ダレイオスの治世第一年のことである。ダレイオスはメディア出身で、クセルクセスの子であり、カルデア人の国を治めていた。 さて、わたしダニエルは文書を読んでいて、エルサレムの荒廃の時が終わるまでには、主が預言者エレミヤに告げられたように七十年という年数のあることを悟った。 わたしは主なる神を仰いで断食し、粗布をまとい、灰をかぶって祈りをささげ、嘆願した。 わたしは主なる神に祈り、罪を告白してこう言った。
「主よ、畏るべき偉大な神よ、主を愛しその戒めに従う者には契約を守って慈しみを施される神よ、 わたしたちは罪を犯し悪行を重ね、背き逆らって、あなたの戒めと裁きから離れ去りました。 あなたの僕である預言者たちが、御名によってわたしたちの王、指導者、父祖、そして地の民のすべてに語ったのに、それに聞き従いませんでした。 主よ、あなたは正しくいます。わたしたちユダの者、エルサレムの住民、すなわち、あ……
わたしダニエルは、この幻を見ながら、意味を知りたいと願っていた。その時、見よ、わたしに向かって勇士のような姿が現れた。 すると、ウライ川から人の声がしてこう言った。「ガブリエル、幻をこの人に説明せよ。」 彼がわたしの立っている所に近づいて来たので、わたしは恐れてひれ伏した。彼はわたしに言った。「人の子よ、この幻は終わりの時に関するものだということを悟りなさい。」 彼がこう話している間に、わたしは気を失って地に倒れたが、彼はわたしを捕らえて立ち上がらせ、 こう言った。「見よ、この怒りの時の終わりに何が起こるかをお前に示そう。定められた時には終わりがある。 お前の見た二本の角のある雄羊はメディアとペルシアの王である。 また、あの毛深い雄山羊はギリシアの王である。その額の大きな角は第一の王だ。 その角が折れて代わりに四本の角が生えたが、それはこの国から、それほどの力を持たない四つの国が立つという……
わたしダニエルは先にも幻を見たが、その後ベルシャツァル王の治世第三年に、また幻を見た。 その幻の中にあって、見るとわたしはエラム州の都スサにおり、ウライ川のほとりにいるようであった。 目を上げて眺めると、見よ、一頭の雄羊が川岸に立っていた。二本の角が生えていたが共に長く、一本は他の一本より更に長くて、後ろの方に生えていた。 見ていると、この雄羊は西、北、南に向かって突進し、これにかなう獣は一頭もなく、その力から救い出すものもなく、雄羊はほしいままに、また、高慢にふるまい、高ぶった。
これについて考えていると、見よ、西から一頭の雄山羊が全地の上を飛ぶような勢いで進んで来た。その額には際立った一本の角が生えていた。 この雄山羊は先に見た川岸に立っている二本の角のある雄羊に向かって、激しい勢いで突進した。 みるみるうちに雄山羊は雄羊に近づき、怒りに燃えてこれを打ち倒し、その二本の角を折った……
もし、善いことに熱心であるなら、だれがあなたがたに害を加えるでしょう。 しかし、義のために苦しみを受けるのであれば、幸いです。人々を恐れたり、心を乱したりしてはいけません。 心の中でキリストを主とあがめなさい。あなたがたの抱いている希望について説明を要求する人には、いつでも弁明できるように備えていなさい。 それも、穏やかに、敬意をもって、正しい良心で、弁明するようにしなさい。そうすれば、キリストに結ばれたあなたがたの善い生活をののしる者たちは、悪口を言ったことで恥じ入るようになるのです。 神の御心によるのであれば、善を行って苦しむ方が、悪を行って苦しむよりはよい。 キリストも、罪のためにただ一度苦しまれました。正しい方が、正しくない者たちのために苦しまれたのです。あなたがたを神のもとへ導くためです。キリストは、肉では死に渡されましたが、霊では生きる者とされたのです。 そして、霊においてキ……
役人たちは王のもとに来て言った。「王様、ご存じのとおり、メディアとペルシアの法律によれば、王による勅令や禁令は一切変更してはならないことになっております。」 それで王は命令を下し、ダニエルは獅子の洞窟に投げ込まれることになって引き出された。王は彼に言った。「お前がいつも拝んでいる神がお前を救ってくださるように。」 一つの石が洞窟の入り口に置かれ、王は自分の印と貴族たちの印で封をし、ダニエルに対する処置に変更がないようにした。
王は宮殿に帰ったが、その夜は食を断ち、側女も近寄らせず、眠れずに過ごし、 夜が明けるやいなや、急いで獅子の洞窟へ行った。 洞窟に近づくと、王は不安に満ちた声をあげて、ダニエルに呼びかけた。「ダニエル、ダニエル、生ける神の僕よ、お前がいつも拝んでいる神は、獅子からお前を救い出す力があったか。」 ダニエルは王に答えた。「王様がとこしえまでも生き永らえられますように。……
さて、王国を継いだのは、メディア人ダレイオスであった。彼は既に六十二歳であった。 ダレイオスは、王国に百二十人の総督を置いて全国を治めさせることにし、 また、王に損失がないようにするため、これらの総督から報告を受ける大臣を三人、その上に置いた。ダニエルはそのひとりであった。 ダニエルには優れた霊が宿っていたので、他の大臣や総督のすべてに傑出していた。王は彼に王国全体を治めさせようとした。 大臣や総督は、政務に関してダニエルを陥れようと口実を探した。しかし、ダニエルは政務に忠実で、何の汚点も怠慢もなく、彼らは訴え出る口実を見つけることができなかった。 それで彼らは、「ダニエルを陥れるには、その信じている神の法に関してなんらかの言いがかりをつけるほかはあるまい」と話し合い、 王のもとに集まってこう言った。「ダレイオス王様がとこしえまでも生き永らえられますように。 王国の大臣、執政官、総督、地……
そこで、ダニエルが王の前に召し出された。王は彼に言った。「父王がユダから捕らえ帰ったユダヤ人の捕囚の一人、ダニエルというのはお前か。 聞くところによると、お前は神々の霊を宿していて、すばらしい才能と特別な知恵を持っているそうだ。 賢者や祈禱師を連れて来させてこの文字を読ませ、解釈させようとしたのだが、彼らにはそれができなかった。 お前はいろいろと解釈をしたり難問を解いたりする力を持つと聞いた。もしこの文字を読み、その意味を説明してくれたなら、お前に紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王国を治める者のうち第三の位を与えよう。」
ダニエルは王に答えた。「贈り物など不要でございます。報酬はだれか他の者にお与えください。しかし、王様のためにその文字を読み、解釈をいたしましょう。 王様、いと高き神は、あなたの父ネブカドネツァル王に王国と権勢と威光をお与えになりました。 その権勢を見て、諸国、諸族……
ベルシャツァル王は千人の貴族を招いて大宴会を開き、みんなで酒を飲んでいた。 宴も進んだころ、ベルシャツァルは、その父ネブカドネツァルがエルサレムの神殿から奪って来た金銀の祭具を持って来るように命じた。王や貴族、後宮の女たちがそれで酒を飲もうというのである。 そこで、エルサレムの神殿から奪って来た金銀の祭具が運び込まれ、王や貴族、後宮の女たちがそれで酒を飲み始めた。 こうして酒を飲みながら、彼らは金や銀、青銅、鉄、木や石などで造った神々をほめたたえた。
その時、人の手の指が現れて、ともし火に照らされている王宮の白い壁に文字を書き始めた。王は書き進むその手先を見た。 王は恐怖にかられて顔色が変わり、腰が抜け、膝が震えた。 王は大声をあげ、祈禱師、賢者、星占い師などを連れて来させ、これらバビロンの知者にこう言った。「この字を読み、解釈をしてくれる者には、紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王……
しかし、ベルテシャツァルと呼ばれるダニエルは驚いた様子で、しばらくの間思い悩んでいた。王は彼に、「ベルテシャツァル、この夢とその解釈を恐れずに言うがよい」と言った。彼は答えた。
「王様、この夢があなたの敵に、その解釈があなたを憎む者にふりかかりますように。 御覧になったその木、すなわち、成長してたくましくなり、天に届くほどの高さになり、地の果てからも見え、 葉は美しく茂り、実は豊かに実ってすべてを養うに足り、その木陰に野の獣は宿り、その枝に空の鳥は巣を作る、 その木はあなた御自身です。あなたは成長してたくましくなり、あなたの威力は大きくなって天にも届くほどになり、あなたの支配は地の果てにまで及んでいます。 また、王様は聖なる見張りの天使が天から降って来るのを御覧になりました。天使はこう言いました。この木を切り倒して滅ぼせ。ただし、切り株と根を地中に残し、これに鉄と青銅の鎖をかけて野の草の……
ネブカドネツァル王は、全世界の諸国、諸族、諸言語の住民に、いっそうの繁栄を願って、挨拶を送る。
さて、わたしはいと高き神がわたしになさったしるしと不思議な御業を知らせる。
この神のしるしは、いかに偉大であり
不思議な御業は、いかに力あることか。
その御国は永遠の御国であり、支配は代々に及ぶ。
わたしネブカドネツァルは、健康に恵まれ、王宮で心安らかに過ごしていた。 一夜、わたしは夢を見た。眠りの中に恐ろしい光景が現れ、わたしは頭に浮かんだ幻に悩まされた。 わたしは命令を下してバビロンの知者を全員召集し、夢の解釈をさせようとした。 占い師、祈禱師、賢者、星占い師らが来たので、わたしは夢の話をしたが、だれひとり解釈ができなかった。 最後にダニエルが来た。これはわたしの神にちなんでベルテシャツァルという名を与えた者で、彼には聖なる神の霊が宿っていた。わたしは彼に夢の話をして、……