教区設立十年にあたって
吉岡光人
西東京教区は一九九九年に発足しましたので、今年で教区設立十年を迎えます。今年六月には十周年記念の礼拝が予定されており、この十年の歩みを小冊子にまとめる準備を進めています。西東京教区は決して順風満帆で始まったわけではありませんし、現在でも課題はたくさんあり、教区形成の大変さを皆が実感しています。しかし、信徒・教職の祈りと熱い思いが教区活動を推進させ、また他教区の方々からの励ましも頂き、今日まで来ることができました。これからの十年は更に様々な問題に直面することでしょうが、主は必ずその民を正しく導いてくださるとの信頼を持って、教区形成を進めてゆきたいと願っています。
教区設立の大きな動機は「教会を生み出せる教区になる」ということでした。残念ながら未だに目に見える成果は得られていません。むしろ解散・合併・離脱などで教会数は設立時よりも減りました。数年前から「教区が直接開拓伝道をしよう」と意見が出され、学びと協議、調査など重ねてきました。そして昨年秋から立川駅近くのレンタルスペースを使用して、「立川夕礼拝」を始めるに至りました。毎回二〇名から三〇名程度の出席が見られます。多くは教区の信徒ですが、他教派の方もおられます。求道者もおられます。嬉しいことにその中から教区内の教会で洗礼を受けるに至った方もおられます。今度どのようにしてゆくのか、主が示してくださることを祈り求めているところです。
(西東京教区総会議長)
二〇〇九年二月十六日、教団会議室において小井沼眞樹子宣教師派遣式が、秋山徹世界宣教委員会委員の司式、木下宣世同委員会委員長の説教によって執り行なわれた。
同宣教師は、ブラジルメソジスト教会からの要請を受け、オリンダ市のアルト・ダ・ボンダーデ・メソジスト教会に赴任する。
小井沼氏は所謂Cコースで教師検定試験を受験し、一九九六年に補教師の准允を受けた。その年にお連れ合いの小井沼國光氏と共にサンパウロ福音教会に宣教師として派遣された。
以降、國光氏が難病に罹り、二〇〇六年に帰国されるまで、孤独になりがちな日系の高齢者のためのディ・サロン「シャローム」を立ち上げるなど、ブラジルでの伝道活動に尽力された。
その後ブラジル現地へのくすしき導きと縁があり、今回の派遣が実現した。
木下委員長は、派遣宣教師のほとんどが現地の日本人教会に携わっている中、現地の方々への直接伝道のために派遣されるのは特筆されるべきことであり、マケドニアに渡ったパウロのように神の召しと祝福と受け止めて赴任していただきたいと説いた。歴史的な都市であるオリンダは同時に貧富の差も激しく、小井沼氏は最も貧しい地域にある教会に赴く。
派遣式後の茶話会では、お連れ合いを天に送った小井沼氏が、再度ブラジルに派遣されることへの感謝や励ましが多く語られ、同氏も決意を力強く述べた。
すでに「小井沼宣教師と共に歩む会」も結成され、支援活動が開始されたことが報告された。
二〇〇六年以降宣教師派遣が途絶えてきた南米教会との関係が、今回の派遣でさらに深められることが期待される。
同宣教師への支援に多くの方が加わることが願われる。
第36総会期において第一回宗教法人責任役員会が二月二四日、教団会議室で開催された。責任役員会は何処までさかのぼればよいか分からないほど、実は開催されていなかった。だからと言って、宗教法人の職務を怠っているのではない。宗教法人の職務は執行されている。教団特別財産の処理方法については、毎総会期の三役会で確認し第一回常議員会に報告している。すなわち、一九七四年一月二九日開催の三役会の決定「責任役員会としては特に招集しない。議事については三役会に一任するが、決議事項については、書面決議で責任役員の承認を得ること」である。
このように職務は遂行されているが、責任役員会を開催することは懸案事項であった。第一回の責任役員会は、まず宗教法人責任役員会の職務の確認を行った。予算決算については常議員会における議決を責任役員会の議決とみなして取り扱うことができるが、事業については法人責任役員会の責任になる。ことにセンターについては宗教法人規則によって設立されているもので、全く責任役員会が扱うべきものなのである。センターについては第35総会期から「センター明確化推進小委員会」を設置し、調査研究を行った。この委員会は第36総会期も継続して設置され、センターの自己決断を促している。日本基督教団に属するか、他の法人に属するか、独立の法人となるかである。教団に属することになれば、責任役員会が宗教法人の責任において管理することになる。
日本基督教団出版局については、当然宗教法人責任役員会の職務範囲である。出版局規定第二条「出版局の管理は、理事会がこれにあたる。理事会は教団総会に対して責任を負う」。この規定に対して、宗教法人責任役員会として責任をもたなければならないのである。出版局が借入れを行う場合、責任役員会の承認を得なければならないのである。
尚、法人会計監査委員から「会計監査委員会中間報告」が行われた。その中で、「責任役員会」と「会計監査委員会」との綿密な連絡の必要性を指摘している。
(鈴木伸治報)
議長に岩﨑隆氏復帰
第一二一回神奈川教区総会が、二月二一日、清水ヶ丘教会を会場に行われた。高柳竜二議長の司式により開会礼拝が行われた後、正議員二二五名中、一六七名で総会は成立。まず議長選挙の予備投票を行った後、「正教師の按手礼執行に関する件」が上程され、四名の按手礼受領志願者の所信表明と質疑を経て、高柳議長の司式により四名の教師の按手礼式が執行された。
主な議案の一つは、09年度の教区活動基本方策案および活動計画に関する件である。プロテスタント伝道150年を覚える旨の修正動議が出されたが、一五八名中、賛成六五で否決となり、原案が可決された。
続いて、09年度予算並びに各教会負担金割当案に関する件では、望月克仁財務部委員長がいつものように教区諸教会の教勢、財務状況などを詳しく分析、解説した上で予算案の説明を行った。予算は昨年度とほぼ同様の内容であるが、議論が集中したのは、各教会負担金割当案である。来年度は、財政規模の大きな教会で大幅に負担金が減額となる例があり、言わばその余波が諸教会に少しずつ影響を与えることもあって、とくに規模の小さな教会の負担増を危惧する意見が大半を占めた。しかし、教団・教区とも、現行の会計処理基準、算出基準では如何ともなし得ず、今後常置委員会で検討されることとなった。
議事の合間にいくつかのアピールが行われ、午前には、ランベルト・ヴァリーノ、アンジェリータ・ヴァリーノ両宣教師が「海員宣教協力」のためのアピールをし、その場で席上献金が献げられた。海員宣教は神奈川教区独特の宣教の業の一つであるが、多くの教職・信徒にとって活動の現場に触れる機会が少ないこともあり、関心や協力の盛り上がりに欠け、献金も目標額を大幅に下回っているのが現状である。席上献金は一六万八千円余りとなったが、今後さらに多くの協力が求められている。
午後には教団年金局理事の中林克彦議員が、主に謝恩日献金の増額を訴えた。昨年度から謝恩日献金の目標が一億一千万円とされのに伴い、神奈川教区に期待される分は一千万円ほどとなる。金額を聞くと負担感が大きいが、教区内諸教会の聖日礼拝献金の平均からすると2.8回分、あるいは経常収入の1%という具体的な例をあげて協力が呼びかけられた。
議長、副議長選挙、常置員選挙の結果は次の通り。書記は、議長と副議長の協議により藤盛勇紀議員(藤沢北)が選任された。なお、常置員選挙の結果は、総会閉会後、常置委員会が確認したもの。
【議長】岩﨑隆(六ツ川)、【副議長】高柳竜二(本牧めぐみ)
【常置委員・教職】孫裕久(川崎戸手)、宇野信二郎(横浜大岡)、秋間文子(茅ヶ崎南湖)、池迫直人(藤沢大庭)、寺田信一(海老名)、川又志朗(横浜明星)
【常置員・信徒】秦克彦(紅葉坂)、武田利邦(六角橋)、関滋夫(蒔田)、中林克彦(鎌倉雪ノ下)、數井紀彦(横浜指路)、杉森耀子(小田原十字町)
(藤盛勇紀報)
*伝道に関する冊子発行協議 伝道
第36総会期の第一回伝道委員会が二月十六日~十七日、教団会議室において開催された。
今期委員は、岩田昌路(狛江)、北川善也(洛北)、小林克哉(呉平安)、竹井真人(波浮)、竹内款一(神戸雲内)、山岡創(坂戸いずみ)、米倉美佐男(聖和/四月より札幌)の七名。
組織編成では、委員長に米倉委員、書記に岩田委員を選任、関係委員会の担当者については、宣教委員会に米倉委員長、「こころの友」「信徒の友」編集委員に北川、小林各委員、農村伝道に竹井、山岡各委員、刑務所伝道に岩田、竹内各委員を選任した。
前期委員会からの申し送り事項を引き継ぎ、日本伝道の更なる進展のために協議しつつ、今期委員会の方針と計画を決定し、二〇〇九年度予算を承認した。
特に二〇〇九年の意義を受けとめ、教団の日本伝道150年記念行事準備委員会の計画を全面的に支持し協力することを確認した。さらに呼称を「宣教150年」ではなく「伝道150年」で統一した。一五〇年以後の日本伝道の幻に仕えるため、講演記録を中心に伝道に関する冊子を発行する計画などを協議した。
「『農』に関する活動者協議会」は、前期委員会の申し送りにより、広く参加者を募るため、「『農』に関する協議会」と名称を変更した。協議会の目的や内容を十分に検討して、第七回協議会を二〇一〇年二月に関東教区内の会場で開催することを決定した。
二〇〇八年度後期分・会堂貸出金申請(一件)は、北千住教会(東京教区)への五〇〇万円の貸出を決定した。二〇〇九年度開拓伝道援助金申請(四件)は、美馬牛福音伝道所(北海教区)に一〇〇万円、大和高田伝道所(大阪教区)、児島教会(東中国教区)、さや教会(四国教区)に各三〇〇万円の援助を決定した。二〇〇九年度エクロフ基金融資申請(一件)は栗山教会(北海教区)に五〇〇万円の貸付を承認し、同委員会への推薦を決定した。
(岩田昌路報)
*積み重ねられてきた多岐にわたる働き 教会教育セミナー今期も開催へ 教育
第36総会期第一回教育委員会が、二月二四日~二五日、教団会議室において、委員七名全員が出席して行われた。
開会祈祷後、野村和正担当幹事より前期委員会の経過と当委員会の任務について教規に基づいて説明がなされた。次いで委員会組織を諮り、委員長に黒田若雄、書記に山畑謙を選任した。
続いて委員会日程について、及び前期委員会からの申し送り事項を確認した。各活動の働きにそれぞれの担当委員を定め、その小委員会で企画、検討、課題の整理を行い、委員会へ提案をするという形を今期も取ることとした。
当委員会の活動の主要な事柄として以下が挙げられる。教会教育プログラムの作成、キリスト教教育主事に関する件、教会教育セミナーの開催、クリスマス献金及び精勤生徒表彰に関する件、青年に関する件、キリスト教幼児教育に関する件、キリスト教学校に関する件等。このように実に多岐にわたる働きであるが、これまで積み重ねられてきた働きを覚えつつ確認の作業を行い、各担当委員を決定した。
前期に初めて執り行った教会教育セミナーがたいへん有意義なものであったことをふまえ、今期も開催することとした。日程は二〇一〇年三月を予定している。また今期の教育委員会の活動の中で新たなものとして、「全国青年担当者会」を開催することが特筆される。これは各教区及び関係団体より青年の活動に関わる代表者が集まり、それぞれの状況について報告し合い、課題を分かち合い、そしてネットワークを形成していくことを目標としている。二〇〇九年八月三一日に教団会議室において開催の予定。ぜひお覚え頂き、各教区より積極的に参加して頂きたいと願っている。
クリスマス献金及び教会学校応援セット等についての報告と今後の実施要綱について協議した。またキリスト教教育主事に関する要望等に関して協議し、特に養成校である聖和大学と関西学院大学との合併に関わる事柄を注視し、その結果を受け止めることを確認した。 (山畑謙報)
*戒規処分申立書」の取り扱いを協議 教師
二月十七~十八日、教団会議室で、第36総会期第一回教師委員会を開催した。
議事に先立って委員各自の自己紹介、内藤留幸総幹事挨拶、教師委員会の任務の確認がなされた。
その後、委員会組織として、委員長に松井睦委員(聖徒)、書記に雲然俊美委員(秋田桜)を選出した。
議事としては、今年六月十五~十七日、伊豆の天城山荘で開催予定の新任教師オリエンテーションについて協議し、主題は「教団の教師として宣教を共に担う」を継続することとした。また、プログラムに沿って内容を検討し、各講演のテーマや担当者を決定した。本オリエンテーションが、参加される新任教師にとって、教団の教師として立てられていることの意義を覚えると共に、教師相互の交わりを深める機会となることを願っている。
続いて、教団と各関係神学校とのパイプ役を担うことが教師委員会の大切な役割であることから、今総会期も教師委員会として各神学校を問安することとした(今秋実施予定である)。
なお、同問安とは別に、関係神学校とは教師検定規則第4条(試験科目に関する規定)改正に関わる内容につき懇談の時間をもつ予定であることを確認した。
また、教師委員会に属する諸事項として、教師継続教育研修費、神学校日献金、神学校交付金、神学生奨学金、牧会者共同研修会といった事柄について、これまでの経緯や現状、および課題について理解を深めた。
更に、教師に関わる事項として、今総会期では特に無任所教師の働きについて、その活動状況の把握等を検討することを話し合った。
次は、前総会期委員会において受理した「戒規処分申立書」(申立者・常議員会議長山北宣久、申立の趣旨・北村滋郎教師に対し戒規の適用を求める)に関して時間をかけて協議し、第36回教団総会の議決を踏まえて、同申立書の取り扱いについては教団総幹事に問い合わせること、また、教師委員会としてこの件をどのように扱うべきかについて協議し、今後、更に継続して検討することとした。
(雲然俊美報)
*宣教基礎理論、信仰問答の作成検討 宣教研究所
二月二三日~二四日に第36総会期第一回宣教研究所委員会が開催された。今期委員会組織は以下の通り。委員長宮本義弘、書記長谷川洋介、相浦和生、飯塚拓也、上田光正、神代真砂実、田中かおる。
本委員会として前期委員会から引き継ぐべき事項、また本委員会が新たに取り組むべき事項について整理して話し合った。引き継ぐべき事項の内、特に大きな課題としては「宣教基礎理論」の作成がある。宣教基礎理論という名称については前期委員会より申し送られたが本委員会で再検討し、前委員会がまとめた「宣教基礎理論作成のための共通理解」はそのまま引き継ぎ、これを下敷きにして作業を開始することとした。
また宣教基礎理論の作成に当たっては机上の理論とならないために並行して宣教基本方策も常に視野に入れながら作成することとした。この方針のもと次回委員会までに各自が宣教(伝道)方法に関する具体案を考えてくることとした。
本委員会で新たに取り組む課題は信仰問答の作成である。これは日本基督教団信仰告白の構造に対応するところの信仰問答であり、教会における伝道及び教会形成に資するものを目指す。教師や信徒がそれぞれの教会の信仰生活で使えるもの、そしてそこから信仰の力を養われるものを作る。このような信仰問答の必要性については委員全員の一致を確認したが、信仰問答の具体的な内容及び研究員を委嘱するか否か、更には作業手順については共通理解には至らず次回委員会において検討することとした。信仰問答については信仰職制委員会が一九五九年に「日本基督教団信仰問答改訂版」を出しているので、これとは全く別個に新たなものを作成するというよりも、現信仰職制委員会とも連絡を取りながら、また常議員会にも報告しながら作成を目指すことが望ましいという認識に至った。
宣教基礎理論や宣教基本方策、並びに信仰問答は教団の現状を考える時、とにかくその作成は急務であると本委員会は考えている。
(長谷川洋介報)
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