刑務所に赴く。月に一回であるが、第四木曜日の午後としている。刑務所に行く私を送り出す連れ合いが、どの集会に行くときよりもうれしそうだと言うのである。うれしくもないが、キリスト教の教誨を希望し、一ヶ月間を待ち望んでいる人を思うと、足が軽くなる思いであることは確かである。
この日の教誨は四人の受刑者であった。実はこのところ数ヶ月は、教誨希望者は一名であった。最初の三〇分は聖書のお話をし、讃美歌を歌う。その後は質問を受けたり、感想を聞いたり、雑談もする。彼はあまり質問をしないので、一方的にイエス様の教えを示していた。それでも彼はキリスト教の教誨を、たとえ一人でも希望していたのである。その彼は他の刑務所へと移されたのであるが、軽い足取りであったろうか。
新しく四名の皆さんに教誨を行った。キリスト教は初めての人ばかりであった。「十戒って何ですか」との質問があった。十の戒めを示し、これは神様が人間の生きるに必要な基本的な生き方であると説明した。ふと皆さんを見るとうつむいている。「そうか、皆さんはこの十戒に触れるんだ」と言うと、視線を落としたまま頷くのであった。
「殺すな、盗むな、偽証するな」…。人間は基本的な戒めを守れないので、神様はイエス様をこの世に遣わされて救いへと導かれたことを教誨で示したい。出所時は主にあって生きることで、足取りが軽くなることを願いつつ。
(教団総会書記 鈴木伸治)
笑顔で形作るえがおの園
町田市金井7-17-13
℡042-735-3000
特別養護老人ホーム・他
信仰に生きる「人」を紹介する「人ひととき」欄に、今号は、番外編として、「人々」を紹介したい。
教団新報4670号の「荒野の声」に、「笑顔」を主題としたコラムを載せたその翌週、下の写真に出会った。
廊下に模造紙二枚を貼り合わせた分くらいの台紙、そこに何十人もの顔写真が貼られている。近づいてよくよく見ると、一人残らず笑顔、にっこり、クスクス、破顔、笑いにもいろいろ個性があるが、全員笑顔。その笑顔が貼り合わされて、「えがお」の文字を形作っている。
一人ひとりの小さな笑顔が、大きな「えがお」に。…感動のあまり事務所を訪ねて、次第を尋ねずにはいられなかった。
舞台となったのは、特別養護老人ホーム「清風園」、町田市金井にあるキリスト教主義の施設。案内文、HP巻頭にも、次のように記されている。賛育会(経営母体)の方針、「賛育会は、すべての事業をキリスト教の精神に基づいて行う」。また、施設長の顔写真の吹き出しには、「清風園は、キリスト教の隣人愛に基づいて造 られた施設です」。
この施設から近隣にある関係施設「第二清風園」に転勤になった一職員が、その思いを込めて、置き土産として作成したものだと言う。キリスト教の隣人愛が滲み出ている。
清風園では、日本基督教団の教会による月二回の定期的な聖書の会を始め、数多くの集会が持たれている。
私たちの教会に集う人々の顔写真を集めたら、「きょうかい」または「しんこう」の文字を形成出来るだろうか。「いのり」はどうだろうか。 キリスト教の隣人愛が具体的に展開する場から、教えられた。
いよいよプロテスタント日本伝道150年を記念する年を迎えました。日本基督教団は、常議員会の決議に基づき、「キリストこそわが救い」との標題と、コリントの信徒への手紙一第一章十八~二五節を聖句として掲げ、「日本伝道150年記念行事準備委員会」において記念事業を計画しています。この事業を諸教会・教区においても覚えていただきたいと願っています。現在計画されている行事を開催順に紹介します。
【日本伝道150年記念日本基督教団創立記念日礼拝】
◎日時 六月二四日(水)午後一時三○分~
◎会場 富士見町教会
毎年教団創立記念日に教団として礼拝を行っていますが、本年はこれを伝道150年を記念して行います。この礼拝に併せて、在職五〇年以上の現職の教師への表彰を行います。リストを調査中ですが、おおむね七〇名の方々が対象となる予定です。
【日本伝道150年記念式典】
◎日時 十一月二三日(月・祝日)午前十時~午後四時三○分
◎会場 青山学院講堂
午前には礼拝を、午後一時三○分から記念式典を行います。式典では、橋本徹氏、加藤常昭教師の講演、キリスト教学校聖歌隊、ハンドベルの演奏などが行われます。また海外からも、日本伝道150年の歴史に関わって下さった諸教派からの来賓をお迎えする予定です。
この式典の前日に「日本基督教団信徒大会」を行います。この企画・実行については東京信徒会の方々に委託しております。
【日本伝道150年記念日本基督教団信徒大会】
◎日時 十一月二二日(日)午後六時~八時三○分
◎会場 東京山手教会
ここでは、東京信徒会作成による「映像による日本伝道150年の歴史」が上映され、互いの交わりを深め、伝道への奮起の時とするための準備がなされています。なお、この映像は記念式典の中でも上映する予定です。
どの集会も参加自由です。ふるってご参加下さい。
また当委員会として記念出版を計画しています。日本伝道150年の歴史を振り返ると共に、特に最近五〇年の教団の歩みをまとめます。これについては、様々な立場、見解の相違がありますから、一方的にならないように、二人の執筆者を立てるように計画しています。また宣教協力学校協議会、日本キリスト教社会事業同盟の歴史もまとめてもらい、掲載する予定です。
(藤掛順一報/記念行事準備委員会)
真理の主に圧倒されて
春原鈴子(東大和教会牧師)
一九四四年、青山学院高等女学部に入学して、初めて、聖書を手にしました。兄の友人からのお下がりで、文語体の分厚い聖書は、わけも分からず、興味も出ず、学内の礼拝でおしゃべりをしたと、職員室に呼び出されて叱られたり、全くの門外漢でした。
戦後、友達に誘われて行った教会では、青年会で男性先輩方が真理論争の真っ最中でした。教会で終わらず、駅についても終わらず、渋谷の駅頭で立ち話が続きました。聞いているだけでも、心熱くされる論議でした。
やがて、私立中高(男子、一般校)の英語の教師となり、中学のクラス担任として、生活指導、人生指導等の課題に直面しました。教師という立ち場で、中学生の心の中に踏み込んで行けない焦りがありました。その時に、神が、方向転換を指示されました。当時はかなりの理屈屋だったのですが、神には理屈が通りませんでした(ルカ14章28~32)。両手を挙げて神に従うしかないと定めた時、身も心も軽くなりました。ペテロ第一書1章8節の通りです。そして、伝道者としての呼び出しを受け入れた以上、しっかり準備をする必要があるとの思いで、また、大学生活に戻りました。
四年の神学校生活を終え、与えられた伴侶の卒業を待って、二人で伝道する道を求めました。当時、東京教区西支区では、支区内の地図に、教会のある地域とこれから伝道しなければならない地域を提示していて、開拓伝道の幻が、結婚したての二人に与えられました。
当時、茶畑と麦畑が広がる中に、都営住宅が建てられ、人口が増えていく町に、家を借り伝道の拠点としました。一九六五年四月一日は、この町の住民になった日、この町に伝道者として遣わされた日、開拓伝道を始めた日です。
開拓伝道では、新しい人も迎えます。色々な教派的伝統の中で育ってきた人も迎えます。共に礼拝をささげるために、それぞれを受け止めて、一緒に成長し、豊かな信仰生活を進めることを願いました。それは、日本キリスト教団としての教会形成ということになるのですが、合同教会としての教団の教会形成という明確な指針は、見つかりませんでした。一番基本的な形から始めて、時に応じて対処して行くしかできませんでした。
聖書を読むことから始めました。何軒かの家庭の協力を得て、聖書中心の集会を始めました。今、続いている一カ所では、一九七三年創世記から始め、今、ヨハネの黙示録です。婦人会では、今、二巡目のヨシュア記です。
開拓教会として、地域との関係を持つことも大切なことです。今は、バザーとクリスマス讃美の集いが根付いています。バザーには地域の方々が品物を届けて来られたり、楽しみに待っておられたり、良い交流があります。
ペアを組んだ夫は、一九九九年十二月、年末礼拝の翌朝召されました。神が手配された日程です。
全く何もない状態で始めた開拓伝道で、無謀という声も聞かされながら、責任者である神に任せて続けてきました。多くの方々の協力や参加も与えられました。神は、人間の思いを遙かに超えて、奇蹟を示されます。永遠の主は、ご自身の御用に呼び出した者を豊かに支えて下さいます。神の真理に圧倒されて、聖書と取り組んできましたが、聖書は底なしの深さです。読む度に新鮮で、大きな感動を与
えられています。
「なすべきことをなさせたまえ」が、日々の祈りです(ルカ17章10節参照)。
4670号2面予算決算委員会報告欄氏名、「寺門文男氏」を「寺門文雄氏」にお詫びし訂正いたします。
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