イスラエルはペリシテに向かって出撃し、エベン・エゼルに陣を敷いた。一方、ペリシテ軍はアフェクに陣を敷き、イスラエル軍に向かって戦列を整えた。戦いは広がり、イスラエル軍はペリシテ軍に打ち負かされて、この野戦でおよそ四千の兵士が討ち死にした。兵士たちが陣営に戻ると、イスラエルの長老たちは言った。「なぜ主は今日、我々がペリシテ軍によって打ち負かされるままにされたのか。主の契約の箱をシロから我々のもとに運んで来よう。そうすれば、主が我々のただ中に来て、敵の手から救ってくださるだろう。」
兵士たちはシロに人をやって、ケルビムの上に座しておられる万軍の主の契約の箱を、そこから担いで来させた。エリの二人の息子ホフニとピネハスも神の契約の箱に従って来た。主の契約の箱が陣営に到着すると、イスラエルの全軍が大歓声をあげたので、地がどよめいた。ペリシテ軍は歓声を聞いて言った。「ヘブライ人の陣営にどよめ……
少年サムエルはエリのもとで主に仕えていた。そのころ、主の言葉が臨むことは少なく、幻が示されることもまれであった。ある日、エリは自分の部屋で床に就いていた。彼は目がかすんできて、見えなくなっていた。まだ神のともし火は消えておらず、サムエルは神の箱が安置された主の神殿に寝ていた。主はサムエルを呼ばれた。サムエルは、「ここにいます」と答えて、エリのもとに走って行き、「お呼びになったので参りました」と言った。しかし、エリが、「わたしは呼んでいない。戻っておやすみ」と言ったので、サムエルは戻って寝た。
主は再びサムエルを呼ばれた。サムエルは起きてエリのもとに行き、「お呼びになったので参りました」と言った。エリは、「わたしは呼んでいない。わが子よ、戻っておやすみ」と言った。<サムエルはまだ主を知らなかったし、主の言葉はまだ彼に示されていなかった。主は三度サムエルを呼ばれた。サムエルは起きてエ……
さて、夫エルカナが家族と共に年ごとのいけにえと自分の満願の献げ物を主にささげるために上って行こうとしたとき、ハンナは行こうとせず、夫に言った。「この子が乳離れしてから、一緒に主の御顔を仰ぎに行きます。そこにこの子をいつまでもとどまらせましょう。」
夫エルカナは妻に言った。「あなたがよいと思うようにしなさい。この子が乳離れするまで待つがよい。主がそのことを成就してくださるように。」
ハンナはとどまって子に乳を与え、乳離れするまで育てた。乳離れした後、ハンナは三歳の雄牛一頭、麦粉を一エファ、ぶどう酒の革袋を一つ携え、その子を連れてシロの主の家に上って行った。この子は幼子にすぎなかったが、人々は雄牛を屠り、その子をエリのもとに連れて行った。<ハンナは言った。「祭司様、あなたは生きておられます。わたしは、ここであなたのそばに立って主に祈っていたあの女です。わたしはこの子を授かるようにと祈……
エフライムの山地ラマタイム・ツォフィムに一人の男がいた。名をエルカナといい、その家系をさかのぼると、エロハム、エリフ、トフ、エフライム人のツフに至る。エルカナには二人の妻があった。一人はハンナ、もう一人はペニナで、ペニナには子供があったが、ハンナには子供がなかった。
エルカナは毎年自分の町からシロに上り、万軍の主を礼拝し、いけにえをささげていた。シロには、エリの二人の息子ホフニとピネハスがおり、祭司として主に仕えていた。いけにえをささげる日には、エルカナは妻ペニナとその息子たち、娘たちにそれぞれの分け前を与え、ハンナには一人分を与えた。彼はハンナを愛していたが、主はハンナの胎を閉ざしておられた。彼女を敵と見るペニナは、主が子供をお授けにならないことでハンナを思い悩ませ、苦しめた。毎年このようにして、ハンナが主の家に上るたびに、彼女はペニナのことで苦しんだ。今度もハンナは泣いて、何も食……
大勢の群衆が集まり、方々の町から人々がそばに来たので、イエスはたとえを用いてお話しになった。
「種を蒔く人が種蒔きに出て行った。蒔いている間に、ある種は道端に落ち、人に踏みつけられ、空の鳥が食べてしまった。ほかの種は石地に落ち、芽は出たが、水気がないので枯れてしまった。ほかの種は茨の中に落ち、茨も一緒に伸びて、押しかぶさってしまった。また、ほかの種は良い土地に落ち、生え出て、百倍の実を結んだ。」イエスはこのように話して、「聞く耳のある者は聞きなさい」と大声で言われた。
弟子たちは、このたとえはどんな意味かと尋ねた。イエスは言われた。「あなたがたには神の国の秘密を悟ることが許されているが、他の人々にはたとえを用いて話すのだ。それは、
『彼らが見ても見えず、
聞いても理解できない』
ようになるためである。」
「このたとえの意味はこうである。種は神の言葉である。……
聞け、主の言われることを。
立って、告発せよ、山々の前で。
峰々にお前の声を聞かせよ。
聞け、山々よ、主の告発を。
とこしえの地の基よ。
主は御自分の民を告発し
イスラエルと争われる。
「わが民よ。
わたしはお前に何をしたというのか。
何をもってお前を疲れさせたのか。
わたしに答えよ。
わたしはお前をエジプトの国から導き上り
奴隷の家から贖った。
また、モーセとアロンとミリアムを
お前の前に遣わした。
わが民よ、思い起こすがよい。
モアブの王バラクが何をたくらみ
ベオルの子バラムがそれに何と答えたかを。
シティムからギルガルまでのことを思い起こし
主の恵みの御業をわきまえるがよい。」
何をもって、わたしは主の御前に出で
いと高き神にぬかずくべきか。
焼き尽くす献げ物として
当歳の子牛をもって御前に出るべきか。
主は喜ばれるだろうか
幾千……
羊の群れを見張る塔よ、娘シオンの砦よ
かつてあった主権が、娘エルサレムの王権が
お前のもとに再び返って来る。
今、なぜお前は泣き叫ぶのか。
王はお前の中から絶たれ
参議たちも滅び去ったのか。
お前は子を産む女のように
陣痛に取りつかれているのか。
娘シオンよ
子を産む女のように、もだえて押し出せ。
今、お前は町を出て、野に宿らねばならない。
だが、バビロンにたどりつけば
そこで救われる。
その地で、主がお前を敵の手から贖われる。
今、多くの国々の民がお前に敵対して集まり
「シオンを汚し、この目で眺めよう」と
言っている。
だが、彼らは主の思いを知らず
その謀を悟らない。
主が彼らを麦束のように
打ち場に集められたことを。
娘シオンよ、立って、脱穀せよ。
わたしはお前の角を鉄とし
お前のひづめを銅として
多くの国々を打ち砕かせる。
お……
終わりの日に
主の神殿の山は、山々の頭として堅く立ち
どの峰よりも高くそびえる。
もろもろの民は大河のようにそこに向かい
多くの国々が来て言う。
「主の山に登り、ヤコブの神の家に行こう。
主はわたしたちに道を示される。
わたしたちはその道を歩もう」と。
主の教えはシオンから
御言葉はエルサレムから出る。
主は多くの民の争いを裁き
はるか遠くまでも、強い国々を戒められる。
彼らは剣を打ち直して鋤とし
槍を打ち直して鎌とする。
国は国に向かって剣を上げず
もはや戦うことを学ばない。
人はそれぞれ自分のぶどうの木の下
いちじくの木の下に座り
脅かすものは何もないと
万軍の主の口が語られた。
どの民もおのおの、自分の神の名によって歩む。
我々は、とこしえに
我らの神、主の御名によって歩む。……
わたしは言った。
聞け、ヤコブの頭たち
イスラエルの家の指導者たちよ。
正義を知ることが、お前たちの務めではないのか。
善を憎み、悪を愛する者
人々の皮をはぎ、骨から肉をそぎ取る者らよ。
彼らはわが民の肉を食らい
皮をはぎ取り、骨を解体して
鍋の中身のように、釜の中の肉のように砕く。
今や、彼らが主に助けを叫び求めても
主は答えられない。
そのとき、主は御顔を隠される
彼らの行いが悪いからである。
わが民を迷わす預言者たちに対して
主はこう言われる。
彼らは歯で何かをかんでいる間は
平和を告げるが
その口に何も与えない人には
戦争を宣言する。
それゆえ、お前たちには夜が臨んでも
幻はなく
暗闇が臨んでも、託宣は与えられない。
預言者たちには、太陽が沈んで昼も暗くなる。
先見者はうろたえ
託宣を告げる者は恥をかき
皆、口ひげを覆う。
神……
災いだ、寝床の上で悪をたくらみ
悪事を謀る者は。
夜明けとともに、彼らはそれを行う。
力をその手に持っているからだ。
彼らは貪欲に畑を奪い、家々を取り上げる。
住人から家を、人々から嗣業を強奪する。
それゆえ、主はこう言われる。
「見よ、わたしもこの輩に災いをたくらむ。
お前たちは自分の首をそこから放しえず
もはや頭を高く上げて歩くことはできない。
これはまさに災いのときである。」
その日、人々はお前たちに向かって
嘲りの歌をうたい
苦い嘆きの歌をうたって言う。
「我らは打ちのめされた。
主はわが民の土地を人手に渡される。
どうして、それはわたしから取り去られ
我々の畑が背く者に分けられるのか。」
ヤコブよ、わたしはお前たちすべてを集め
イスラエルの残りの者を呼び寄せる。
わたしは彼らを羊のように囲いの中に
群れのように、牧場に導いてひとつにす……