新しい命に生きる
ローマの信徒への手紙6章3~11節
澁谷 弘祐
それともあなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスに結ばれるために洗礼を受けたわたしたちが皆、またその死にあずかるために洗礼を受けたことを。わたしたちは洗礼によってキリストと共に葬られ、その死にあずかるものとなりました。それは、キリストが御父の栄光によって死者の中から復活させられたように、わたしたちも新しい命に生きるためなのです。もし、わたしたちがキリストと一体になってその死の姿にあやかるならば、その復活の姿にもあやかれるでしょう。(ローマの信徒への手紙6章3〜5節)
罪が迫って苦しむ時
復活は私たちの希望です。復活を信じることで、私は希望を得ました。その希望は私自身の命が滅ぼされる、すなわち完全に失われる恐れはなくなった上に、二度と恐れのない安心・安全な生涯を頂いたという喜びです。復活を信じることは変わりませんが、その信じた幅は変わってきたように感じています。こどもの頃は聖書に書かれた通りに信じるように勧められたままに信じ、信仰告白の際にはキリストが私のために死んでくださったことを信じ感謝し、牧師とされてからは罪が迫って苦しむ度にキリストの命が働いて私を危うい道から助け出している事実を信じ感謝しています。
罪が迫って苦しむ時。それは自分が罪人ではないという根拠のない自覚の中で生きている最中に突然、生きてきた理由を揺さぶられた時ではないでしょうか。福音書はペトロが大祭司の庭でイエスを三度否定して鶏が鳴いた時、激しく泣いたと記しています。罪で苦しむ恐怖・その経験がなければ、何度でも人間は罪を犯しても構わないし、神が人間を愛するが故に何度も罪をゆるすに違いないと捉えるかもしれません。しかし罪は神への不信として人間の行動から生じたもので、罪の終着は死です。神が罪をゆるすのは、人間が悔い改めて神にたち返る故であり、人間を創った神との関係を回復するからです。それでも神は、この悔い改めが充分でなかったにも関わらず、人となったイエスに罪を背負わせて死なせることで、人間に対する愛を示されました。イエスが関わることで罪をゆるされたのですから、イエスは赤の他人ではなく親しい間柄なのです。
イエスの復活が我が身にも
このことが意識されるのは洗礼の時です。イエスに向かっているつもりが、実は向こうから近づいて来られると気付いた時に、イエスとの関係の捉え方も同様に変わります。私がイエスに関わるのではなく、イエスが私に関わってくださる事実が心に沁み渡ります。そしてイエスが私を覆い、その生き方をもイエスが歩んだように整えてくださいます。イエスを信じる者はイエスによって整えられ、イエスと同じ思いとなるように、イエスの身に起きたことが我が身にも起きるように祈り願います。その結果、イエスを死者の中から復活させた神の力がイエスを信じる者にも働き、イエスと同じく復活させてくださると信じることができるようになります。
イエスの身に起きたように復活を信じる人は、未来に訪れる自身の復活の約束によって予め死から解放されます。解放された人生・生き方が新しい命の在り様です。この新しい命に生きる時に、罪のもたらす死は問題ではなくなります。罪は死に留まり、罪のない状態として新しい命を与えられて生きているからです。それにもかかわらず罪を犯すことに無頓着であるならば、自分から死を招いていると言えるでしょう。イエスが罪のために徹底的に苦しまれて、ご自身では罪の死から逃れられなかった事実は、誰一人として罪から逃れられないことを示しています。必然の死に向かうことは、神がイエスを復活させキリストとして新しい命を得させた救いの出来事に反します。罪に留まるならば救いもないのです。ですから人の目のある表面的な姿で罪人の自覚を持つのではなく、人の目のない内面的な姿で罪人の自覚に立つことで、常に罪人の自覚を自らに問う中で、罪への無頓着による必然の死に陥らずに済みます。
キリストを身に纏って
復活が信仰生活において決定的に大切なのは、イエスがキリストであると分かった出来事が復活であるからではないでしょうか。復活を通して私たちは信仰に3つの同一性が必要であることを知ります。
この「同一性(同一化)」とはThe Layman’s Bi-ble Commentary (邦訳:聖書講解全書、発行:日本基督教団出版局)でのKenneth.J.Foremanの言葉ですが、イエス・キリストの持つ関係性を指します。
第1はイエス・キリストと神との同一性です。罪の誘惑を受けた人の多くが罪を犯します。イエスに対しても、神と敵対させようとする力が働きましたが、それでもイエスは誘惑に打ち勝ち、神に敵対せず従順な態度を表し続けました。人々にとって、イエスは人間の中で優れた存在であって、人間を救う存在とは受け止められませんでした。イエスはあくまで人間であり、キリストではなかったのです。イエスが十字架上で息を引き取った時、百人隊長は神の子であったと告白していますが、これは神が特別に愛した子という意味で、キリストであるという信仰告白とは異なります。しかし、イエスの側から見れば、イエスを遣わした神と常に同一性を持ちます。神の語った通りを理解し、神が語るように執り成します。神ご自身がイエスによって人々に知られることで、イエスは人間以上に既に神を知っている存在であることが分かります。こうして神とキリストは同一性を持ちます。
第2にイエス・キリストと罪人の同一性です。イエスは徹底的に人間として生きました。その結果、罪の誘惑と対峙しました。誘惑に負けていく人々に責められながら。キリストは十字架の死に至るまで従順でした。罪の最も苦しいところを歩まれました。
第3に罪人とイエス・キリストの同一性です。イエスをキリストとして信じた者は新しい命を得ます。十字架上で血を流すイエスを仰ぎ見て私たちの罪の贖いを知り、そのイエスが復活した姿に、私たちもイエスのように生き、復活する希望が与えられます。私たちが感じるところのイエスの愛やゆるしや励ましといった恵みの数々は、このことによっています。
口語式文の聖餐式の感謝の祈祷に「キリストの復活の力を知り、その苦しみにあずかり、おりを得ても得なくても、みことばを宣べ伝えることができますように」とあります。弱さと無力の日々ですが、キリストを身に纏っている故に生かされている恵みを感謝して、新しい命に生きたいと願います。(久美愛教会牧師)
教師逝去
川端 諭(隠退教師)
25年2月17日逝去、92歳。北海道生まれ。62年東京神学大学卒業、63年より如鷲、尾道吉和、成松伝道所、宝塚福井、堅田教会を牧会し、05年隠退。遺族は子・川端実さん。
相原晴雄(隠退教師)
25年3月4日逝去、92歳。静岡県生まれ。59年東京神学大学大学院修了、同年より岡崎、香貫教会を牧会し、アメリカ、カナダ等で在外教師として務め、01年隠退。遺族は妻・相原セツさん。
遠藤富壽(隠退教師)
25年3月20日逝去、92歳。東京都生まれ。59年東京神学大学大学院修了、同年より出町教会を牧会し、女子聖学院に務め、浦和領家、浦和西伝道所、現、埼大通り教会を経て04年隠退。遺族は子・宍戸恵美さん。
岩本修一(無任所教師)
25年2月13日逝去、87歳。岡山県生まれ。66年東京神学大学大学院修了、同年より69年まで国立教会を牧会。遺族は妻・マリア岩本さん。
佐藤 仁(隠退教師)
25年2月23日逝去、94歳。山形県生まれ。60年日本聖書神学校卒業、同年より小高伝道所、勝沼、鴻巣、神奈川教会を牧会し、97年隠退。遺族は妻・佐藤麗子さん。
齋藤友紀雄(隠退教師)
25年2月25日逝去、88歳。東京都生まれ。60年東京神学大学卒業、62年より阿佐ヶ谷、石神井教会を牧会し、いのちの電話に務め、03年隠退。遺族は子・齋藤恵文さん。
小暮光司(隠退教師)
25年2月28日逝去、93歳。群馬県生まれ。57年同志社大学大学院修了、同年より紫野、坂祝、各務原、玉島、京北、東灘教会を牧会し、01年隠退。遺族は子・谷慰作さん。
鳥羽和雄(隠退教師)
25年3月7日逝去、95歳。東京都生まれ。54年日本基督教神学専門学校卒業、同年より仙台東一番丁、二宮、三春、白河、小金、松阪、大磯教会を牧会し、10年に隠退。遺族は妻・鳥羽徳子さん。
小林昭雄(無任所教師)
25年3月16日逝去、98歳。広島県生まれ。55年関西学院大学大学院修了、同年より95年まで関西学院大学に務める。遺族は甥の子・恵直子さん。
正教師登録
齋藤 彩(2024・12・2受按)
杉野信一郎(2025・2・22受按)
大石茉莉(2024・12・15受按)
正教師転入
洪 正杓、大橋邦一(第2回臨時常議員会承認)
教師異動
新生 就(代)矢吹大吾
西東京 辞(担)加藤知祈
〃 就(主)加藤知祈
聖蹟桜ヶ丘 辞(担)藤本百合子
成瀬が丘就(担)蓮沼 明
北星学園女子中学高校 就(教)小西陽祐
三木志染辞(主)近藤泰男
大牟田正山町 辞(主)赤松真希
〃 就(代)矢﨑和彦
日本医療伝道会 就(教)赤松真希
横浜磯子辞(担)鳴坂明人
九段 辞(代)林 牧人
〃 就(主)鳴坂明人
卯之町 辞(主)尾﨑武蔵
〃 就(代)森分信基
野村 辞(兼主)尾﨑武蔵
〃 就(代)森分信基
京都 辞(主)入 治彦
〃 辞(担)入 順子
三木志染就(主)入 治彦
〃 就(担)入 順子
紀伊長島辞(主)森下 研
〃 就(代)嶋田百々子
真和志 辞(主)芳澤 信
〃 就(代)髙多 新
元浦河 辞(代)五味 一
〃 就(主)大槻茂勝
教師隠退
田中ケイ子、山本香織、
山本裕司、近藤泰男、
前島宗甫、五味 一
教師退任
宇佐美節子
教師改姓
森田聖子→パディオス聖子
伝道所廃止
山辺
アジア各国の性的マイノリティーの状況を共有
カナダ合同教会からの支援を受け、2月24日から28日までネパール・カトマンズで開催されたILGA(国際レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス協会)のアジア地域会議に参加した。アジア各地から約600人が集い各国における性的マイノリティ(LGBTQ+)の権利向上や制度改善の取り組み、困難な状況などを共有し互いの知識、経験から学び合った。
毎日4〜5種類の分科会があり主題講演にはネパールの担当大臣や国連のジェンダー部門代表も参加。ネパールは台湾(2019年)に続き2023年、アジアで2番目に同性婚を認めている。インターフェイス(宗教間対話)の分科会はヒンドゥー教徒、仏教徒の参加者が大半だった。宗教の伝統と反ジェンダーの考え方に基づく男女二元論や性別役割の強要に苦しめられた経験が多くの参加者から語られ、どの宗教においても聖典の誤った解釈による厳しい差別があるのではという問題提起がなされた。
今回、LGBTQ+に関する宣教・伝道は社会における活動との接点なしには進められないとの理解のもと、カナダ合同教会が日本と韓国の教会から参加者を送り出してくださった。特に東アジア社会で活動する人々や南アフリカから参加の牧師と親しくなることができ、日本の部落解放センターの働きについても会話を通じて紹介する機会があった。社会から隔絶するのではなく社会に存在する共同体として、日本の教会がどのようにLGBTQ+に対する差別を宣教・伝道の課題としていけるだろうかと考えさせられると同時に、日本特有の部落差別の課題を海外の人々に伝えていく重要性を実感した。
これほど多くのLGBTQ+が一同に集まる貴重な会議への参加を支援いただき心から感謝である。次回は2027年フィリピン・マニラでの開催。次世代の参加が続くことを願っている。(上野玲奈報)
退職準備金借入を責任役員会に申請
日本基督教団出版局の第43総会期第1回理事会が、2月21日に全理事・監事の出席の中で開催された。冒頭に出版局理事会の使命と役割を共有するために、出版局より資料に基づき説明が行われ、種々意見交換を行って出版局の課題を共有した。
その後、理事長・書記選任を行い、髙橋潤理事が理事長に、飯塚拓也理事が書記理事に選任され、鈴木功男理事が常任理事に選任された。その後、諸報告を受けたが、財務報告の中で2024年度決算において厳しい決算となる旨が報告された。これに関連する形で、雲然俊美教団議長によって「出版局の経営改善会議(仮称)」が組織されたことが報告された。会議の構成者は、雲然教団議長、藤盛勇紀教団副議長、黒田若雄教団書記、髙橋出版局理事長、飯塚出版局書記理事、網中彰子総幹事、服部能幸監査とのことである。出版局の運営に関しては第43教団総会においても協議され、財務審査委員会より大切な提言をいただいている。出版局は教団の文書伝道の使命を担い、キリスト教書出版においても社会に大きな役割を果たしている。従って、出版局の今後に関しては出版局だけでなく全教団的な協議が必用である。そのために、雲然議長のリードのもと、「出版局の経営改善会議(仮称)」が設けられたことを重く受け止めることが確認された。
また、2025年度に定年を迎える職員の退職金確保のために退職準備金借入を行う必要があり、責任役員会に退職準備金借入を申請することを可決した。2025年4月より出版局長代行が交代し、網中総幹事がその役割を担うこととなった。総幹事が出版局長代行を兼務することは大変なことだが、出版局の諸課題にスピーディーに取り組むことを目指してのことである。全国の諸教会・伝道所の祈りとお支えにより、難局を乗り越えていきたいと願っている。また、長く出版局長代行の重責を担ってくださった飯光氏に感謝しています。(飯塚拓也報)
外国人住民基本法の制定を求める署名に協力
私どもの生きる社会は多種多様な人々によって構成されている。私どもはそれらのよき隣人であることが求められている。
そのような願いを実現すべく、在日大韓基督教会との宣教協約に基づき、教団常議員会のもとに「在日韓国朝鮮人連帯特設委員会」が設置され、それらの課題に取り組みキリスト教諸団体と思いを共有している。
2月27日に本委員会の第2回委員会をズームによって開催した。すでに第1回常議員会の休憩時間を利用して組織を行い委員長に久世そらち、書記に岸憲秀を選任しており、また、1月23日、24日の大阪で行われた「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)」の全国集会への委員長の派遣を決めており、その報告から第2回委員会を始めた。
委員会においては外キ協から依頼された外国人住民基本法制定を求める署名について今年度も協力することを決め、また、委員会としてもこの課題を共有する学びをすべきと協議をした。その際、四国教区で佐藤信行さん(外キ協事務局)による講演の記録をまとめることが紹介され、それを通して学びを深めることが提案された。また、広く課題を共有するため、委員会内に留めるだけでなく、広く諸教会等にも共有すべくふさわしい仕方で配布していく方向ですすめていくこととした。
また、教区や地域での取り組みの情報収集も必要だと思われ、その方法について今後検討していくことにした。
例年参加している「全国キリスト教学校人権教育セミナー」(8月11〜12日、大阪)には岸書記を派遣することを決めた。(岸 憲秀報)
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