『教団新報』今号を四六三二・三三合併号とし、四六三四号は九月八日発行とします。
総幹事 内藤留幸
この度の新潟県中越沖地震は、この地域に立てられた諸教会にも甚大な被害を与えた。四面に著したように、日本ホーリネス教団柏崎聖光キリスト教会の礼拝堂・集会室は全壊した。最も被害が大きい地域に位置する柏崎伝道所は、目立った被害はなく、ボランティアセンターとして用いられている。但し、会員宅一軒が大きな被害を受けた。
新井教会は新しくなった会堂は無事、隣接する未だ老朽化したままの牧師館は心配が残る。正規の検査を受けた後でなければ確かなことは言えない。高田教会は、表面的には何事もなかったように見えるが、土台部分に走る亀裂が心配、専門家の診断を待つ。
柏崎伝道所に「ボランティアセンター運営委員会」が置かれた。志願者は、柏崎教会宛て事前に連絡のこと。宿舎は提供できるが、他のことは各自で。食料は現地調達が可能とのこと。 (二・四面に関連記事)
常議員会一日目夕食後、常議員懇談会が、多数の陪席・傍聴者も出席して開催された。テーマは、第35回総会での差別発言と未受洗者陪餐問題の二つで、差別発言問題に三〇分間、未受洗者陪餐問題に一時間が当てられ、小林眞副議長が議長を務めた。懇談会のため、常議員会の記録には残さず、発題を受けて自由に意見を述べる形で進められた。
まず第35回総会時の差別発言問題では、東谷誠常議員が発題した。部落解放センター委員長でもある東谷常議員は、現在でも結婚などに際し、差別が行われていることを説明して、「未だに解放されていない中にあって、35回総会で同性愛者を巡って二人の総会議員が発言した内容は、許されないものだ。イエスの言葉を人を排除することに使わないで欲しい。この問題についての学習会を教区、教会・伝道所で行われるよう議案を提案した」と語った。
この発題に関し、「発題の趣旨はよく理解しているが、発言した人もまた教会の一員。それを受け入れられないというのも又差別になることも考えて欲しい。この問題は、信仰の本義に戻って考えて行きたい」「性別の問題は戸籍システムと関わっている。出生届には性別、嫡子・非嫡子かを書かねばならないが、姓別について近年、二分法では割り切れないケースが多々報告されているし、医師の間違いもあることも考慮すべきだ」「身長を巡っても差別があり、善意の中でも差別
発言はある。人間のいるところ差別はあるといってもよい。このことを自覚・自戒することが肝要だ」「被差別地区の女性の結婚式が教会で行われた時、皆で祝福したことが当人、周囲の人の大きな喜び、励みとなった。このことを教会は常に覚えて行きたい」など四人の常議員からの発言があった。
続いて、北村慈郎常議員が聖餐についての発題を二〇分間行った。北村常議員はまず、「沖縄教区不在の中で行われた第35回教団総会の聖餐が正しい聖礼典の執行といえるのか」と切り出し、未受洗者陪餐を執行している立場として、「教会内で三、四年かけてじっくり論議をし、教会総会で決定したことで、組合教会としては許容されることだと思っている。決して軽々しく未受洗者陪餐に踏み切った訳ではない」と述べた。
また、聖書学の成果から、パウロの閉ざされた聖餐に対し、マルコは開かれてしかるべきと考えていたとする学者の解釈を紹介し、教会論、宣教論から「開かれた聖餐も有り得る」とし、「受洗→聖餐という閉ざされた聖餐を否定している訳でなく、多様性があってもよいと考えている」と語り、教憲教規違反とする信仰職制委員会答申に関して、「本当に違反なのか疑問がある。旧新約聖書は唯一の正典で、教憲教規に勝っており、聖書の解釈に多様性があれば、開かれた聖餐もありうる」と述べた。
これに対し、「教団という一つの教会において聖餐に関する相反する二つの解釈、執行が成り立ち得ると本当に考えているのか。一つの教会であるために教憲教規を定め、聖礼典の執行は教団の取り決め事項としており、各個教会で自由に決めていいとするなら、教団の外に出て行うしかない」「組合教会だから、という主張は到底承認できない。組合教会の自由をそこまで拡大解釈するなら、組合教会は成り立たない」「常議員が公の場でこうした主張を述べたことに大きな衝撃を受けた」「こうした論議を聞いて『キリストが段々遠くなる』という信徒の気持ちを教職はどう聞くのか」などの反論が相次いだ。
陪席・傍聴者からも発言を求める手が多く上がり、「当該教会は議論を積み重ねて執行に至った。教憲教規を定めるときに神学的論議が交わされたのか」「大阪教区では05年から常置委員会が聖餐に関する学習会を開いている」「合同教会の多様性だけを強調して、公同の教会という点に目をつぶっているのは何故か。教憲教規に従えないというなら、自ら信ずるところに出ればよい」など、熱の入った論議が時間一杯展開された。 (永井清陽報)
能登半島地震に一億五千万円の募金開始
教団総幹事に内藤留幸氏選任
第35総会期第二回常議員会が、七月九~十日、教団会議室で開催された。
組織会では、新しく教区議長に選出された四氏が挨拶した。疋田國磨呂関東教区議長は、中越地震救援募金の御礼と更なる協力依頼を述べ、高橋潤中部教区議長は、能登半島地震救援募金への協力を呼び掛け、宮﨑達雄東中国教区議長は、「経常会計五〇〇万円以下の小さい教会が多い。小さい教会を覚えて議論が進みますようにと」と語った。また、柴田もゆる西中国教区議長は、「地方の教区の問題を共有するために、教区常置委員会による常議員会への提案権回復」を訴えた。
総幹事報告では、予算決算での款項目変更の是非や『教団新報』紙記事の見出しについて、セクシュアルハラスメント問題への対応について、等の質疑も行われたが、多くの時間を費やしたのは、山北宣久教団議長名で、教団出版局宛てに、『信じる気持ち』という題名の単行本の出版停止を要求する文書が出されたことに関するものであった。
山北議長は、「研究書ではなく入門書なので、これが教団の信仰理解と受け取られることを懸念する。事は、復活理解等教団の生命線に関わるものだ。看過出来ない」と、問題点を指摘、「出版停止・回収に値する。しかし、そのような指示はしていない」と説明した。
この件を巡り、本の内容よりもむしろ、議長文書とその公開の是非が議論された。(二面に関連記事)
「総幹事選任に関する件」が審議され、山北議長が内藤留幸氏を候補者として上げた。内藤留幸氏の年齢・健康を懸念する意見も述べられたが、就任は承認された。竹前昇前総幹事の病気による途中退任について経緯を説明した後、内藤氏が挨拶し、「教団の形成・使命の実現に少しでも役に立つならと、祈って決断した。教憲教規を大事にし、諸委員会を大事にする」と、特に教憲一条を上げて所信を述べた。
「『新潟県中越地震』被災教会会堂等再建支援委員会報告」では、小橋孝一委員長から各被災教会の現状が詳細に報告された。特に、「三〇〇〇万円の支出計画増により、献金不足額は二〇〇〇万円となる」と、予算が当初より膨らんだ経緯について詳しい説明があった。
また疋田國磨呂関東教区議長が個々の件について詳細に報告し、「半分の七五〇〇万円を教区として達成したい」と決意を述べた。
山北議長は、献金目標額を一八〇〇〇万円に上げることを含めて承認を求めた。「別に議案を起こした方が良い」という意見もあったが、愛澤豊重総務幹事からの、「提案事項を含む報告なので、報告を承認の上、提案を採決したら良い」との説明に基づき、委員会報告が承認され、その後、目標額の増額が可決された。
「『能登半島地震』被災教会復興支援に関する件」が上程され、大杉弘常議員が議案を朗読した。提案内容は、「再建支援委員会」を設置し、一五〇〇〇万円を目標額に募金を開始するというもの。提案理由では、被災した各教会・関係施設の現況報告が記され、また地域と各教会の財政状況にも触れられた。
高橋潤中部教区議長より、地震当初から今日に至る経緯が説明され、「風評被害をおそれ、報道が規制されたため、実際より被害が小さい印象を与えている」こと「教会の立地が川に近く土地が液状化した」ことなど、詳細に述べられた。
また、七尾教会の牧師釜土達雄常議員は、教会と附属施設が一体となって伝道してきた経緯を強調、「謝儀も注ぎ込んで幼稚園経営が成り立っている現実」等を切々と訴えた。反対意見は全くなく、応援とも言える意見が次々と述べられた後、原案が賛成多数で可決された。委員の人選は、後に、次のように決定した。原田謙(招集者)、大杉弘、長山信夫、津村正敏、小林眞。(新報編集部報)
礼拝が始まり、賛美をささげていると、遅れて入ってきた一人の利用者が前のテーブルの上に丸めたティッシュを置いた。その意味を、もはや知っている利用者の皆さんは何も言わないで讃美歌を歌っている。社会福祉法人施設の礼拝のことである。
以前、この利用者が礼拝中に前の机の上に丸めたティッシュを置いたとき、礼拝をささげている他の皆さんが、洟をかんだティッシュだと思って、一斉に抗議した。そんなことして、失礼じゃあないか、というわけである。この利用者が、「献金だよ」とぼそりと言いつつ丸めたティッシュを置いた声を聞いているので、この利用者の行為を説明したのであった。後でその丸めたティッシュを開くと、確かに貴い十円玉が入っていたのである。この利用者は、毎週の礼拝ではないが、時にはこのようにして献金をささげてくれるのである。いつも何かをつぶやいている。このつぶやきは神様への深い祈りなのである。
利用者の皆さんのお祈りをいつも示されている。礼拝中、絶えず奇声を上げている人、つぶやき続けている人、これらもお祈りだと受け止めているのである。ティッシュでささげられた献金は教会においてある新会堂建築のための献金箱にささげている。
今日も施設の礼拝である。おのずとティッシュ献金の利用者を探している。皆さんの祈りは当教会の宣教の基であると示されている。
(教団総会書記 鈴木伸治)
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