イエスはこれを聞くと、舟に乗ってそこを去り、ひとり人里離れた所に退かれた。しかし、群衆はそのことを聞き、方々の町から歩いて後を追った。 イエスは舟から上がり、大勢の群衆を見て深く憐れみ、その中の病人をいやされた。 夕暮れになったので、弟子たちがイエスのそばに来て言った。「ここは人里離れた所で、もう時間もたちました。群衆を解散させてください。そうすれば、自分で村へ食べ物を買いに行くでしょう。」 イエスは言われた。「行かせることはない。あなたがたが彼らに食べる物を与えなさい。」 弟子たちは言った。「ここにはパン五つと魚二匹しかありません。」 イエスは、「それをここに持って来なさい」と言い、 群衆には草の上に座るようにお命じになった。そして、五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで賛美の祈りを唱え、パンを裂いて弟子たちにお渡しになった。弟子たちはそのパンを群衆に与えた。 すべての人が食べて満腹した。そして、残ったパンの屑を集めると、十二の籠いっぱいになった。 食べた人は、女と子供を別にして、男が五千人ほどであった。
そのころ、領主ヘロデはイエスの評判を聞き、 家来たちにこう言った。「あれは洗礼者ヨハネだ。死者の中から生き返ったのだ。だから、奇跡を行う力が彼に働いている。」 実はヘロデは、自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアのことでヨハネを捕らえて縛り、牢に入れていた。 ヨハネが、「あの女と結婚することは律法で許されていない」とヘロデに言ったからである。 ヘロデはヨハネを殺そうと思っていたが、民衆を恐れた。人々がヨハネを預言者と思っていたからである。 ところが、ヘロデの誕生日にヘロディアの娘が、皆の前で踊りをおどり、ヘロデを喜ばせた。 それで彼は娘に、「願うものは何でもやろう」と誓って約束した。 すると、娘は母親に唆されて、「洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、この場でください」と言った。 王は心を痛めたが、誓ったことではあるし、また客の手前、それを与えるように命じ、 人を遣わして、牢の中でヨハネの首をはねさせた。 その首は盆に載せて運ばれ、少女に渡り、少女はそれを母親に持って行った。 それから、ヨハネの弟子たちが来て、遺体を引き取って葬り、イエスのところに行って報告した。
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