会を牧会し、金城学院中・高等学校に務める。遺族は妻・寺尾恵理子さん。
糸井国雄(隠退教師)
20年5月22日逝去、77歳。東京都生まれ。72年同志社大学大学院卒業。73年より霊南坂、岩国東、錦林教会を牧会し、09年隠退。遺族は妻・糸井そのえさん。
河野 修(隠退教師)
20年5月30日逝去、93歳。埼玉県生まれ。52年日本聖書神学校卒業。同年より池袋西、本所、松山榎町、松山山越教会を牧会し、98年隠退。遺族は息・河野聖使さん。
野本益世(別帳教師)
20年5月30日……
COVID-19への教会の対応
神奈川教区議長 三宅宣幸
COVID-19による肺炎に、教会が対応しようとするとき、多くの困難が伴う。まず第一に、患者との対応。医療関係者でさえ命がけの現状において、教会が、患者に直接寄り添うことは不可能である。教会も、感染リスクを避けることに集中せざるを得ない。また、公衆衛生の問題から、教会も行政の指導に従う必要がある。
しかし、これらの諸困難にもかかわらず、私たちが忘れてはならないのは、イエスが「重い皮膚病」の患者に対してなされた業である。「手を差し伸べてその人に触れ」(マルコ1・41など)、「病による差別」の克服である。教会もイエスの基本姿勢を忘れることなくこの困難に立ち向かっていきたい。
私事で恐縮であるが、私の祖父は結核患者であった。私の父は、日本基督教団教師として、家庭で、結核患者である祖父の介護をしながら開拓伝道を開始した。部屋を別にし……
「外国人ヘイト」による人権侵害に抗議する声明
新型コロナウイルスの感染リスクに社会が脅かされる中で、外国人に対するヘイトスピーチなどの人権侵害がもたらされています。
先日、外国人とかかわりのある特定の事業所に対し、「日本キリスト教団」の名を不当に用いて「早く日本から出ていけ!」などと記した文書が送られたことが判明しました。理不尽な憎悪をあらわにした文書によってどれほど深い痛みと傷がもたらされたかを思うと心が痛みます。被害に遭われた方々に慰めと癒しを切に祈ります。
このような醜悪な文書に「日本キリスト教団」の名が利用されたことに深い憤りを覚えます。今後、必要な対応措置を行っていくと共に、もし他にも日本基督教団にかかわる類似の事例があればお知らせいただけますよう呼びかけるものです。
日本基督教団は、すべての人の命を贖うキリストへの信仰に基づき、「すべての人と平和に暮らしなさい」(ローマ……
時代と他者に出会い直して行く教会
柳下 明子 《日本聖書神学校教授/歴史神学》
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、「不要不急」の外出の自粛要請が始まると、地域によっては主日礼拝を会堂で行わない、または教職のみで礼拝を献げる、ということが起こりました。
カトリック教会では感染拡大を防止するのは愛の業であるとの判断で、2月末には東京大司教区では信徒の「ミサの免除」が宣言され、公開のミサは中止となりました。日本聖公会でも教区によっては「公祷」の休止を決定しました。東京教区ではその決定の後、主教の司式する聖餐式の配信を教区が始めています。これらの教派においては各個教会の個別の礼拝の状況に関わらず、司教の献げるミサや、主教の献げる聖餐式を通して教会の公同性は保たれることになります。ルター派の教会ではルターの著作から、主日礼拝は律法的に特定の場所や時間に拘束されるものではない、という共通理解……
新型コロナウイルスの感染が拡大し、人々が不安を抱いて過ごす中、度々「ウイルスは武漢の研究所が発生源で人為的なもの」との主張が聞かれた。
この件についての真実は分からないが、似たようなことはかつてもあった。地震や台風といった自然現象の際にも、限定的ではあるものの、それが人為的なものであるとの陰謀論が語られた。
想定外の事態や、真相が分からない出来事に接する時、「対立している隣人の仕業」とする受け止め方が一定の支持を得る。客観性を欠いていても、そのような主張が受け入れられる現実は、そう受け止める人々の内に、他者に対する恐れや攻撃性が潜んでいることを映し出しているのかもしれない。知識の木の実を食べたことで、互いに裁き合い、自らを守らざるを得なくなった人間の悲惨を思う。
旧約の預言者たちは、強大な敵が迫って来るという現実に直面し、敵の背後に主なる神の働きを受け止め、それを悔い改めの時として民……
第7回常議員会開催について
今回の常議員会(7月6〜7日)は、職責上の陪席者(常設委員会委員長、教区議長他)の出席は控えて頂き、常議員のみでの開催といたします。ただし、事務方および広報関係の陪席は認めます。
傍聴者は、オンラインを含めて認めません。
また、議事によって必要な場合は、その時間のみ該当する担当者の出席を要請することもあります。
総幹事 秋山 徹
秋季教師検定試験に関する公告内容の変更について
2020年度秋季教師検定試験の学科試験・面接試験を、9月15日(火)〜17日(木)大阪クリスチャンセンターで開催することを公告しました(3月28日・「教団新報」第4923号)。その後、新型コロナウイルス感染症が拡大し、秋以降どのような状況になっているのか予測することは困難です。教師検定委員会は試験方法を巡って、様々なシミュレーションを立て、検討してきました。受験志願者が様々な交通機関を用いて受験会場に集まり、一堂に会して試験を受けることは、感染リスクを伴います。何よりも受験志願者の安全を確保することを優先しなければなりません。
これらを踏まえ、教師検定委員会として、次のような決定をいたしました。今年度秋季教師検定試験の学科試験はレポートで行います(面接試験はオンラインで行う方向で検討中)。詳細は受験志願者に通知いたします。不明な点は直接、……