全ての教区総会が日程通りに開催
沖縄・神奈川・総幹事総括
沖縄教区
教団総会議員、選出しないことを可決
第85回沖縄教区総会が5月26〜27日、沖縄キリスト教センターにて開催された。開会時の議員数は47名中41名の出席があった。今回も宮古島、石垣島からはオンライン出席が行われた。傍聴に関しては、沖縄教区内の教師・信徒のみを議場に入れ、他教区からの傍聴者は議場外にてモニターを通しての対応をとった。
開会礼拝、組織会、議事日程、総会特別委員選任等を行った後、早速に議長報告、常置委員会報告と共に、議長選挙、副議長選挙、書記選挙に入った。書記は慣例として新議長・新副議長の推薦を議場にての承認にて選出している。
議案第7号教団総会議員選挙に関する件では、今回も「教団総会議員を選出しないことを承認する」が賛成多数にて可決承認された。周知のとおり、第33回日本基督教団総会において名称変更議案が廃案とされたことにより「教団と距離を置く」沖縄教区としては、「この方針が解消され得る理由がない限り、総会議員を選出しない」としている。
また議案第8号では「沖縄教区巡回教師規程」の制定に関して議論された。これは前総会期からも継続で議論され「規定案」も整えられたが、議場では巡回教師の必要・不要論から始まり、教区としての宣教としてどのように位置づけるかとの課題が指摘され、一旦、新常置委員会で審議をやり直すよう常置委員会への付託となった。
沖縄教区の宣教の柱である沖縄キリスト教センター(ぎのわんセミナーハウス)の建物も築後40年近くとなり、老朽化による修繕の必要性が迫られている。財政事情の厳しい中で、これからのセンターをどう維持し活用していくかも大きな課題である。
三役選挙結果
【議長】上地武(首里)、【副議長】具志堅篤(読谷)、【書記】仲本瑩(平良川)
常置委員選挙結果
【教職】髙多新(高原)、島しづ子(うふざと)
【信徒】玉城凉子(兼次)、羽柴直子(名護)、城間枝都子(首里)、国吉和雄(西原)
(上地 武報)
神奈川教区
北村慈郎教師戒規、再審議を求める
第153回神奈川教区総会が6月29日、清水ヶ丘教会で開催された。開会時、正議員の出席者数は221名中、154名だった。
准允と按手礼執行に関する件では志願者がそれぞれ所信を述べたのに対し、議場から北村慈郎教師の戒規について考えを述べるよう求める声が上がった。神奈川教区が准允・按手礼の執行に際し重ねてきた「今回の教師検定試験は、不当とまでは言えない」との決議に対して「議案でないものを決議してよいのか」、「不当だが新たな教師を望む苦渋の歴史の中でこの決議が生まれたことを重んじるべき」、「教師検定制度に問題があるなら別の形で提起すべき」等の意見が出た。また議論は2種教職制にも及んだ。
古谷正仁議長は「次回総会にはこの決議を議案化することを約束する。今回はこのまま採決に入りたい」と述べた。採決の結果全員の執行が承認された後、准允および按手礼が執行され正教師2名と補教師3名が新たに立てられた。
教団問安使の藤盛勇紀総会副議長に対しては戒規問題や能登半島地震への対応について質問が出た。また、ある准議員は「教師委員会が前総会期の教師委員会が見送った他教区からの戒規申し立てを総会期が代わったとして受理したのは一事不再議の原則に反する」と指摘し「それならば北村教師の戒規についても再審理を受けることができるようになる」と述べた。
議案第7号「日本基督教団第36総会期教師委員会により戒規免職処分にされた北村慈郎教師の戒規申し立てと審判委員の選任に公正・中立性について疑いがあるので、本総会期常議員会で新たな審判委員を選び、再審理を求める件」は、北村教師の戒規申し立てのプロセスに重大な問題があるため常議員会に再審理を求めることを旨とする議案を、第43回教団総会に提出することを諮るものである。なお42回教団総会を踏まえて戒規の無効性には触れず、むしろ無効性の判断を下す審判委員の選び直しを求めるものと説明された。「公正性に疑いはない」、「未受洗者陪餐には反対だが戒規のプロセスに誤りがある」等、賛否様々な意見が出た。採決の結果121名中84名の賛成で本議案は承認された。
教団総会議員選挙結果
【教職】古谷正仁(蒔田)、藤掛順一(横浜指路)、秋間文子(茅ヶ崎南湖)、平良愛香(川和)、小宮山剛(逗子)、金子信一(湯河原)、佐野匡(横浜本郷台)、孫裕久(川崎戸手)、寺田信一(横須賀小川町)、宮川忠大(横浜本牧)、長倉基(藤沢北)、井殿準(翠ヶ丘)、原宝(上大岡)、桐藤薫(六ッ川)
【信徒】岡安博(鶴見)、松森しおり(横浜指路)、荒木美智子(鎌倉雪ノ下)、大西誠(横浜指路)、沖田忠子(横浜港南台)、本城勇介(鎌倉雪ノ下)、岩村悦江(横浜二ツ橋)、松橋秀之(蒔田)、伊東永子(翠ヶ丘)、川合重貞(橋本)、斎藤圭美(高座渋谷)、古賀健一郎(紅葉坂)、堀木一男(六ッ川)、世安正明(衣笠病院)
(米山恭平報)
総幹事 網中彰子
総括 教区総会を終えて
各教区総会が日程通りに開催されました。引き続き新型コロナ感染対策をしつつ、数年ぶりに聖餐式を行うことが出来た教区もあり、喜びが報告されました。准允・按手礼式が行われた総会もあり、教団の教師として、主の体なる教会に共に連なる幸いを思います。それぞれの新しい日々が主の導きの内にありますようお祈りいたします。
教会・伝道所の解散があった教区では、長きに亘る働きを創立からの歴史と共に皆で覚え「感謝を持って神さまにお返しいたします」との祈りが捧げられました。一方、長年の祈りが実り、新しく設立された教会・伝道所もあります。新たな環境の中で礼拝を捧げる希望が与えられています。
教区によっては各個教会の近況報告が掲載された資料もあり、受洗者が与えられた恵みと喜びが記されていました。その一人に神さまの救いの御業を思います。すべての教会の礼拝にまだ見ぬ新しい出会いがありますようお祈りいたします。
各教区に共通する課題は教勢低下に伴い教区活動を見直して各個教会の財政負担減を計ることです。教区互助、互助規則、謝儀保障制度など継続してきた制度をどう維持していくか、持続可能な方法は何かも協議されています。捧げる思いを大切に継続されています。
教区財政の縮小という過渡期にあって、コロナ禍以降定着してきたオンラインで行う会議や委員会へのサポート体制を整える教区もあります。選挙において投票アプリを導入し、全員がスマホで瞬時に投票を行う教区もありました。これにより大幅な時間短縮が可能となります。DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む一方、一教会では困難な教会敷地の整備や会堂維持のための人的な協力が近隣教会を含めて教区として既に行われています。
教区報を含む広報活動についても時代の変化に応じて多様な手段を検討している教区もありました。印刷・製本・発送費用などが高騰し始め、ペーパーレス化も進んでいます。世代に関係なく、インターネット上で情報に手軽に接続出来る今、内容によっては頻度を多く短く発信することも有益となります。何でも新しくすればよいということではありませんが、人員減少に応じた無理のない広報方法があることは可能性の一つとして知っておきたいと思います。
最後に、能登半島地震被災教会については中部教区総会で七尾教会・羽咋教会・富来伝道所・輪島教会の主任牧師がそれぞれ報告する時間が設けられました。困難の只中にある教会や周囲の現状に心痛めつつ祈りと献金によって支えられている感謝が伝えられました。
教憲変更議案:「教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する件」掲載について
第42総会期 日本基督教団総会議長 雲然俊美 2024年7月27日
第74回九州教区定期総会にて、第43回教団総会への提出議案として可決されました。本議案は、「教憲変更議案」となります。教憲12条に則り、教団新報にて「公表する」こととなりました。
教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する件
提案者 第70回九州教区総会
議案
現行の教憲第9条の規定「教師はこれをわけて,正教師および補教師とする」は、先の大戦下に宗教団体法(1940年施行)及び同施行令の命じるところに従って合同前各教派が不可抗力的に採るに至った「二種教職制」を踏襲して定められた旧日本基督教団規則第207条「教師ハ之ヲ分チテ正教師及補教師ノ二種トス」を、戦後の混乱期に充分な検討なくそのままに引き継いだ(1946年6月制定)ものであって、教会の信仰に基く内的希求ないし信仰的決断に発した定めではない。
従って、第42回日本基督教団総会は、先の戦時下に犯した“神の主権よりも国権を上位に置いた過ち”を深く悔改め、神が与え給うた信仰の自由なる決断において、教憲第9条を次の通り、改正し、伴って関連教規条項を改正する。
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教 憲 第9条 本教団の教師は、神に召され正規の手続きを経て献身した者とする。 教師はこれをわけて、正教師および補教師とする。 正教師は按手礼を領した者、補教師は伝道の准允を受けた者とする。 |
第9条 本教団の教師は、神に召され正規の手続きを経て献身し、按手礼を領した者とする。
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なし |
付則(※12条の後に追加) 上記の変更は、決議の日から3年を超えない範囲内において、常議員会の定める日から施行する。 |
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教 規 第7条① 略 ② 議長、副議長および書記は、正教師の議員の中から定期教団総会において選挙する。 |
② 議長、副議長および書記は、教師の議員の中から定期教団総会において選挙する。 |
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第12条① 略 ② 仮議長は、正教師の議員の中から選ぶ。
第61条① 教区総会は、次に掲げる議員をもって組織する。ただし、沖縄教区の場合は、第1号ないし第4号の議員を教区規則の定めるところによって変更することができる。
および正教師たる教務教師の互選による者、総数の3分の1
各神学校の専任者、総数の2分の1 (4)-(5) 略 |
② 仮議長は、教師の議員の中から選ぶ。
第61条① 教区総会は、次に掲げる議員をもって組織する。ただし、沖縄教区の場合は、第1号ないし第4号の議員を教区規則の定めるところによって変更することができる。 (1) 略 (2) 教区内における巡回教師 および教務教師の互選による者、総数の3分の1 (3) 教区内における神学教師各神学校の専任者、総数の2分の1 (4)-(5) 略
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第62条① 次に掲げる者は、准議員として教区総会に出席し発言することができる。ただし、表決に加わることができない。
(3)教区総会において推薦する者 (4)キリスト教教育主事 |
第62条① 次に掲げる者は、准議員として教区総会に出席し発言することができる。ただし、表決に加わることができない。 (1) 教師で議員でない者 (2) 教区総会において推薦する者 (3) キリスト教教育主事 |
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第63条① 略 ② 議長および副議長は、正教師たる議員の中から、書記は議員の中から、定期教区総会において選挙する。 ③-④ 略 |
第63条① 略 ② 議長および副議長は、教師たる議員の中から、書記は議員の中から、定期教区総会において選挙する。 |
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第66条 教区総会において処理すべき事項は次のとおりである。 (1)-(2) 略 (3)教師の按手礼および准允に関する事項 (4)牧師、伝道師の就任、退任その他教師の移動に関する事項 (5)以下 略
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第66条 教区総会において処理すべき事項は次のとおりである。 (1)-(2) 略 (3)教師の按手礼に関する事項 (4)牧師の就任、退任その他教師の移動に関する事項 (5)以下 略 |
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第103条 教会担任教師が正教師であるときは牧師、補教師であるときは伝道師という。
(参考) 「日本基督教団 教会」規則(準則) |
第103条 教会担任教師を牧師という。
(参考) 日本基督教団 教会」規則(準則) |
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第14条① 担任教師が正教師であるときは牧師、補教師であるときは伝道師という。 ② 略 第15条 牧師または伝道師が就任したとき、教会は教区と合議の上、就任式をおこなう。
第104条 教会担任教師は、次の教務を執行する。ただし、伝道師は第2号の教務を執行できない。 以下 略。 |
第14条① 担任教師を牧師という。 ② 略
第15条 牧師が就任したとき、教会は教区と合議の上、就任式をおこなう。
第104条 教会担任教師は、次の教務を執行する。 以下 略。 |
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第123条① 教師は分けて正教師および補教師とする。 ② 教師は教区および教団の名簿に登録しなければならない。
第124条① 正教師とは、正教師試験に合格し、教区総会の議決を経て、按手礼を領したものとする。 ② 略 |
第123条 ① 削除 教師は教区および教団の名簿に登録しなければならない。
第124条①教師とは、教師試験に合格し、教区総会の議決を経て、按手礼を領したものとする。 ② 略 |
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第125条① 補教師とは補教師検定試験に合格し、教区総会の議決を経て、伝道の准允を受けたものとする。 ② 准允は、教区総会議長がつかさどる。
(参考) 宣教師に関する規定
第5条(職制) 受入れ宣教師で、本教団の教師と同等の准允もしくは按手礼を受領した者は、教規123条の本教団の教師とみなす。
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第125条 削除
(参考) 宣教師に関する規定 第5条(職制) 受入れ宣教師で、本教団の教師と同等の按手礼を受領した者は、教規123条の本教団の教師とみなす。 |
※下線部改正箇所 (参考)は、諸規定等で、関連して改正が必要となるものの例を示す。
※教規改正以外に、「教師検定規則」の改正も必要となる。
提案理由
日本基督教団は、敗戦前の国家統制の厳しい時代に採ることを余儀なくされた二種教職制度を、教会に相応しい制度であると捉えてきた訳ではありません。1954年の教団信仰告白制定後の1956年の教憲改正、それに続く再度の教憲改正作業(1958年)がなされた頃、“教師とは按手礼を領した者ではないか”との意見が盛んに主張され、その正当性を認める形で“准允を受けた者を「教師補」とする”内容の教憲第9条改正案がまとめられたのでしたが、第12回教団総会(1962年)では二種教職制の解消に至らないままの教憲改正となりました。
しかし、議論は止むことなく更に続き、第15総会期信仰職制委員会(1968年−)は“教師を二種とせず、一種のみとすべき”と結論し、同時に教師に至るまでの「教師補」的制度を置くことが望ましいという方向性を打ち出しました。これをうけた第16総会期常議員会(1969年−)は教憲第9条改正の必要を認める決議をなしました。その後、常任常議員会の下に設置された作業委員会が提出した報告を基に常議員会は、1970年7月、第17回教団総会に二種教職制廃止を目的とする教憲第9条改正を正式に提案することを決定したのでした。その内容は、教憲第9条の条文を「本教団の教師は,神に召され正規の手続きを経て献身し,按手礼を領した者とする」というものであり、これに伴う教規、関連規則の変更を第18回教団総会に提案できるように常議員会に準備させるというものでした。
この改正案は、いわゆる「教団紛争」の激化に伴う第17回教団総会延期などの事情の中で、以後の教団総会で毎回継続審議扱いとされざるを得ず、第25回教団総会(1988年)において、全教区の議員が揃う教団総会開催まで審議を凍結するとの決議がなされ、教団総会議案からは消えることとなりました。しかし私たちが忘れてならないのは、この間30余年の長きにわたって信仰の先達が日本基督教団にとっての、あるべき教職制度を形にしようと真剣な努力を続けて下さったという事実であり、教団全体にも、まことの教会となるために二種教職制度の問題を等閑視することはできないとの認識が保持し続けられていたということです。
1982年からは「三委員会連絡会」(教師委員会・信仰職制委員会・教師検定委員会)が、教師制度や教師検定制度のあり方について検討を重ねるという努力があり、第27回教団総会(1992年)は全教区の議員が出揃う総会となりましたが、残念ながら、以後の教団総会で二種教職制廃止をめぐる本格的な議論がなされる機会は多くはありませんでした。本質議論は出尽くしているであろうとの認識と共に、膨大な議論の集積という事実が、その時点での議員たちをして積極的発言をためらわせたものでしょう。そしてまた、時の経過の中で事実上、継続されてきた二種教職制度ですから、これに無頓着な世代が現れてきたことも要因であったと思われます。
直近、最後の教団的取り組みは、第30総会期第5回常議員会(1998年7月)が提案し、第32回総会(2000年)で可決された「教憲9条を検討する件」でした。これは実に3総会期をかけての検討でしたが、教憲第9条検討作業委員会は2006年2月の第34総会期第4回常議員会に、これ以上の検討作業継続は困難であるとの最終報告を提出、常議員会がこれを承認したことによって、二種教職制度は教団の議題とされることなく今日に至ることとなったのでした。この時点で課題克服を阻んだ要因のひとつは、温存された二種教職制度と共存するうちに、補教師という制度の中に訓練期間としての「有用性」を見出す層が現れてきたことであったと考えられます。
以上のように、教憲第9条に定められた二種教職制度に対する問題意識が、時の経過と共に退行してきたことは否めません。しかし、そうであるからと云って、教会の根幹に関わるこの問題を捨て置くことはできません。先の敗戦後にいち早くこの問題を指摘した先輩方やその後に改正努力を積み上げて下さった方々は、“正教師・補教師の別によって御言の宣教と聖礼典執行が分離されることはプロテスタントの神学から承認されないこと”であり、“二種教職制度とは国の圧力の下に採ってしまった便法”であり、“神の主権よりも国権を上位に置いた過ち” の痕(しるし)であることを明確に見抜いておられたのです。この認識は正当です。便法の上に主の教会が建て上げられるはずはなく、“神の主権よりも国権を上位に置いた過ち”の痕を帯びたまま、まことの教会となり得る道理もないことです。補教師制度に訓練期間としての「有用性」を見出すことも本末顛倒というほかありません。
長い年月にわたる議論の膨大な集積に怖れを抱いているとしても、これより生起するであろう法規相互の整合作業や制度整備にたじろぐ思いに囚われているとしても、私たちは「教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する」ことを決断すべきです。私たちは主にのみ従う教会であらねばならず、従ってそれを体現せねばならないからです。
尚、本議案は、第41回日本基督教団総会に提出された議案と内容を同じくする議案です。第66回九州教区定期総会(2016年)において決議され、その後、同年開催の第40回日本基督教団総会に提出された議案は、提案者の責めに帰せられるべき理由なく、教憲12条所定の期間内議案公表手続きに瑕疵が生じたため、上程されることがありませんでした。また、この議案に修正を加え、第68回九州教区定期総会(2018年)において決議され、その後、同年開催の第41回日本基督教団総会に提出された議案は、総会に残された審議時間がわずかであったので、短時間でこの議案を判ずることを避けるため、提案者である九州教区総会を代表する総会議長自ら取り下げました。
この過程で、九州教区総会が願ってきたことは、教団の歩み、ひいては「国家と教会」という、信仰の本質にも関わる重要な主題を内包する本議案がこのまま捨て置かれ、二種教職制度の課題が風化していかないこと、また、かつての教団が真剣に向き合おうとした二種教職制度への検討・協議の場が、いま一度回復されることでした。
教団は、第40総会期教師養成制度検討委員会に二種教職制度の取り扱いを委託しました。同委員会は、①「教憲第9条検討作業委員会(2004年〜2006年)」の検討作業と報告を踏まえる、として同委員会委員長と書記を、②「教憲9条改正」議案の提案者である九州教区から提案の概要と趣旨について聴く、として九州教区総会議長を、③二種教職制の問題について神学的な課題について検討する、として東京神学大学学長を、それぞれ招き、聴取を行っています。しかし、第41回日本基督教団総会において九州教区が議案を取り下げたことを理由として、教師養成制度検討委員会は、同委員会として検討を終了させてしまいました。この判断への疑義は拭えません。けれども、より重要であるのは、同委員会自身が、今後、取り扱いを議長と常議員会に委ねる、としている点です。教憲9条の課題は未だ終了していません。一つの委員会に担わせて終わりとするのではなく、議長や常議員会が検討・協議の場を形作り、積極的に課題の解決に向かって取り組みを進めることが必要です。
以上、わたしたち九州教区総会は、教団における二種教職制度の克服を願い、本議案を提出いたします。
伝道推進室より応援した教会・伝道所
「さまよう人々」たちかえりて
竹野伝道所(代務)牧師 山本 桂子
竹野伝道所は特定の教派や教会、牧師による開拓伝道等でできた教会ではない。この地の住民によって自発的に形成され、続けられてきた教会だ。戦時中、フィリピンで捕虜となった与田敏夫という青年がクリスチャンの看守を通してキリスト教を知り、故郷の竹野村に復員した後、1946年に数名の仲間とともに小学校の教室で聖書研究会をはじめたことによる。同じ年に竹野で一般市民に向けた伝道講演会が開催され、講師だった岡山の内山下教会・ 吉野勝栄牧師が、その後も月に一度聖書研究会のためにやって来た。与田氏の妹で当時小学生だった田中美智子さんは、自宅で行われる聖書研究会に大勢の若者が集まり、母がたくさんの食事を用意していたこと、讃美歌を歌う時は自分もその中に入って歌ったことなどを覚えている。いつも歌われていたのが239番(54年版)「さまよう人々」だった。それはある意味で彼らの道のりを暗示していたのかもしれない。
1951年以降は兵庫教区但馬地区の教会の牧師が関わることになり、天幕伝道を経て、1959年に教団認可を受けて竹野伝道所となった。会堂を持たず、 主任者を招聘したこともなく、礼拝は代務者や地区内教師が担当し、空き家や信徒宅など場所を移動しながら活動が継続されてきた。信徒伝道者という名前こそつかないが地域における日常的な伝道者としての働きは信徒が担ってきた。教会活動は少人数で維持されてきたが、2006年に借りていた場所を退去し礼拝場所が失われた。この時教会員は前述の田中さん1名になっていた。教会が単独で対処できることはなく閉鎖や合併も考えられたが、竹野から福音の灯を消したくないという強い思いを受けて、兵庫県北部の8つの教会からなる但馬地区は、 教区常置委員会に対して、 教区内の教会が置かれた状況に対して教区としてどう向きあうのかという問いを投げかけた。最終的に但馬地区が主体となって民家を購入し、2008年に竹野伝道所ははじめて自分たちの会堂を得たのである。
これと並行して兵庫教区では、 地方の一教会で生じる事柄は〝その教会の問題〟 ではなく、 教区の宣教の課題であるという教区としての共通理解を表明した。当時はこの内容にピンとこない教会も多かっただろうが、2024年現在、15年以上前に竹野が直面した状況は都市地の教会でももはや他人事ではなくなった。信徒数の減少はリカバリー不可能であり、教師を招聘できない、礼拝が困難ということも珍しくない。それが〝その教会の問題〟なのではなくキリスト教会全体の宣教の課題であることは明らかだ。
竹野は今も都市地の教会の15 年先の現実を生きている。数字的改善の見込みなどない。しかし現場が思いのほか明るくあっけらかんとしていることに驚くだろう。その根っこにあるのは「さまよう人々」だった教会の歩みに対する神の導きの確信、何よりも共に重荷を担ってくれる仲間がいるということへの信頼だ。
公 告
第43回 日本基督教団総会開催について
第43回日本基督教団総会を下記のとおり開催いたしますので、ここに公告します。
会期 2024年10月29日(火)午後1時30分 〜 31日(木)午後3時
会場 ホテルメトロポリタン(東京都豊島区西池袋1丁目6番1号)
2024年7月27日
日本基督教団総会議長 雲然俊美
◎議案は9月21日(土)、建議請願は10月10日(木)に締め切りとなります。
傍聴希望者は下記の要領に従って手続きをしてください。
1.傍聴資格
本教団の教師および現住陪餐会員たる信徒に限ります。なお、信徒の方は所属教会牧師もしくは日本基督教団教師の推薦状が必要です。
2.参加費 無料
3.参加方法 今回もコロナ感染予防対策のためYouTubeによる限定配信となります。
4.締め切り 2024年10月25日(金)
5.申込方法
〈インターネットでのお申し込みの場合〉
Googleフォームにお名前、ご住所、教会名、電話番号、メールアドレスをご入力ください。※信徒の方は推薦状を必ず郵送でお送りください。
https://forms.gle/5ZWQokPsMdv5S5k48
申し込みが完了しましたら、教団事務局総務部より申し込み完了のメールを差し上げます。
〈書面でお申し込みの場合〉
① お名前、ご住所、教会名、電話番号、メールアドレスをご記入の上、下記へお申し込みください。
②信徒の方は必ず推薦状を同封してください。
日本基督教団総務部(〒160-0051 東京都新宿区西早稲田2丁目3番18号)
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-31
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