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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4963号】社会事業奨励日メッセージ (3面)

2021年12月11日

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   2016年に知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」にて発生した殺傷事件は5年経った今でも忘れることはできない。犯人は、「意思疎通の困難な人間は生きている意味がない」と考え殺傷に及んだと考えられている。生産性のない人間は生きている意味がない、という考え方は、決してこの犯人のみに限らない。障がい者はじめ社会的弱者を切り捨てても構わない、というメッセージが、社会的なリーダーと言われるような人々からも残念ながら何度も繰り返されている。また、施設での虐待などが報告されることもある。

 一方、聖書は、すべての命が神によって造られ、特にすべての人間に神の似像としての尊厳があることを伝える。パウロが語るキリストの体なる教会のイメージ(一コリント12・12〜26)は、終末に実現する神の国のイメージとも重ねられる。すべての人間は多様な存在として神に造られ、体には弱い部分がかえって必要で、見劣りのする部分が引き立てられて調和しているように、神の国では弱い者が必要とされる。そこではじめて「一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです」と言える世界がある。

 キリスト教社会事業は、そのキリストの体なる教会の働きの一つとして位置付けられ、医療、教育、福祉等に関わる事業を通して、キリストの道を伝える働きを担っている。キリスト教に基づく奉仕の業によって、わたしたちは終末にもたらされる神の国のイメージを具体的に感じ取ることができるのではないだろうか。日本基督教団では、特に12月第1主日を「キリスト教社会事業を覚えて祈る日」としている。

 約2年に渡る新型コロナウイルスの感染予防などの対応でも、濃厚接触をせざるをえない障がい者施設や児童福祉事業に携わる職員や医療従事者の働きを覚え感謝したい。家族や親しい者たちとの接触も許されない高齢者施設や障がい者施設の利用者、成長の過程において必要とされる様々なプログラムの変更を余儀なくされる子どもたち、コロナ禍の中で生活に困窮しつつも、「助けて」さえも言えない人々の苦悩を覚えたい。

 キリスト教社会事業が、生産性に価値をおく世の常識に押し流されず、すべての人が神に愛されていることを伝えることができるように、み言葉を土台とし続けることができるように祈りたい。そして時として企業や組織の論理で効率化や生産性が求められるような世の社会事業の在り方を根本的に問い直す働きを担うことを共に祈りたいものである。

2021年12月5日

第41総会期日本基督教団 社会委員 柳谷知之

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