では、知恵はどこに見いだされるのか
分別はどこにあるのか。
人間はそれが備えられた場を知らない。
それは命あるものの地には見いだされない。
深い淵は言う
「わたしの中にはない。」
海も言う
「わたしのところにもない。」
知恵は純金によっても買えず
銀幾らと価を定めることもできない。
オフィルの金も美しい縞めのうも
サファイアも、これに並ぶことはできない。
金も宝玉も知恵に比べられず
純金の器すらこれに値しない。
さんごや水晶は言うに及ばず
真珠よりも知恵は得がたい。
クシュのトパーズも比べられず
混じりない金もこれに並ぶことはできない。
では、知恵はどこから来るのか
分別はどこにあるのか。
すべて命あるものの目にそれは隠されている。
空の鳥にすら、それは姿を隠している。
滅びの国や死は言う
「それについて耳にしたことはある。」
その道……
銀は銀山に産し
金は金山で精錬する。
鉄は砂から採り出し
銅は岩を溶かして得る。
人は暗黒の果てまでも行き
死の闇の奥底をも究めて鉱石を捜す。
地上からはるか深く坑道を掘り
行き交う人に忘れられ
地下深く身をつり下げて揺れている。
食物を産み出す大地も
下は火のように沸き返っている。
鉱石にはサファイアも混じり
金の粒も含まれている。
猛禽もその道を知らず
はげ鷹の目すら、それを見つけることはできない。
獅子もそこを通らず
あの誇り高い獣もそこを踏んだことはない。
だが人は、硬い岩にまで手を伸ばし
山を基から掘り返す。
岩を切り裂いて進み
価値あるものを見落とすことはない。
川の源をせき止め
水に隠れていたものも光のもとに出す。……
それならば、知れ。
神がわたしに非道なふるまいをし
わたしの周囲に砦を巡らしていることを。
だから、不法だと叫んでも答えはなく
救いを求めても、裁いてもらえないのだ。
神はわたしの道をふさいで通らせず
行く手に暗黒を置かれた。
わたしの名誉を奪い
頭から冠を取り去られた。
四方から攻められてわたしは消え去る。
木であるかのように
希望は根こそぎにされてしまった。
神はわたしに向かって怒りを燃やし
わたしを敵とされる。
その軍勢は結集し
襲おうとして道を開き
わたしの天幕を囲んで陣を敷いた。
神は兄弟をわたしから遠ざけ
知人を引き離した。
親族もわたしを見捨て
友だちもわたしを忘れた。
わたしの家に身を寄せている男や女すら
わたしをよそ者と見なし、敵視する。
僕を呼んでも答えず
わたしが彼に憐れみを乞わなければならない。
息は妻に嫌われ
子……
人は女から生まれ、人生は短く
苦しみは絶えない。
花のように咲き出ては、しおれ
影のように移ろい、永らえることはない。
あなたが御目を開いて見ておられるのは
このような者なのです。
このようなわたしをあなたに対して
裁きの座に引き出されるのですか。
汚れたものから清いものを
引き出すことができましょうか。
だれひとりできないのです。
人生はあなたが定められたとおり
月日の数もあなた次第。
あなたの決定されたことを人は侵せない。
御目をこのような人間からそらせてください。
彼の命は絶え
傭兵のようにその日を喜ぶでしょう。
木には希望がある、というように
木は切られても、また新芽を吹き
若枝の絶えることはない。
地におろしたその根が老い
幹が朽ちて、塵に返ろうとも
水気にあえば、また芽を吹き
苗木のように枝を張る。
だが、人間は死んで横たわる……
そんなことはみな、わたしもこの目で見
この耳で聞いて、よく分かっている。
あなたたちの知っていることぐらいは
わたしも知っている。
あなたたちに劣ってはいない。
わたしが話しかけたいのは全能者なのだ。
わたしは神に向かって申し立てたい。
あなたたちは皆、偽りの薬を塗る
役に立たない医者だ。
どうか黙ってくれ
黙ることがあなたたちの知恵を示す。
わたしの議論を聞き
この唇の訴えに耳を傾けてくれ。
神に代わったつもりで、あなたたちは不正を語り
欺いて語るのか。
神に代わったつもりで論争するのか。
そんなことで神にへつらおうというのか。
人を侮るように神を侮っているが
神に追及されてもよいのか。
たとえひそかにでも、へつらうなら
神は告発されるであろう。
その威厳は、あなたたちを脅かし
恐れがふりかかるであろう。
あなたたちの主張は灰の格言
弁護は……
このように、天にあるものの写しは、これらのものによって清められねばならないのですが、天にあるもの自体は、これらよりもまさったいけにえによって、清められねばなりません。なぜならキリストは、まことのものの写しにすぎない、人間の手で造られた聖所にではなく、天そのものに入り、今やわたしたちのために神の御前に現れてくださったからです。また、キリストがそうなさったのは、大祭司が年ごとに自分のものでない血を携えて聖所に入るように、度々御自身をお献げになるためではありません。もしそうだとすれば、天地創造の時から度々苦しまねばならなかったはずです。ところが実際は、世の終わりにただ一度、御自身をいけにえとして献げて罪を取り去るために、現れてくださいました。また、人間にはただ一度死ぬことと、その後に裁きを受けることが定まっているように、キリストも、多くの人の罪を負うためにただ一度身を献げられた後、二度目には、罪……
ヨブは答えた。
わたしの苦悩を秤にかけ
わたしを滅ぼそうとするものを
すべて天秤に載せるなら
今や、それは海辺の砂よりも重いだろう。
わたしは言葉を失うほどだ。
全能者の矢に射抜かれ
わたしの霊はその毒を吸う。
神はわたしに対して脅迫の陣を敷かれた。
青草があるのに野ろばが鳴くだろうか。
飼葉があるのに牛がうなるだろうか。
味のない物を塩もつけずに食べられようか。
玉子の白身に味があろうか。
わたしのパンが汚れたもののようになれば
わたしの魂は触れることを拒むだろう。
神よ、わたしの願いをかなえ
望みのとおりにしてください。
神よ、どうかわたしを打ち砕き
御手を下し、滅ぼしてください。
仮借ない苦痛の中でもだえても
なお、わたしの慰めとなるのは
聖なる方の仰せを覆わなかったということです。
わたしはなお待たなければならないのか。
そ……
ヨブと三人の友の議論一
テマン人エリファズは話し始めた。
あえてひとこと言ってみよう。
あなたを疲れさせるだろうが
誰がものを言わずにいられようか。
あなたは多くの人を諭し
力を失った手を強めてきた。
あなたの言葉は倒れる人を起こし
くずおれる膝に力を与えたものだった。
だが、そのあなたの上に何事かふりかかると
あなたは弱ってしまう。
それがあなたの身に及ぶと、おびえる。
神を畏れる生き方が
あなたの頼みではなかったのか。
完全な道を歩むことが
あなたの希望ではなかったのか。
考えてみなさい。
罪のない人が滅ぼされ
正しい人が絶たれたことがあるかどうか。
わたしの見てきたところでは
災いを耕し、労苦を蒔く者が
災いと労苦を収穫することになっている。
彼らは神の息によって滅び
怒りの息吹によって消えうせる。
獅子がほえ、うなっても
……
やがてヨブは口を開き、自分の生まれた日を呪って、言った。
わたしの生まれた日は消えうせよ。
男の子をみごもったことを告げた夜も。
その日は闇となれ。
神が上から顧みることなく
光もこれを輝かすな。
暗黒と死の闇がその日を贖って取り戻すがよい。
密雲がその上に立ちこめ
昼の暗い影に脅かされよ。
闇がその夜をとらえ
その夜は年の日々に加えられず
月の一日に数えられることのないように。
その夜は、はらむことなく
喜びの声もあがるな。
日に呪いをかける者
レビヤタンを呼び起こす力ある者が
その日を呪うがよい。
その日には、夕べの星も光を失い
待ち望んでも光は射さず
曙のまばたきを見ることもないように。
その日が、わたしをみごもるべき腹の戸を閉ざさず
この目から労苦を隠してくれなかったから。
なぜ、わたしは母の胎にいるうちに
死んでしまわなかったのか。
……
またある日、主の前に神の使いたちが集まり、サタンも来て、主の前に進み出た。主はサタンに言われた。
「お前はどこから来た。」
「地上を巡回しておりました。ほうぼうを歩きまわっていました」とサタンは答えた。
主はサタンに言われた。
「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。お前は理由もなく、わたしを唆して彼を破滅させようとしたが、彼はどこまでも無垢だ。」
サタンは答えた。
「皮には皮を、と申します。まして命のためには全財産を差し出すものです。手を伸ばして彼の骨と肉に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません。」
主はサタンに言われた。
「それでは、彼をお前のいいようにするがよい。ただし、命だけは奪うな。」
サタンは主の前から出て行った。サタンはヨブに手を下し、頭のてっぺんから足の裏までひ……