九月十日(月)~十一日(火)、東海教区の静岡教会、蒲原教会を会場として第35回総会期第三回伝道委員会が開催された。
山岡創委員の開会礼拝に引き続き、諸報告を承認した。協議に入り、主な協議内容としては、まず建築資金貸出申請に関して、東海教区の駿府教会から、会堂建築のために四百万円の資金貸し出し申請があり、申請書類に目を通し、協議ののちこの件を承認した。
次に、来年六月に開催予定の教区伝道委員長会の件については、六月は他の集会・会議等が込み合い、十一日(水)~十二日(木)に決定した。テーマは、日本社会の高齢化に伴い、高齢者にいかに伝道するかを今日の教会の課題と考え、〈高齢者の課題と伝道〉と定め、講師を、岡本知之氏(西宮教会)にお願いした。発題者として二名を予定している。
また、前回から継続審議となっていた放送伝道共同委員会の活動残金二千七百万円の使途について協議した。
教団として放送局を開設する、FEBCの放送枠を一部購入する、教団のホームページ開設等の意見が出されたが、教団のホームページ開設の費用は、教団の資金が用いられるとのことなので、上記の意見も含め、山岡書記が具体案を考え、次回委員会に提案することになった。
二日間に亙る委員会開催中の初日の夜、今回からの新企画として、伝道委員会主催の伝道講演会が静岡教会で開催され、同教会主任教師である伊藤瑞男牧師より、〈私の伝道〉と題してお話を伺った。四〇年に及ぶ伊藤牧師の伝道の姿勢、また教会総会会員の設置、召天者記念式、CSスタッフのための早朝礼拝など、具体的な工夫も伺い、大いに勉強になった。六八名出席。
二日目の午前中は、蒲原教会を訪問し、西之園路子牧師より、教会の歴史、伝道の課題等を伺い、質疑応答後、具志堅篤委員の奨励により、信徒の方々と共に祈祷会を守り、静岡の地を後にした。
(山岡創報)
九月六日~七日にかけて第35総会期第三回宣教研究所委員会が開催された。
内藤留幸委員長の教団総幹事就任に伴い、宮本義弘書記を新委員長に、長谷川洋介委員を新書記に選任し、欠員の委員に上田光正教師を補充した。
第一日目は委員二名の発表を行い、神代真砂実委員は教団の信仰告白・教憲教規・式文に見られる教団の教師理解について語った。
信仰告白は教団がプロテスタント教会の伝統に即し、聖書の権威の下に立つことを確認し、主キリストに啓示される神を一貫して主語として、神の経綸について語る。教憲前文も神の経綸から始めると同時に、公同教会の概念を強調する。この公同教会が地上に教団という全体教会の形を取る。これが教憲第一条につながる。教団は公同教会の権能を行使し、福音伝道、聖礼典の執行、終末待望によって神に仕える。教憲教規による政治的権威の順序は教団→教区→教会である。教師は教団の権威の下に立つと共に信仰告白に準拠している。教団は神の主権的働きの下にあり、教師は神の働きに参与するのである。
二人目の越川弘英委員は同志社大学のキャンパスミニストリーの現状について語った。
大学のキリスト教文化センターの位置付けは大学執行部に直属し全学に対してキリスト教主義教育に関わる。センターの九名の教職員の内所長一名、専任教員は二名である。今出川キャンパスと京田辺キャンパスの両方で活動する。活動内容は定期のものだけでもざっと十四に及び、その他必要に応じた活動や相談学生への個別対応がある。最近の活動事例としてはJR福知山線脱線事故及び福島でのバス事故関連の犠牲者に対する礼拝・祈祷会がある。同志社大学は学部毎の自治の意識が強く、センターの働きは各学部へ協力を求めるところから始めるのが現状である。
以下主な議事報告。委員構成が交替する中で委員会の継続性を誤りなく確保するためには議事録と会計報告に基づくことが確認された。資料室の規則と整理を整えていく。
(長谷川洋介報)
正教師合格者は20/69、厳しい結果
召命に応える姿勢が問われる
二〇〇七年秋季教師検定試験が九月二五日(火)~二七日(木)、大阪会場(大阪クリスチャンセンター)において行われた。受験者総数は九二名。試験直後に行われた検定委員会での学科試験判定の結果は次の通りである。正教師試験は六九名が受験し、うち合格者が二〇名、保留者が三三名、不合格者が十六名であった。補教師試験は二三名が受験し、うち合格者が九名、保留者が三名、不合格者が〇名であり、Cコース受験者の十一名が継続となった。保留者というのは、学科試験の結果が合格点にわずかに及ばなかった受験者で、レポートが課せられ後日そのレポートによる再判定を受ける者のことである。
秋季の教師検定試験は、正教師試験の受験者が多いのであるが、前述のように、結果は厳しいものとなった。正教師試験を受験する者は、既にそれぞれの遣わされた場において、日々宣教の業に励む中で試験に臨むことになる。教会・伝道所の主任担任教師、或いは担任教師としての働きをこなしながら、受験に取り組むことは困難な面がある。しかし、検定委員会は、毎回提出物の課題・学科試験の問題のいずれにおいても、基本的なものを求めてきた。つまり、教師として宣教に当たる時、どうしても弁えておかなければならない事柄を、試験という形で問うてきたということである。今回のこの厳しい結果を真摯に受け止めて、春季の試験を再受験する者は時間を工夫して準備して頂くことを切に願っている。
今回の試験においても目立ったことは、提出課題である新・旧聖書釈義の中に安易なものが少なくなかった、ということである。釈義の基本が弁えられておらず、その体をなしていないもの、注解書をそのまま写しているものなどがあった。聖書釈義から説教へという、教師にとって基本的且つ日常的な営みが軽んじられているのではないか、と懸念される。もしそうであれば、教会の営みの中心である礼拝にとって、由々しきものがある、と言わなければならないであろう。また、「黙想」についても、もう一歩深められたら良かった、と残念なものが多数あった。
それから、聖書についての知識は勿論のこと、組織神学的な思索・考察と教会史・教理史の知識も教師として宣教の業に仕えるためには不可欠なものである、と言える。その学びと訓練に基礎付けられて、実際の説教と牧会が行われていくし、主の教会が形成されていくことになるからである。今回も、提出課題である神学論文に、単なる現場レポートに終わっているものが多くあった。前述の聖書釈義に加え神学論文に、再提出を求められたものが多かったが、今後は改善されることを願っている。
教会の主任担任教師になれば特に、様々な実務をこなすことが求められるが、その場合、どうしても宗教法人法および教憲教規・諸規則についての知識が必要となる。牧師・伝道師の最も苦手なことが、事務処理であるとも言われるが、そのことが証明される結果となった。この方面の学びも教会に仕える大切な業であることを肝に銘じ、軽んじないで頂きたい。
学科試験後の個人面接に先立ち、面接の一日目と二日目に各々全体会が行われた。最初に各委員の紹介、次いで小堀康彦委員長が挨拶し、今回の試験全般について説明をした。その中で、現教師検定委員会の検定方針を解説し、特に教憲九条の「神に召されて正規の手続きを経て献身した者」について丁寧に説明がなされた。その後、質疑応答、意見交換がされたが、受験者からの質問は、試験会場の空調を快適にすること、緊急の連絡を速やか且つ正確に受験生に伝える工夫に関するものであった。これらについては、今後の課題となる。今回は、一会場での試験実施の三度目であったが、この方式が定着しつつあると感じられた。
教会と教団全体にとって、教師を立てるということは重要な課題である。そのために当委員会が負う責任の重さを自覚しつつ、主の召しに応えて教師として立つ人々が更に多く起こされるよう、祈るものである。
(倉橋康夫報)
*2007年秋季・正教師検定試験問題*
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
次の2題に答えてください。
1. 現行「宗教法人法」の特徴とされる三つの制度(認証制度、責任役員制度、公告制度)の中から一つを選び、説明してください。
2. 次の( )内に正しい言葉を書き入れてください。
ア 教団総会議員の任期は(a)年とする。
イ 教団総会議員(b)以上の賛成のあるとき、その代表者が教団総会に議案を提出できる。
ウ 教区総会は議員総数の(c)以上の出席がなければ開くことができない。
エ 教区総会議員(d)以上の同意があれば、教師または信徒は教区総会に建議または請願をすることができる。
オ 教会総会の定足数は教会規則において定める。ただし、現住陪餐会員総数の(e)を下ってはならない。
カ 主任担任教師が病気その他の事由で(f)以上その職務を行うことができないとき、役員会はその旨を教区総会議長に届け出なければならない。
キ 予算は、毎会計年度開始(g)前までに編成しなければならない。
ク 決算に当たっては、財産目録、貸借対照表及び収支計算書を毎会計年度終了後(h)以内に作成し、監事の監査を受けたうえ、責任役員会において定数の(i)以上の議決及び(j)の議決を得なければならない。
旧約聖書神学(60分)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. 旧約聖書における「義」について述べてください。
2. 旧約聖書における「生命(いのち)」について述べてください。
3. 旧約聖書における「憐れみ」について述べてください。
新約聖書神学(60分)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. パウロの教会理解について論じてください。
2. 新約聖書の使信の多様性と統一性について論じてください。
3. マタイによる福音書の律法理解について論じてください。
教会史(60分)
次の5題のうちから2題を選んで答えてください。
1. アウグステイヌスとペラギウス派の論争について述べてください。
2. コンスタンツ公会議について述べてください。
3. 次の3人の宗教改革者から一人を選び、その改革と神学について述べてください。
①ルター
②ツヴィングリ
③カルヴァン
4. アメリカの独立と政教分離について述べてください。
5. 日本基督教団成立の経緯と戦時下の状況について述べてください。
<講 評>
第35総会期二〇〇七年秋季教師検定試験が大阪クリスチャンセンターを会場に実施されました。今回の試験には九二名の受験者が与えられました。このことをまず、神に感謝するものです。試験の結果は報告にあるとおりです。
この試験は、神様の御前にあってなされるものですから、試験を受ける者にとっても、試験をする者にとっても大変厳しいものです。神様の召命に応えていく姿勢が問われるのです。受験者一人一人が、この試験の結果を謙遜に受けとめて欲しいと思います。そして、誠実に主の召命に応えていくための日常の姿勢を整えていく為の機会にして欲しいと心から願っています。伝道者としてこの日本で福音を宣べ伝え、主の教会を建てていくということは大変なことです。この歩みを全うするためには、聖霊の導きを願って絶えず祈り、聖書の言葉に聞き、学び続けなければならないのですから。
(小堀康彦委員長)
もうそろそろ終わってもらいたいと思えるほど、長々とお祈りをささげている人がいる。水曜日の祈祷会のときである。教会の歩み、教会員、社会の動き等、祈りの課題は果てしない。いつも教会の皆さんに声をかけ、皆さんの様子を知り、祈祷会ではそれらの皆さんを覚えてはお祈りをされる。これらの祈りが教会を支えている。
最近、母親と共に礼拝に出席している高校生になった少年が、礼拝が終わると同時に帰ってしまう。牧師が玄関に立つより先で、言葉を交わす間もないのである。母親は、教会の皆さんは小さいときからの彼を知っているので、つい体に触れたり、進学先を尋ねたり、将来の進路まで聞くので、彼はそれが嫌で帰ってしまうのですよ、と言われるのであった。
やはり幼稚園の頃から、教会には母親と共に出入していた青年が、教会の皆さんから、今の生き方を問われ、苦慮しているという。
教会の週報にこんなことを掲載した。
「教会におけるお交わりはすべての人が深められることを願っています。その場合、不用意な言葉が傷つけてしまうこともあります。次の言葉は避けてください。若い人に対し、『今、どんなお仕事をしているの?』とか、結婚した人に、『赤ちゃんはいつ頃ですか?』等。」
さて、反響はと言えば、牧師にいろいろ消息を尋ねてくる場合が多くなった。コメント次第でお祈りが長くなるのかも。
(教団総会書記 鈴木伸治)
103歳の新生
本堂ゑつさんは、一九〇四年八月十五日生まれの一〇三歳。八人の子どもを育て上げた。そして、昨年夏から六番目の本堂正さんの家に越して来ている。
沼津に来てからは、正さん夫婦に連れられて、毎週欠かさず礼拝を守り、二階にある礼拝堂へも階段を上り下りする元気なおばあちゃんである。
四月に同世代(?)の集まりであるシメオン会で牧師が説教したところ、説教が良く分かると言う。説教が分かるという声に牧師は勇気百倍、初心者の会に誘った。すると、そこでの入門書の読み合わせでは、周囲の者が驚かされた。若いだれよりも大きな声で、漢字も間違うことなく読み切ったからである。更に、教会生活入門書を一冊手渡すと、すぐに読破して、逆に牧師に質問したいことがあるという意欲的な反応だった。
遂に、本人に受洗の気持ちを確かめ、「日本基督教団信仰告白」を学んで受洗の準備をし、試問会でもイエス・キリストを信じる告白をされた。
洗礼式は、八月十九日の礼拝で執り行われた。さすがに緊張は隠せなかったが、誓約の「あなたは主イエス・キリストの救いのしるしであるバプテスマを受けることを心から願いますか」との問いに、駆けつけた子供たちと会衆一同の耳に届く大きな声で「はい、願います」との返事があった。ゑつさんは、三重県の生まれ。お国訛りが入った「願います」との誓約に心からの告白であることを感じさせられた。一〇三歳で人生を新しくされた沼津教会新星誕生の瞬間である。
ゑつさんは、幼い頃、なぜか「見えざる食卓の客、イエス・キリスト」という言葉を聞いたことを覚えていると言う。その言葉でキリストに出会い、一〇三歳でキリストに捕まり、新しい命に生きる者とされた。洗礼式が終わったとき、「最早われ生くるにあらず、キリスト我が内に在りて生くるなり」との御言葉が聞こえてくるようだった。
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