交わりのうちに働く神
半田教会牧師 横山ゆずり
「ヨナはよげんしゃ、むかしのよげんしゃ…」(山崎てつや作詞・作曲)の賛美と一緒に、昨年のクリスマス会ではヨナの物語が子供たちによって演じられた。教会学校に集う子供たちが教会学校教師の作った台本を下に劇を披露したのだ。その中でなんと言っても目を惹いたのはヨナを飲み込んだ大きな魚であった。実はこれ、クリスマスよりさらに五ヶ月前、幼小科(四歳~小学二年生)の夏期学校で作られた。子供一人が入れるほどの木箱を魚の胃袋に見立て、その上に生き物大好きの牧師がダンボールで魚をかたち取り、子供たちが装飾できるようお母さんたちがダンボールの上から新聞紙を貼って作った張りぼての魚。それを夏期学校当日、何色もの色画用紙で出来た鱗に模様を施し、子供たちが魚に貼り付けて完成させた。出来上がった魚は翌日、劇中ヨナを飲み込んだ魚として大活躍。メインは、ひとり一人がヨナになり、魚のお腹に入ってお祈りをするところだ。予め用意された祈りの言葉を、懐中電灯を持ってお腹の中に入って読み上げ、祈りの後、救出されるというものだった。ちょうど夏期伝道実習生として来ていた韓国留学生のY姉がハングルで祈った時には、子供たち皆が魚の周りに集まり、声を潜めてじっと彼女の祈りに聞き入るという場面もあった。「ヨナは預言者」の歌と劇とが合わさり、子供たちが大きな声で賛美する姿がとても印象的だった。これが好評で、夏期学校だけで終わらせるのはもったいないという声が上がり、再度台本の構成を変えて、幼児から小学科の子供たち全員による劇を発表することになったのが、昨年のクリスマス祝会だった。
ここで少し説明させていただくと、半田教会は毎年四回夏期学校を行う。知多奥田キリスト教センター(通称奥田センター)主催の一日夏期学校、半田教会主催の幼小科(四歳~小学二年生)、小学科上級科(小学三年~六年生)、そして中高青年科夏期学校の四つである。後者二つの会場は岐阜で二泊三日のプログラムだが、幼小科夏期学校は半田教会の伝道所である奥田センターを会場として一泊二日の夏期学校を実施している。
奥田センターは一九九二年半田教会が約一七キロ南下した知多郡美浜町(人口約二万五千)に開設した伝道所である。夏期学校の会場の一つが美浜町にあるので、地元の子供たちも参加しやすく日帰りの部分参加も可能、また半田教会の子供たちとの交流の場にもなっている。身近な距離なので、夏期学校のお手伝いをして下さる保護者特に母親同志の交流の場としても貴重なのである。
半田教会に知多奥田キリスト教センターが与えられているということは、常に伝道へと出て行く拠点の一つが備えられていることを意味する。しかも両者は、半田は半田、奥田は奥田とバラバラではなく、互いにつながり、子供であれ大人であれ、人の行き来を通して主のみ業が伝えられていく。子供たちが半田と奥田を行き来すること、それは主にある交わりを作り出す道へとつながっていくだろう。
「ヨナは預言者」の歌詞はこう締めくくられている。僕も私も預言者と歌った後、「神さまから言われたことを、言われたとおりに伝える仕事、それがよげんしゃ、しっかりやろうね」。子供たちの賛美を通して主からの励ましを聞いたのは、何よりもわたしたち大人ではなかったか。互いの行き来を通して主のみ業が伝えられるようにと祈り願っている。
熊谷一綱氏(隠退教師)
二月三日、逝去。七七歳。東京都に生まれる。一九五五年青山学院大学基督教学科卒業後、五六年から九七年まで関西学院大学に教務教師として奉職し、二〇〇〇年隠退した。五八年から五九年まで初芝教会を牧会した。遺族は妻の陽子さん。
教団年金を支える み言の役者を生み出すために
楠本史郎
中部教区総会は〇四年度より教区内諸教会の経常収入総額の〇・五%を教区通常会計から謝恩日献金として教団年金局に捧げることを決議した。〇五年度は教区通常会計予算総額の一〇・三%に当たる四〇七万円を計上し、捧げることができた。感謝である。
教団年金の逼迫が言われて久しい。年金局理事会が改革に努め、教団総会や常議員会に現状が報告されているが、各個教会次元での動きは順調とは言えない。中部教区の実情も変わらない。
しかし年金資金の確保は待ったなしである。教師の隠退後の生活を補助的に支える教団年金は教団全体の課題である。み言を宣べ伝える教師を生み出し、支えるために不可欠な制度である。伝道に生涯を捧げた教師の老後に配慮してこそ、教団は教師を生み出す教会と言える。これは各個教会の課題でもあり、教区が一定の役割を果たすことが望ましい。全教会が経常収入の一%を捧げれば、年金制度を維持できると考える。
そこで教区常置委員会は前述の議案を立て、教区総会もまた議論を重ね承認した。教区で〇・五%をまとめ、さらに各個教会が〇・五%を目安に謝恩日献金を捧げる。こうして全教会が一%を捧げて年金制度を支える道が開かれた。
教会も教区も財政は厳しい。しかしだからこそ教区が各々の実情に応じて年金制度維持のために具体策を立て、諸教会に呼びかけることができるのではないだろうか。諸賢のご意見を承りたい。
(中部教区総会議長)
WCC第9回大会が、ブラジル南部のポルト・アレグレ市にある「教皇立カトリック大学」を会場として、二月一四日から二三日まで開催され、日本基督教団の代表として大宮溥、上田博子、日本聖公会の代表として西原廉太、在日大韓基督教会の朴寿吉、日本キリスト教協議会の山本俊正(総幹事)、日本聖書協会総主事の渡部信の各氏が出席した。代議員は約七〇〇名だったが、全体の参加者は四、〇〇〇人に上った。
今大会の主題は「神よ、あなたの恵みによって、世界を変革してください」であった。この主題に応える声明「ひとつの教会となるための招き」を最終日に採択した。声明はエキュメニカル運動をさらに進展させるため、相互聖餐、教職者の職制の相互承認などを論じている。また約三四〇の加盟教会に声明の検討を求めている。
中央委新議長にワルター・アルトマン牧師(ブラジル・ルーテル福音教会議長)がカトリコス・アラム一世(アルメニア使徒教会)の後任として選出された。また八名の新議長が世界各地から、またギリシャ正教会と東方正教会から選ばれた。理事に相当する中央委員一五〇名も選出され、日本からは二期一四年間勤められた平田真貴子氏にかわり、西原廉太氏が選出された。
大会は毎日朝八時三〇分の礼拝に始まり、グループでの聖書研究、全体会、夕方六時三〇分の夕拝で終了した。夕拝終了後や昼食休憩時だけでなく大会プログラムと並行して多くの「ムティラオ」(ブラジル語で集会所の意)が催され、ワークショップ、展示、イベントなどがなされた。また、二二分団に分かれて「エキュメニカル対話」がもたれ、様々なテーマで協議された。
全体会では、経済的正義、宗教的多元性、暴力の克服、教会の一致についての発題と協議がなされた。ムティラオ、エキュメニカル対話等の成果や全体会での協議を踏まえ、「ラテン・アメリカ」、「軍事的暴力にさらされている人々への保護の責任」、「テロと人権」、「国連改革」、「朝鮮半島の平和」、「命の水」などの声明が発表された。
今大会ではWCCの活動の縮小と効率化が決定された。これはWCCの危機的な財政難からの決定であり、「霊性と使命」、「教会形成」、「世界の正義」、「論理的な声と預言者的な証し」の四つの分野の活動に焦点を当てることとなった。WCCは、一九九八年の前大会から今大会までに三〇%の収入減となっている。
WCCは一九七〇年代、八〇年代に南アフリカのアパルトへイトその他の差別暴力構造解消のために人種差別撤廃プログラムを展開して大きな成果をあげた。今年は二〇〇一年から開始した「暴力克服の十年」プログラムの中間点にあたり、後半の五年間についても協議された。しかし、課題が多すぎて焦点が定まらない、WCC以外にも同じ課題を担う多くの団体が新たに立ち上がっているなど、WCCは新たな局面にさしかかっている。
期間中、ルラ・ダ・シルバブラジル大統領、ウィリアム・カンタベリー大主教、南アフリカのツツ大主教が訪れ、それぞれ味わい深いスピーチをした。世界の教会が目に見える形でひとつに集う場のシンボルとしてのWCC大会の意義は大きいが、その一方、新しい関係の構築の必要性も認識せざるを得ない。
この機会に、大宮溥世界宣教協力委員長がサンパウロ福音教会(小井沼國光・眞樹子宣教師)を、上田博子宣教幹事がサンパウロ福音教会、マリンガ・メソジスト愛光園教会(宮本純子宣教師)、ブエノスアイレスの在亜・キリスト福音公同教会をそれぞれ訪問できたのは誠に幸いなことであった。
第34総会期第四回の委員会を二〇〇六年二月二七日(月)午後一時〜三月一日(水)午後一時、沖縄のぎのわんセミナーハウスを会場に開催すると共に、基地等の問題について現地研修を行った。
協議された主な事項は下記のとおりである。
1、左記の発題を委員二名が担当した。
〈発題1〉 「パレスチナ問題に関する問題提起」山本光一委員。
〈発題2〉 「知的障害者への福祉と今日の課題」長沢道子委員。
それぞれ、良く準備された発題であったが、討議する時間がとれず残念であった。なお、その内容は、後日、社会委員会通信に掲載の予定である。
2、奥羽教区から二〇〇六年二月一五日付けで、「三陸南地震被災復興支援報告書送付とお願いの件」が届いたので対応を協議した。復興のためになお苦労しておられる。要請があれば再度募金を実施することとした。
3、フィリピンのレイテ島での大規模地滑災害の被災救援募金について協議した。ACTからの要請を待って具体的な対応を検討することとした。
4、社会福祉施設援助金(クリスマス献金二八〇万円)の配分のために各教区に推薦をお願いすることとした。一件につき一五万円を目処に実施する予定である。
5、全国社会委員長会議の開催について協議した。前総会期の委員長会議で問題が起こり、その反省と総括が未だできず、かつ、会議のあり方について委員会で一致した見解を持つにいたっていないので、今総会期の開催は断念することとした。
6、「社会委員会通信」の内容と発行時期を決定した。第39号を四月中に発行する。委員会と靖国天皇制問題小委員会での講演と発題が内容の中心となる。第40号は九月発行を目標として、今委員会での研修報告や発題等を掲載することとした。
7、次回委員会について協議し、憲法問題や国家と宗教の問題を含め、「今日における教会の社会的責任」と題して滝野川教会の深井智朗牧師から講演を伺うこととした。これは前総会期から継続している教団社会問題基本方針をめぐる協議の一環として行われる。
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以上が協議内容であるが、今委員会は沖縄基地問題等の現地研修を、ぎのわんセミナーハウス研修プログラムに従って実施することができた。天候にも恵まれ、セミナーハウス職員の又吉京子さんには懇切丁寧な案内と説明をしていただいた。訪れた場所は左記のとおりである。
二月二七日(月)、嘉数高台、米軍ヘリコプター墜落事故のあった沖縄国際大学、佐喜眞美術館。
二月二八日(火)、端慶覧、砂辺・嘉手納、読谷、金武、辺野古を含む名護北部。
ことに、普天間基地の移転候補地となっている辺野古では、海上基地建設予定地を遠くから観察すると共に、「米軍基地再編反対」、基地建設阻止のために作られているテントをお訪ねし、「沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会」(略称・沖縄平和市民連絡会)のメンバーである当山栄さんから、これまでの経過や現在の状況、今後の戦いについてお話を伺うことができた。
次回の第五回委員会は六月二六~二七日、第六回委員会は九月一一~一二日に開催予定である。
(張田眞報)
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