愛する能登のため、祈りを一つに
《輪島教会》ユニットハウスが「復興のしるし」に
教団、教区、多くの方々のお祈り、お支えをいただき、まことにありがとうございます。1月1日の能登半島地震により礼拝堂は全壊、また津波を恐れ町の多くの人たちが避難所へと逃れました。教会の近くの避難所には当初700人がいました。そこにいた教会員と偶然にも聖書教会の信徒の方と一緒に4名で聖書を読んでお祈りする礼拝をしました。二次避難によりメンバーは入れ替わりましたが3月まで続きました。4月からは輪島に戻って来た信徒合わせて7名が教会員の自宅に集まり礼拝しました。
5月には会堂の隣にあった駐車スペースに礼拝用のユニットハウスを教団教区の支援により設置して頂きました。礼拝堂から、長椅子を3脚運び入れ、5月19日のペンテコステからそこでの礼拝となりました。地震後初めての輪島教会での聖餐の食卓となりました。いつもの仲間といつもの椅子に座って礼拝できる、そんないつものことなのですが、みんなの心が喜びいっぱいになりました。またユニットハウスを見た近所の人が、少しでも新しいものができると復興のしるしの希望のようで嬉しいと声をかけてくださいました。
6月下旬には電気工事の業者が来て、ユニットハウスと同時に牧師館の(半壊のため)一部の部屋に電気が通るようになり、共に冷房が使えるようになりました。ですが、水道の配管が修理できないため牧師館の洗面所台所での水道は使えません。トイレと洗濯のために避難所と牧師館を往復しています。
7月には避難所の人数は40人となり、また下水道復旧の仮工事があり、仮礼拝堂の横に設置した仮設水洗のトイレが使えるようになりました。また教団のボランティアの方たちが来てくださって、会堂、倉庫、牧師館の片付けを手伝ってくださいました。8月に仮設住宅に入居が決まった教会員一人が輪島に戻って来ました。
日程はまだ決まってはいませんが、全壊した礼拝堂の公費解体決定の通知が届きました。輪島ではコンビニが午後6時に閉店します。そんな不便がありますが、少しずつ復旧は進んでいます。みな様からの様々なお支え本当にありがとうございます。あせらずに時間をかけて祈り考えていきたいと思います。
(新藤 豪報)
《羽咋教会》伝道所がボランティアの宿泊所に
日本基督教団と中部教区を中心に多くの諸教会の皆様に祈りとご支援を賜りましたことを、主にあって感謝いたします。また、不安と悲しみの中に今もおかれている奥能登地域の方々をおぼえ、復活の主の慰めを共に祈ります。
羽咋教会は、外壁と内側の壁に亀裂が出来るなどの被害がありましたが、2007年の能登半島地震の際に、教団と教区の支援により会堂の基礎を頑丈に建てていたため、建物は守られました。5月、外壁の隙間部分にコーキングの工事を行い、内壁部分は今後、修理を施す予定です。志賀町と七尾市に住まいのある教会員が被災をいたしましたが教会員全員、命が守られて今日を迎えています。
震度6強を観測した志賀町には、羽咋教会の集会所である富来伝道所があります。
地震当日、私は家族とともに富来伝道所に滞在していました。給湯設備の破損、内壁のダメージを受けつつも教会員・近隣住民と共に祈り、7ヶ月間を過ごしてまいりました。地震直後の1ヶ月間は断水状態が続きましたが、水道のタンクを持参して富来伝道所に毎週通いました。礼拝中に余震が起こることもありましたが、最大震度の地域にあって、休むことなく礼拝を継続することができたことは、振り返ってみると何より感謝なことでありました。7月28日(主日)に羽咋教会と富来伝道所には、地震後はじめて県外の牧者(隠退教師)を説教者に招いて特別伝道礼拝を行い、大きな励ましを受けました。
現在富来伝道所は、日本基督教団が募集するボランティアの宿泊所として用いられています。また、地域のミッションスクールである北陸学院大学も学生ボランティアを派遣しており、富来伝道所を宿泊所の一つとして用いてくださっていることは、感謝なことです。震災の復興により建てられた会堂が、こうして復興支援のために使用されることが、何より教会員の励みになっています。海底の隆起、能登の岩など自然環境が壊される大きな地震でありましたが、天地万物を造り、私達を復活の命へと導いてくださる主に信頼して、復興・再建の道に祈りをひとつに邁進してまいります。ご協力とお祈りをお願いいたします。
(内城 恵報)
《七尾教会》臨時避難所として用いられた教会施設
1月1日午後4時10分。あの日、あの時の能登半島地震。七尾市には震度6強の地震が襲いました。地震からしばらくして、大津波警報が発表されました。
七尾教会と七尾幼稚園のある七尾市旧市街の御祓(みそぎ)地区。津波の時の避難場所は教会と幼稚園に隣接する小高い小丸山城址公園です。倒壊したり壊れたりした家をあとにして、徒歩で避難。けれども、真冬の寒い日で、すぐに日没。暗い中で座るべきベンチもほとんどないところに、数百人の人が集まっていたのでした。
大津波警報が出ている中、指定避難所となっていた「御祓コミュニティセンター(旧公民館)」はすぐに開けられ、駐車場を挟んで七尾幼稚園と隣接する「寄合処みそぎ」は臨時避難所として準備が始まっていました。そして七尾幼稚園にも「小さなお子様のいるご家族」と「ケアの必要な年配の方々」を中心とした臨時避難所としての打診があったのです。
七尾幼稚園は、災害の場合園内避難が認められている施設。園舎に接続する教会の礼拝堂も、2007年の能登半島地震を受けて、2011年に全国の諸教会の皆様によって建て直させていただいたものです。建物に被害はあっても、受け入れは十分可能でした。ですからすぐに、了承したのでした。
数日して少し落ち着いた頃に、教会と幼稚園の周辺を歩いてみました。知り合いの方ばかりの町内です。幼稚園の園児の家があり、卒業生の家があり、教会員の家があります。いつも挨拶を交わす人々の家が、形があっても、壊れています。
七尾の地に、能登の地に遣わされた牧師として、そしてこの地に建つ教会として、祈り続けてきた人々の生活が壊れている。祝福を祈ってきた街が壊れている。七尾が、能登が、壊れている。
7月になって、この御祓地区にも公費解体の工事の音が、ようやく聞こえるようになってきました。まずは解体、そしてその次です。だから、わたしたちの愛する能登のために祈って欲しい。能登のために労する人々を覚えて祈って欲しい。そして、この地のために、祈り続けている、この地に生きるキリスト者ために、祈って欲しい。そう、願ってます。
(釜土達雄報)
以前、教会の近くの自動車修理工場の看板に「あなたの車のキズもヘコミも、プロの技術士がなおします」とあるのを見て、教会の掲示板に、「あなたの心のキズもヘコミも、イエス・キリストがいやします」と書きたいと思ったことがあった。コロナ禍で傷ついた社会と人々に、キリストによる癒やしを提供することが教会の責務であると思うからだ。
6月のある主日の午後、同じ地区内の教会に新たに遣わされた教師の就任式に出席した。4年間代務体制で後任教師を求めていた教会であったため、大きな喜びの時であった。
就任式後の感謝会で、教会を代表して役員の方が、「教会は野戦病院です。総合病院のように設備が整っているわけではないが、傷ついている人々を迎え、癒やすところです」と話された。「教会は野戦病院」との言葉を久しぶりに聞いた。今もウクライナやガザ地域での戦闘が続いている状況であるため、一瞬ドキッとしたが、たしかに教会はキリストの癒やしを提供する場である。そして、何よりも、その教会が、自分たちの教会はそのような責務を負っていると自覚していることを思わされた。
コロナ禍を経た教会の状況(礼拝出席、財政など)は厳しい。しかし、教会は、この時代、人々にキリストの癒やしを提供する務めを担っていることを絶えず覚えるものでありたい。
(教団総会議長 雲然俊美)
【5022号】2024年度新任教師オリエンテーション(1面)
【5022号】教憲変更議案:「教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する件」掲載について(3面)
【5022号】メディア戦略 時代に即した伝道スタイルへのチャレンジ(5面)
メディア戦略 時代に即した伝道スタイルへのチャレンジ
教団ホームページをリニューアルして3年が経過した。教勢の低下にあって、広く一般に日本基督教団を知ってもらうことを目的の一つとした。総幹事の指揮の下、事務局として教団の伝道に寄与できることを模索し、その一つとして一般財団法人日本総合研究所に日本基督教団の市場における位置付けを分析してもらい、いわば現在の教団のイメージを明確にした上で、情報発信を開始した。
最近のホームページアクセス数は1日約600前後で、3ヶ月で5万人以上が観ていることになる。ホームページと連動する形で、X(フォロワー数688)、Instagram(フォロワー数695)、Facebookも活用しており、アクセス数は順調に伸びている。また、YouTubeを利用した毎月の説教動画は既に30本を超え、最も多いもので1千回の再生回数となり、ゆっくりと確実に増加している。直近3ヶ月のインプレッション(観られた回数)はInstagr-amで1万583回、アカウントに直接アクセスしたのは1090人で半分以上が新規ユーザー。Xは投稿数によって幅が違うが、インプレッションは最大で3000、平均は300程度。
詳しくみていくと、例えば、統一協会問題が発生したときに、教団では救出活動をしていることをXにアップしたが、これを期に、ホームページへのアクセス数が一気に増えている。また、ガザ紛争が起きた際もいち早く情報を上げたが、その際もアクセス数が増えている。教団メディアへのアクセスの多くは、日本基督教団関係者もしくはキリスト教関係者と思われるが、ここからわかることは、キリスト教とは何かと考える外側から社会とコミットするキリスト教に感心が寄せられているということだ。
具体例としては、毎年、7月初旬に教団と協約関係にある台湾基督長老教会(PCT)が主催する青年向けのツアー「I Love Taiwan Mis-sion(ILT)」があるが、毎回、7月初旬開催という時期のために、その時期に夏休みになっている特定の大学からしか参加者を得られなかったが、今回はHPやSNSで応募を呼びかけたところ、幅広い地域性と年齢層からの応募があった。教団HP、SNSが青年層に少しずつ受け入れられていることを実感することができた。参加者からLINEに送られて来る写真をリアルタイムでInstagramに投稿し、教団とPCTの協約関係の具体性を内外に発信することができ、次世代に向けての伝道の道が少しでも開けたのではないだろうか。
日本基督教団には多くの賜物がある。説教動画を流すことも、そのひとつである。例えば、出版局発行書籍の著者による解説なども可能であろう。また、キリスト教入門のようなお話、各地での様々な活動報告、あるいは時事問題等をキリスト教視点から読み解いていく、他宗派、他宗教からのメッセージ、音楽や美術、教育の現場、世界からのメッセージ、etc、あらゆる分野にわたる賜物が用意されている。さらに、動画コンテンツには必ず文字情報を掲載することで、どんな人でもアクセスできる。これらを発信する技術は難しくなく、事務局職員のスキルでこなすことができることから、極めてコストパフォーマンスの高い伝道を維持していくことができると考えている。
メディアを利用しながら情報発信を続けていくために、教団事務局オフィスの一部を情報発信の出来る部屋にリニューアルした。この資金は、カナダ合同教会からの献金による。カナダ合同教会は日本国内にある資産を処分し、順次、日本の伝道のために用いるようにと3年前から教団に献金をくださっている。カナダ合同教会との協議の上で、この献金の一部をメディア発信のために使うことで合意している。既に、雲然俊美議長によるカナダ合同教会へ向けての感謝の動画を、教団YouTubeチャンネル、Instagram、X、Facebookにアップしているので、是非御覧いただきたい。この中で、雲然議長は台湾基督長老教会の標語を用いて「時代は変わるが、福音は変わらない。伝道は時代の変化に応じて変わる」ので積極的にメディアを活用することを呼びかけている。また、これに応答するカナダ合同教会からの動画が届けられ、アップしている。今後は海外諸協会との交流も広く教団内で共有できることになるだろう。
コロナ禍を経て教団の会議の多くはオンラインを併用したものになっている。リニューアルによりオンライン会議はより平易に準備でき、経費削減にも寄与できると考えている。
なお、これまで発行していた英文広報誌「Ky-odan News Letter(KNL)」は、海外郵便事情などに鑑み、今後はデジタルで発行し随時HPに掲載する予定である。
(星山京子報)
7月29日、宣教研究所委員会の今総会期第4回にあたる委員会がオンラインで開催された。『宣教の未来2』を発行するにあたって、現時点で集まっている原稿を確認し、その内容について話し合うことが中心であったと言える。
集まっている原稿は3本で、本来5本が出そろうはずであったが、神保望委員が嘱託されていた研究テーマである「二種教職制」については、本人が途中まで準備を進めたものの辞退をしたい、という申し出があった。委員会としてはこれを承認し、出されたものについて編集し書籍化する予定である。今回もう1本の提出がなかったため、担当の委員が改めて事情を確認する。
集まっている論文については、どれもいくつかの要望があった点について再考をお願いするが、公刊にたえられるものであると判断している。以下、要望の一例についてスペースの許す限りで列記する。
本城仰太研究員の信条研究に関する論文については、「信仰告白の連続性という課題は、信仰告白の受容ということを含むが、それは新しい(が連続している)告白の制定や教育以外に、もっと多様な状況が考えられるのではないか。一方で、論者の言う『二つ(ニカイアと使徒信条)で一つの信条』という古代教会の理解には刺激を受けた。教団信仰告白については詳述が可能ではないか」。
堀岡満喜子研究員のキリスト教学校に関する論文については、「キリスト教学校教育は高度な課題を担っており、教会との間で互いに尊敬しながら連携を、というメッセージはよくわかる。授業内容については各学校の課題もあろうが、広い意味で教会的なものとなるための努力などさらに知りたいこともある」。
片岡賢蔵研究員のメディア論に関する論文については、「現代思想との対話を、できるだけ砕いた言葉で行う努力を多としたい」。
公刊の予定は、作業の都合上、当初想定していた時期(今秋)よりは遅れることとなりそうである。論文がそろった後の作業としては、事務局・出版局・印刷所にレイアウトや校正等の実務をお願いすることになる。委員会としては連携しての協力に感謝する次第である。
(上田 彰報)
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