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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4963号】人ひととき(4面)

2021年12月11日

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 「主の御計らい」を 忘れず

笹川 紀勝さん

  北海道で11人兄弟の末っ子として生まれた笹川紀勝さんは、3歳の頃に父が召され、28歳年上の兄に育てられた。家族を養うために進学を断念した兄は、自らの夢を託すように紀勝さんが学業に励むことを願っていた。兄に対する反抗心から荒んだ生活を送っていた時期もあったが、浪人中のクリスマスに日本キリスト教会、札幌北一条教会の門を叩き、翌年、受洗した。

 「北海道キリスト者平和の会」に参加し、歴史学者の金田隆一教授、豊平教会の井上平三郎牧師、憲法学者の深瀬忠一教授らの影響を受け、信仰を持ちつつ社会に関わる姿勢を教えられた。

 大学では、比較憲法を学び、修士論文ではドイツの良心的兵役拒否、博士論文では政教分離をテーマにした。北星学園大学、国際基督教大学、明治大学で教鞭を取り、この間、日韓関係に関心を向けて行く。現役を退いた現在まで、植民地時代の判決6600件を紐解きつつ、韓国併合の実態に迫る研究を続けている。

 比較の中で、日本の国家形成の仕方も見えて来るという。欧州では、中世の両剣論を経て、権力の干渉を退ける形での自由論が生まれる。韓国では、日本の侵略と三・一独立運動を経て、民が国を造るという意識が根付いた。一方、日本では、歴史の中で権力に抗する主体としての民が形成されることはなかった。笹川さんは、時の権力が全てを握り、宗教もそれに寄り添い、憲法も権力の都合によって利用されてしまいかねない状況に日本の課題を見る。

 「一挙に何かが変わることは無いが、教会の信仰は自由を生み出す。罪深い自分が神に愛されているという信仰は崩れない。『主の御計らい』(詩編103・2)を忘れずに、神の愛を受け止める礼拝生活を充実させ、それを実践して行きたい」と笹川さんは語る。

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