教団総会三日目午後に議論された主な議案は次の通り。
九州教区提案の「伝道資金規則改定に関する件」。賛成意見として「教区間格差を少なくするような運用がなされるべき」、反対意見として「分配後の用いられ方を明確にすべきで、申請制は保持すべき」との意見があり、採決の結果少数否決となった。
西中国教区提案の「日本基督教団と沖縄キリスト教団との「『合同のとらえなおしと実質化』をすすめるための特設委員会を設置する件」。次回教団総会までの期間限定で各教区常置委員1名、計17名で委員会を組織することを求める議案である。議場からの「沖縄教区への言及について、沖縄教区が距離を置いている状況をどう考えているか」、「沖縄不在の状況でこのような議案を議論できるのか」との質問に対し、「沖縄教区の主体性を考えて、沖縄教区の判断にゆだねることを議案に盛り込んだ」と小畑太作西中国教区議長が答えた。沖縄から出席の推薦議員より「現在沖縄教区で、なぜ教団と距離を置いているのか、合同の捉えなおしについて学習会を行っている。教区内の和解と一致、交わりの回復が優先事項である」という意見があった。採決の結果、賛成129票で少数否決。
神奈川教区からは「聖餐のあり方について慎重かつ十分に議論する場を教団内に設置する件」が提案された。この議案は41総会期限定で、聖餐に関する議論の場を設定する委員会の設置を求めるものである。採決の結果賛成140票で否決。
西中国教区提案「『天皇代替わり儀式に公費を支出することに反対する声明』に関する件」は、賛成205票で可決。
また、総会中に常議員選挙の結果が確定しなかったため、「常議員選挙結果の取り扱いと承認を40総会期常議員会に付託する件」が上程され、賛成236票、3分の2が満たされ、可決された。 (小林信人報)
【教職常議員】
◎小西 望 (東 北)279票
藤掛順一 (神奈川)198票
横山良樹 (中 部)198票
川﨑善三 (兵 庫)193票
宮本義弘 (東 海)193票
◎田邊由紀夫 (大 阪)185票
東野尚志 (関 東)164票
大友英樹 (東 京)163票
篠浦千史 (四 国)159票
◎勇 文人 (中 部)155票
◎願念 望 (西東京)154票
◎梅崎浩二 (九 州)149票
◎入 治彦 (京 都)146票
小橋孝一 (東 京)142票
【信徒常議員】
佐久間文雄 (関 東)200票
野村敏彦 (中 部)199票
八嶋由里子 (東 海)198票
豊川昭夫 (関 東)197票
奥山盾夫 (東 京)196票
◎遠矢良男 (東 京)195票
◎髙橋嘉男 (東 北)194票
◎河田直子 (東中国)193票
◎黒沼宏一 (東 海)192票
望月克仁 (神奈川)190票
◎守安久美子 (東 京)165票
井田昌之 (西東京)155票
◎土井しのぶ (東中国)142票
*得票順(◎は新議員、無印は前総会期から再選)
総会三日間を通して、出席者が共に主を仰ぐ礼拝で一日の日程が始められた。
開会礼拝では、教団総会史上初めて海外から説教者を招いた。李秀英牧師(大韓イエス教長老会)は洛雲海牧師(長老会神学大学校)の通訳を介し、「福音伝播の命令」と題して、マルコによる福音書16章15~20節の御言葉を説き明かした。ご復活の主イエスは弟子たちに現れ、宣教命令を与えられた。この伝道の使命には、三つの危険が伴う。死と迫害、狂気に陥っているのではないかとの非難、福音が伝統と食い違うという糾弾である。相手の心を乱すことが倫理的伝統に反するとタブー視される日本では、心を揺さぶる福音の伝道は批判されるだろう。しかし、主の命令である伝道は、常に伝統よりも大切である。李師は、日本の教会が伝道を志すのは誠に尊いと語り、主が教団を力強く導かれ、宣教命令を遂行する教会とならしめてくださるようにとの祈りで説教を結んだ。
二日目の逝去者記念礼拝では、横山良樹牧師(半田)が「『衣鉢』を継ぐ者」の題のもとに列王記下2章6~18節から説教を語った。エリシャは、預言者エリヤの後継者として彼の霊を受けたいと切実に願い、ヨルダンに発つエリヤから離れようとしなかった。エリヤは初めの歩みへの立ち帰りを示唆するその旅にエリシャを伴い、その道すがら、召命は人の思いによらず神の御心の表れによるとエリシャに告げた。その後、エリヤが火の戦車に乗って嵐の中を天に上ってゆく様を見たエリシャは、そこに神のご臨在を確かに目撃し、人の思いではなく、主の御旨のみを求める者に新しく造り変えられ、主に従う歩みを始めた。第40回総会期に逝去された教団教師・宣教師は、主の召しを受けて献身され、福音を伝道し続けた方々である。御心によって後継者が立てられてゆくことを信じて進み続けたいとの結語の後、逝去者128名の氏名が読み上げられた。
三日目には、黒田若雄牧師(高知)がエレミヤ書31章15~17節から聖餐礼拝説教「あなたの未来には希望がある」を語った。神の守りがあるからこそ、戦いに必ず勝利すると信じていたイスラエルの民にとって、バビロンに大敗を喫したのは神に見捨てられたことを意味した。未来への希望を失った彼らに、神は「あなたの苦しみは報いられる」と語られた。これは、絶望に沈む民を今、主は見捨ててはおらず、今後も必ず共におられると告げる神の決意宣言である。神は主イエスを世に遣わして、この決意の証としてくださった。この主が、私たちを未来へと導いてくださることにこそ、私たちの希望がある。1945年に空襲に遭って内部が全焼した高知教会は、その四日後に焼け跡で主日礼拝を献げ、1ヶ月後には1名の受洗者を与えられた。人の目にはすべての希望が失われたように見える中でこそ、神は希望の光を与えられる。祈りの後、聖餐の恵みに与った。 (原田裕子報)
《報告会》
「熊本・大分地震支援」について、梅崎浩二九州教区議長が報告した。「継続的な支援に感謝である。被災教会15教会中8教会が再建完了。3教会が部分完了。2教会が復旧予定。2教会は見込みが立たない状況である。再建が完了した3教会は献堂式を行うことが出来た。支援活動として、ボランティアセンター・エルピスくまもとを設置し地域に奉仕している」。その後、献堂式を執り行った別府不老町教会・齋藤真行牧師と、同じく献堂式を行った隈府教会代務者の錦ヶ丘教会・川島直道牧師より、全国から捧げられる祈りと支えへの感謝の言葉が述べられた。
「西日本豪雨被災」「大阪北部地震・台風21号被災」「北海道胆振東部地震被災」について、秋山徹総幹事が報告書により報告した。大阪北部地震では、被害は比較的少なかったが、台湾基督長老教会より1万ドルの送金があり、大阪、兵庫、京都の3教区に託した。西日本豪雨では、被害が広範囲に及んでいる状況の中で、それぞれの地にある教会が活動拠点を立ち上げ、地域の組織と協働しながら支援活動を行っていることが報告された。
「WCC世界宣教伝道会議」については、三浦洋人氏(仙台北教会)、野川祈氏(国立教会)、廣中佳実氏(教団職員)が、「会議の目的として、欧米中心の伝道ではなく、第三世界の課題に向き合うための会議であること。主の弟子であること、宣教すること、エキュメニカルであることという三本柱を中心に活動を行っていること。違いを乗り越えること、少数意見に耳を傾けることを学び、また、女性の権利を守る等、マイノリティー問題への意識を高めることが出来た」と報告した。
「リフォユース500」については、増田将平実行委員長が「中高生大会について、最終的に中高生自身で礼拝を形作ることを目標にプログラムが展開された。出身神学校や教派的背景の違う比較的若い約70名の教職がスタッフとして奉仕したことは画期的なことだった。青年大会は超教派の大会としたが、準備の中で、他教派からの教団への期待を強く感じた」と報告した。 (小林信人報)
《協議会》
総会二日目午後、議事の終わりに約1時間の協議会が持たれた。18年各教区総会において「教団機構改定骨子案」が示されたことを受けて教団全体の意見を聴くはじめての協議の場となった。
質疑応答ではなく、議場に立てられた4本のマイクに発言者が並び次々に発言した。17名の発言者が概ねまとめると次のような意見を述べた。財政の逼迫に機構改定は必須である。教団総会規模、教団三局体制、50年にわたって機構の見直しを行っていないことなどの指摘。その一方で、財政問題からのみの機構改定が先行することで、そもそもの伝道論や宣教論が希薄になることへ危惧。教団紛争において顕著となった、いわゆる教会派、社会派と言われる教会群を越えての改革の必要。他教派の改革の実情調査、青年伝道、離島・過疎地の伝道、信徒育成、献金運動など、発言は多岐に渡った。
一つの結論や協議会としての着地点があったわけではなく、それぞれの発言を踏まえて骨子案への具体的な肉付け、展開、提案が今後必要で、41総会期の最も重要な案件となる。 (新報編集部報)
教団総会ごとに行われる部落解放劇が50分ほどの上演時間で行われた。
香澄さんと遙君、二人の教会青年が「部落解放青年ゼミナール」実行委員会に参加して劇が進む。遙君は部落差別問題について詳しくないが、香澄さんに誘われてはじめて実行委員会に参加する。委員会では、武牧師に導かれながら、今年の教団総会に上演する解放劇についての話し合いがはじまる。差別問題をめぐる経験を寸劇の仕方で披露して解放劇に仕立てゆく。焼肉パーティーでの精肉業者の話。被差別部落に建つ学校に遣わされた教師の話。同和地区近くの極端に安い土地の売買を巡る話。演じられる寸劇と幕間に入れられた東谷誠センター運営委員長のワンポイントレッスンで差別問題の理解を深める工夫をする。
「寝た子を起こすな」と言うことで問題を避け、そのままにして忘れるのを待つことや、「部落分散論」と言われることによって、被差別部落を出て他のところに住まえばわからなくなる、といったことでは差別は無くならないことを指摘する。
部落差別問題に疎かった遙君も、他の実行委員たちと一緒に劇を準備してゆく中で問題の理解を深めてゆく。最後に「さようなら無関心—関係者でいこう!」という今年の解放劇の題が決まる。
青年たちは、信じることだけでは差別は無くならない、と信仰と差別問題に悩む。しかし、確かに無くならないかもしれないが、信じることで問題に取り組むための力を持つことができるはずだ、と道を見出してゆく。「課題から信仰へ」ではなく、「信仰から課題へ」という信仰の秩序を教会の青年たちが発見することが印象に残った。劇中の青年たちにも、観劇する者たちにも差別問題の現実を知ってもらうため、高いハードルを下げようという工夫がいくつも見られた。
また台本を持った半朗読劇で長いせりふが多かったが、はっきりと聞こえ理解しやすく、効果的なBGMと相まって見る者を劇に引き込む力があった。 (新報編集部報)
総会二日目の議事終了後、第7回信徒交流の集いが開催された。出席者全員の声が聴かれる全国規模の会への期待もあり、北は奥羽教区から沖縄教区まで、52教会65名が出席した。
世話人津村正敏兄の開会祈祷に始まり、来賓として出席した石橋秀雄教団総会議長は、「伝道推進基本方針が設定されたことはとても大きなことだ。祈ろう、伝えよう、献げよう、信徒運動として全国展開を願っている。信徒の皆さんが、ある意味では一緒に献身して頂いて、一緒に主のために働くことが出来ればと願っている」と激励した。
特別ゲスト日本原水爆被害者団体協議会の和田征子姉は、「私たち被爆者は同じ苦しみを世界中の誰にも経験させたくない。『核兵器廃絶国際署名』への支援協力を願いたい」と呼びかけた。続いて東海教区・大和田浩二兄は、1949年に始まる山梨分区の信徒活動について報告した。
第2部全国信徒会総会では、2019年に「日本伝道160年記念全国信徒大会」を東京で開催することを決定した。 (鈴木功男報)
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