地方教区の豊かさを 深澤 奨
山あいの小さな町の小さな教会をお訪ねしたら、二人の信徒が迎えてくださいました。
一人はホーリネスの信仰を持ち、商店街の一角にある自宅を開放して熱心に伝道を続ける女性、一人は「社会派」で有名だった牧師の薫陶を受けて育ち、今も社会的な課題に精力的に取り組む女性。この二人がタッグを組んで長年役員として教会を支えてきたといいます。
これが地方教区の現実だと思いました。都会の教会では決して一緒にはならない者が、互いに協力し祈り合いながら教会を形成する。その喜ばしさを豊かにたたえているのが九州教区であり、今後もその喜ばしさ、その豊かさを損なうことのないように務めたいと願っています。
しかしそのような喜ばしさはありつつも、財政的には非常に困難な状況が続いています。
東京教区が教区活動連帯配分金の拠出を保留したことが、その困難さに拍車をかけてもいます。東京教区の方針に逆らう教区があり、連帯を損ねていることがその理由だと聞きます。
謝罪すべきは謝罪したいと思いますから、どうか東京教区が豊かに持っておられるものをお分かち願えればと思います。
そのお返しとして、お分かちすることのできるものを、九州教区は前述のように豊かに備えています。
受け取っていただけるかどうかは別ですが…。
(九州教区総会議長)
教区活動連帯金拠出留保可決 東京
第68回東京教区総会が、5月26日、富士見町教会を会場にして開催された。開会時、出席正議員は、501名中318名。
藤村和義牧師(渋谷)の説教によって開会礼拝を献げた後、午前中は来賓、教団問安使等の挨拶を受けた。午後に入り、三役、常置委員半数改選選挙と並行して審議が始まった。
長崎哲夫議長は、議長報告の中で教区活動連帯金について触れ、教区間の信頼に基づいてこれまでこの制度の維持に精一杯協力してきたが、しかし、08年度秋に開催された教区活動連帯金配分協議会において諸教区の実情に遺憾の意を表明したうえで、09年度教区拠出を留保することとした、と報告した。
留保の理由として次の点が挙げられた。「教区が結論を出した三里塚教会問題を現在も尚、一部常議員や教区議長が糾弾していること」、「阪神淡路大震災救援金等にかかわる諸問題を当該教区が明らかにしないこと」、「教団との一定の距離を置くとした教区が教区活動連帯金や教団一般会計の当該教区宣教連帯金を受け取る等」。
連帯金拠出留保については議長報告以外では、特に予算審議において質問意見が相次いだ。拠出留保に反対する意見としては、連帯金のための予算として1,600万円を計上していながら拠出しないというのは総会決議に反している、連帯金受給教区である地方教会の実情を理解しての留保か、というところに集中した。これに対して、教区間、教会間の本来的な信頼関係があればいつでも拠出することにやぶさかではないが、現状では留保せざるを得ない、連帯金も各教会、教会員の献金であることを考えるべき等の賛成意見が述べられた。予算案は、09年度連帯金拠出を留保することを確認したうえで、原案通り可決した。
67教区総会では、隠退教師のための施設「信愛荘」(東京・青梅)と「にじのいえ」(千葉・館山)の合併準備作業に入るため委員会立ち上げを決議したが、この一年の委員会報告がなされた。以下が報告の主な事項である。09年度に合併を行い、名称を「日本基督教団にじのいえ信愛荘」として所在地を信愛荘の現在地とする。施設建て直しの予算を2億円とし、7,500万円づつを現両施設が負担したうえで、5千万円を募金することが報告された。
北支区提案の教区総会における支区報告について、常置委員会への支区長陪席については、それぞれ否決した。
教団紛争により活動を控えてきた東京信徒会が、プロテスタント伝道150周年記念事業を契機に自主活動団体として再認されたことが報告された。
今総会は会期を1日とした。午後9時閉会を予定していたが、時間を大幅に残して夕食前にすべての議事を終了した。
三役選挙は、議長・長崎哲夫(東京山手)、副議長・木下宣世(西千葉)、書記・中村公一(代々木中部)をそれぞれ再選した。
常置委員選挙結果
【教職】倉橋康夫(富士見町)、張田眞(鳥居坂)、小橋孝一(新島)、中村征一郎(東金)、大三島義孝(碑文谷)
【信徒】鈴木優子(小松川)、川上郁夫(西新井)、鈴木功男(目白)、池田浩二(霊南坂)、樋田利明(富士見町)
(渡邊義彦報)
新四役誕生 東海教区
5月26日(火)~27日(水)、第87回東海教区定期総会が山梨県笛吹市のホテル君佳を会場に行われた。
議員205名中、172名が出席し、成立が宣言された。
今総会で常に中心に置かれたことは、2006年に発覚した「教区会計背任・横領事件」である。議長報告の中での関連する記載と、元会計担当者が4月12日付で教区に当てた謝罪文が読み上げられたことを受け、質疑がそこに集中した。会計や互助に関する問題の中でも、横領に関して言及されることがしばしばあった。
議長報告への質問に対して、北紀吉議長から元会計担当者が戒規を受けてから、今年2月に戒規を解くまでの間、在籍する教会の牧師などと共に指導に当たった経過が丁寧に説明された。また、互助に関して献金を募ったことに関しても、横領で失われた基金とは無関係であること、これからも積極的に融資をしていきたいという方針であることが語られた。元会計担当者については、現在教会を移り、悔い改めて礼拝生活を送っていることも報告された。
この件に関しては、「元会計を総会に召致して説明を求めたい」とする議案も提出された。東海教区では「読会方式」で総会が進められているため、この「第22号議案」は第二読会の第3分科会で議論された。3つの分科会の中で最も多い88名が集まり、活発に議論がされた上で少数否決された。
今総会で東海教区の「伝道厚生規則」の中の「教区互助細則」が改訂された。細部に亘って活発な議論が行われた。この件に関しては第二読会の第2分科会で議論され、修正案が出されたが、セコンドがつかず、原案通り承認された。
問安使の挨拶に対しては、「プロテスタント伝道150年」に対して「ベッテルハイムの琉球伝道について、どのように捉えるのか」という質問がなされ、内藤留幸総幹事から「前史と捉えている。聖公会も同様の認識であり、今年、カンタベリー大主教が来日して150年を祝う」と、報告がなされた。
総会1日目の夜には「教団50年データ」のDVDが上映され、現在教団が置かれている状況や、その中での教区の位置づけなどが分かち合われた。
この総会で、3名の准允式と、1名の按手礼式が執行された。また、3役と伝道委員長、常置委員の選挙が行われ、新議長に小出望(静岡草深)、副議長に松木田博(甲府)、書記に宇田真(佐久)が、それぞれ選任された。伝道委員長には宮本義弘(沼津)。
常置委員選挙結果
【教職】森田恭一郎(遠州栄光)、北紀吉(愛宕町)、小林眞(遠州)、鷹澤匠(信州)
【信徒】的場武彦(下田)、原田勇(伊那坂下)、塩入隆(長野本郷)、増田伸子(静岡一番町)
(辻順子報)
教区の宣教を共に担う 奥羽教区
第64回奥羽教区総会は、5月26~27日、奥羽キリスト教センターを会場に、正議員110名中、開会時で106名の出席をもって開催された。この数字は、初日の選挙等を通じて変わらなかった。2日目朝8時30分から行われた追悼礼拝でも、出席率は90%を越えた。ここに奥羽教区の姿勢そして伝統をうかがい知ることが出来るように感じた。
教区議長報告は、A4版びっしり6ページになる詳細で具体的なものであった。邑原宗男議長は全文を朗読、その前半部分は、過疎化、財政難に苦しむ奥羽諸教会の現状が滲み出るような表現が目立った。しかしその中でも「教区の宣教を共に担う」ことが強調された。「一教会一牧師の維持困難…現実的になる中で…男鹿教会と八郎潟教会の宣教協力(兼務)は、…(ただ経済事情によるものとは)事情が異なり、新しい宣教協力体制に期待をつなぐものです」、というように、傍目には逆境と映ることの中にも、希望を見出そうとする姿勢が現れていた。
一種教会が二種教会に種別変更する議案が可決された。添付された教勢報告によれば、10~15年前に比較して礼拝出席も総収入も半減以下、痛ましいばかりの現実が見える。しかしここでも、「将来再び一種教会となることを目指して今は」と祈りが献げられた。
因みに、会議の節目節目には勿論、選挙の度に、議案可決の度に、頻繁に祈りがなされた。
一方、同じく議長報告の教団関係の項目では、特に、「教師退任勧告決議」や「教師戒規執行申し立て」のこと、教区活動連帯金、更に沖縄教区との関係回復への働きかけなどで、現教団執行部への不信・不満・批判が激しい調子で語られた。
教団問安使挨拶と関連して、聖餐式と教憲・教規違反のことが重ねて議論された。障がいを持つ人々が多数礼拝出席している教会の信徒議員は、「知的な障がいの故に、自らの決断・言葉で受洗できない人への配慮として、無差別配餐は許容されて良いのではないか」という意味の意見を述べたのに対して、「教師退任勧告決議」等での教団の姿勢を強く批判した邑原議長は、しかし、「教区は教憲教規の遵守に努めてきたことから、未受洗者への配餐を容認していない。教会で学ぶのは大事だが、執行はおやめいただきたい」と、明確に答えた。
また、鈴木伸治問安使は、同じ質問に、「私の教会では、同様の事例に、教会員皆が共に告白し、教会が責任を持つという姿勢を打ち出し、洗礼式を執行した」と述べ、「洗礼そのものが開かれているから、今の形の聖餐式が障がいを持った人を疎外することはない」と答弁した。
追悼礼拝では、教区からの問い合わせに応じた諸教会員全員の、氏名、逝去年齢、所属教会、教会での役割が朗読された。
三役選挙は、邑原議長(江刺)5選、松村重雄副議長(弘前南)3選、岡村宣書記(鷹巣)も3選となった。
常置委員選挙結果
【教職】雲然俊美(秋田桜)、願念望(青森松原)、山口義人(男鹿)、白戸清(野辺地)
【信徒】鈴木務(秋田高陽)、松尾亨(青森松原)、浅沼千春(秋田桜)
(新報編集部報)
教区センタ-組織運営を再検討へ 東北教区
第64回東北教区総会は5月26~27日、仙台青葉荘教会及び、東北教区センター「エマオ」を会場に開催された。開会時出席正議員は151名中120名。
開会礼拝では「神の前にとどまっている」信仰共同体として、教区の主にある宣教協力を御言葉より確認し、聖餐式が執行され、さらに逝去者追悼式が持たれた。
第1日目の議事において、「名取教会第二種教会設立に関する件」が承認された。「1982年、仙台長町教会の伝道により始まり、1990年5月に名取伝道所として開設、これまでも幾度か第二種教会設立の機運はあったが、塚本恭子教師就任後、その実現に向けて伝道計画と教会計画を策定し2008年度定期総会において『第二種教会設立への取組み』を全会一致で可決、親教会である仙台長町教会定期総会においても『名取伝道所の第二種教会設立承認の件』が承認された。その後臨時総会により教会規則を承認し設立申請の運びとなった」との説明があり、教会設立の喜びを分かち合うひとときとなった。
また2日目の議事では、教区センターの今後について扱われた。2年間にわたるプロジェクト委員会や検討委員会の作業を経て、「東北教区センターの規則及び組織並びに運営等について再検討する件(第63回教区総会提出議案)と、教区センター建物改修のため教区積み立て金より生じた利息を援助支出する件(第62回教区総会提出議案)とを次期総会へと継続し、併せて『新教区センター組織設立準備室」(仮称)を常置委員会のもとに置く件』」が可決された。常置委員会は「新教区センター組織設立準備室」をして、センターの組織・運営または規則案について検討なさしめ、本年度秋頃までに答申をさせる。それを受けて常置委員会が関係諸機関と調整の上、次年度総会にしかるべき議案を提案することになる。
教団問安使・山北宣久教団議長挨拶においても、質疑の中で、教団にセンターを位置づける際に明確化すべき諸条件について述べられた。その他、プロテスタント伝道開始150年をめぐって、ベッテルハイム琉球伝道の捉え方や教団と沖縄教区との関係の改善、教団の教勢低迷や信仰職制的一致など、教団の直面する諸課題について、活発な質疑応答がなされた。
また准允式が執行され、主の委託に応えるべく新たな教師2名が立てられた。
来賓として在日大韓基督教会の関東地方会、仙台教会、山形教会、福島教会の4名の教職より挨拶がなされた。
さらに中部教区・能登半島地震被災教会再建委員会の勇文人委員より、能登半島地震被災教会支援について感謝報告と協力依頼がなされた。
選挙結果は以下の通り。《議長》高橋和人(仙台東六番丁)、《副議長》宮崎新(福島伊達)、《書記》鈴木淳一(石巻山城町)、《宣教部委員長》片岡謁也(若松栄町)
常置委員選挙結果
【教職】小西望(仙台北)、原裕(天童)、望月修(仙台広瀬河畔)
【信徒】志藤仁一(山形本町)、石田サダ子(安積)、菊池護(いずみ愛泉)
(松本のぞみ報)
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