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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan
 
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【4737号】荒野の声

2011年12月10日

▼いにしえの都から奪われた燭台を、取り戻す力はないから、これを追いかけ、その持ち主が変わる度に、部族ごと転居する民がいる。今、ローマをヴァンダル族が襲った時、最早移り住むことが不可能な老人たちが、せめて港でと、燭台の行方を見詰める。▼一行に加えられていた少年が問う。「なぜ、神様は、この略奪を辛抱していらっしゃるのですか?…神は公正で、全能なるものだとおっしゃったではありませんか…なぜ、心正しき者に味方して下さらないのでしょう!」▼祖父はたしなめる。「だまりなさい。神をけがすような口をきくものではない!」途端、ラビ・エリエーゼルは言う。「あんたがまずだまりなさい。この子のなに一つわきまえぬ心が問うていることは、わたしどもが、日々、毎時間、自分みずからに問うていることではないのか…この子のたずねているのは、わたしども古い昔のユダヤ民族の問い以外のものではない」▼ラビは、この問を深め、かく結ぶ。「行きつくその目的地は知らないが、しかし、辛抱づよく歩いて行く道だけが、聖なる道である」耳をすまして聞いている少年に、ラビは言う。「これ以上は、もうたずねないでくれ、お前の質問はわたしの知をこえているからなのだ。時を待ってほしいのだ。いつか、神は、おまえ自身の心の中から、返事をして下さるだろう」…S・ツヴァイク『埋められた燭台』みすず書房▼何故と問うことは不信仰だと考える人がいる。そうかも知れない。何故と問うことで、信仰を失う者もいるだろう。しかし、何故と問うことで、己をも見つめ直し、信仰を与えられる者もいる。歩き続け問い続ける者に、神は答えてくださる。

10月6日、教団小会議室に於いて第37総会期第3回「在日韓国朝鮮人連帯特設委員会」が開催された。
今回は、8月8~10日横浜共立学園を会場に行われた「第22回2011年度全国キリスト教学校人権教育セミナー」報告、9月15日に行われた日本基督教団と在日大韓基督教会との「歴史共同研究会」の報告、小林貞雄委員による「韓国3教会との協約締結について」の研究発表を行った。また、「韓国人元軍人軍属靖国合祀裁判」に関心を持ち、資料を取り寄せることができた。
「人権教育セミナー」では、6つの分科会がもたれ、島田勝彦、長山信夫両委員とも「外国籍・外国にルーツを持つ子どもたち」の分科会に出席した。13万人に及ぶ5~14歳の在留外国籍の子どもたち、年間2万人を数える日本国籍者と外国籍者間の子どもたちの修学状況の報告、学校の取り組み、課題などが話された。
これは教会においても覚えられていなければならない牧会上の課題でもあると感じた。改訂入管法に伴う『中長期滞在者のためのQ&A』『非正規滞在者のためのQ&A』『特別永住者のためのQ&A』等、パンフレットを手に入れることができた。
「歴史共同研究会」では在日大韓基督教会名古屋教会金性済牧師が「荒れ野の100年と希望の宣教 韓国併合100周年を覚えとの講演の報告が小橋孝一委員長よりなされた。在日大韓基督教会の辿ってきた歩み、これからの課題についての実存的で率直かつ深い内容であり、委員会としても学びを深めていかなければならないと感じている。
「韓国3教会との協約締結」については、1992年発行の『新しい歴史に向かって

教団・韓国3教会の協約改訂

在日・日韓連帯シリーズⅨ』、に基づき、当時の日本基督教団の状況下、相互の教会の信仰と職制を受け容れての協約締結の意義について改めて学んだ。
次回は1月27日、在日大韓基督教会洪性完総幹事を中心に開催する予定である。
(長山信夫報)

2013年に創立150周年を迎える明治学院(久世了学院長)に、新しい奨学金制度「明治学院ぶどうの木奨学基金」が設立された。
キリスト教教師が扶養する子への奨学金という、今日では希有な性格を持っている。かつては幾多のキリスト教主義学校に、同様な主旨の制度があり、また、授業料免除などの特典があったが、今日では、特定小数を対象とした特典は所轄庁に容認されない。それを補うものであり、日本基督教団の教師にとっては、大いに関心を持つ事柄だ。紙面の限り、詳細をお知らせしたい。
1.奨学金の目的
明治学院創立150周年記念募金の一環として、2011年に篤志家から寄付された資金等を、その意向である「キリスト教教師(もしくはそれに相当する資格を有する者)が扶養する子に奨学金を支給すること」により、明治学院に学ぶ、キリスト教教師が扶養する子の学業奨励、及び建学の精神にふさわしい人物の育成に資する。
2.支給対象者
明治学院に学ぶ、1に該当する者で、所定の審査により適当と認められた者。
キリスト教教師とは、日本基督教団、日本キリスト教会、および日本キリスト教協議会加盟の教派団体に属する教師、その他運営委員会が特に認めた教師。
3.給付額
年間30万円(自宅通学でない場合50万円)、4年間を上限とし卒業まで。他の奨学金との併給は可能。
4.返還義務
なし。ただし、受給年度内に退学、除籍、休学、または懲戒処分を受けた者には、返還を求める場合がある。
5.基金運営委員会 略。
6.第1回募集
新入生 2012年4月の定められた日時までに、所定の手続きにより基金運営委員会に申し込む。
在学生 家庭の状況の変化により受給を希望する在学生は、所定の手続きにより基金運営委員会に申し込む。
7.審査
2に該当するか確認の上、その経済的状況に加えて、学業への取り組み、キリスト教活動への参加状況を加味する。
8.基金の管理と制度の終了時期 略。
以上、説明会資料の抜粋要約。
◎問い合わせ先
学校法人明治学院 法人事務局募金課 担当:中坪
TEL/03-5421-5187
FAX/03-5421-5451
E-Mail/bokin@mguad.meijigakuin.ac.jp
(新報編集部報)

第5回教区活動連帯金検討委員会は10月31日(月)教団会議室にて開催された。
まず、全国財務委員長会議と教区活動連帯金配分協議会でなされた当委員会の報告について、伝道資金構想が報告されたことを評価した。
従来の配分方法との変化への危惧が出されたこと、委員会の任務の範囲を超えるのではないかという意見に対し、当委員会の任は教区活動連帯金に代わる新制度の設計にまで及ぶことと今後精密なシュミレーションを行うことが必要であることを確認した。
また、伝道方策検討委員会において議論されている「伝道局設置の可能性」と伝道資金構想との関係については、伝道推進の目標について一致していること、将来は総合的に一致して機能するべきことが話し合われた。
今回は以下の内容について検討を加えた。
①財源と会計処理について
1パーセント拠出と各教区への3分の1の配分について。現状がそのまま1パーセント拠出・配分となっていないこと、教区への自動配分についての意見があることについて、伝道推進の趣旨によって1パーセントの枠が生かされることが必要とされた。
会計処理は特別会計とはせず、教団本体で扱われるべきことと、また透明性が確保されるべきこととした。
②教団機構への位置づけについて
教規改正が必要かを含めて、機構図と規則の案を検討することとし、岡本知之委員長と鈴木功男委員が担当することとした。
③現状の分析について
教勢の低下と支援を必要とする教会の増加の予想とそれに伴う負担金増加について協議した。
また各教区の伝道協力推進についてはケーススタディーを行うこととし、担当を高橋和人委員とした。
次回委員会を1月19日とした。
(高橋和人報)

4次にわたり、のべ200人以上が!

東日本大震災のために甚大な被害を被った地域・教会支援のために、諸教区、地区、各教会、諸団体、そして個々人が、なすべき役割を模索し、そして実行している。それぞれの働きを覚え、感謝し、主の見守りを祈る。そうした中で、極めて特徴的な働きを展開している西東京教区の被災地支援を紹介したい。多くのボランティアが、それぞれに大事な役割を担っているが、西東京教区では、教区として組織的・継続的に、これに取り組んでいる。11月末までに、延べ200人を超える参加者が得られ、この働きを支える献金が500万円を超えた。教区としての目標額を1億円と定め、組織的救援募金も始まっている。

3月11日以降、西東京教区が教区として組織的に被災地へボランティアを派遣し続けている。
今回は、西東京教区副議長であり、西東京教区東日本大震災支援委員会委員長である真壁巌牧師(相愛教会)に話を聞き、西東京教区の働きを紹介させていただく。
震災直後の3月14日に行われた西東京教区三役会において、教区として被災地支援委員会を設置しようとの提案がされ、4月4日に開催された西東京教区宣教委員会にて、東日本大震災支援委員会が正式に設置されたところから、西東京教区としての正式な被災地支援活動が開始されることになる。
宣教委員会は、支援委員会立ち上げと同時に、被災地への、教区としてのボランティア派遣と、募金開始を決定した。
真壁牧師は、西東京教区が比較的早い時期に、このように教区として動き出すことができた背景には、三つの大きな理由があると語る。
一つは、震災直後の3月21日に阿佐ヶ谷教会を会場に行われた、2010年度の西東京教区全体研修会のことである。講師に経堂緑岡教会信徒の写真家、桃井和馬氏を迎えて行われた集会は、予定を急きょ変更し、前日まで被災地での取材をしていた講師の被災地報告が主な内容となり、写真を多数用いて語られたその講演は、当日集った参加者に大きなインパクトを残した。さらに講演後に、藤盛勇紀総務幹事から、被災地訪問報告を直接聞くことができたことも、大きかったと語る。
二つ目は、教団の働きの一つである、学生キリスト教友愛会(SCF)の働きである。SCFは、西東京教区内に施設があるが、そのSCFの野田沢主事が、西東京教区の教師として震災十日後より教団から東北教区被災者支援センターに派遣されていた関係で、現地の情報収集や、現地での活動の基礎がSCFに関わる若者たちの働きによって教区にもたらされていたことは、教区の動きを速めた要因であったと語る。
三つ目は、過去の震災において、西東京教区の働きが組織的に行われていたことの影響である。西東京教区が組織的に災害地にボランティアを派遣するなどの働きをしたのは今回が初めてではない。阪神大震災当時、未だ西東京教区が東京教区の西支区であった時、西支区は組織的に阪神大震災の被災地支援を行っていた。その経験が、その後の中越地震などに生かされ、献金などの余剰金も積み立てられていた関係で、今回具体的な活動においても、会計的にも比較的スムーズに組織づくりが行われたというのである。これらの要素が全くなければ、現在のような活動が教区として組織的にできていたかどうかは分からないと、真壁牧師は語る。
4月25日から派遣されたボランティアは、基本的には1週間単位でその活動が区切られ、5月末までが第一次派遣、6月27日から7月11日までが第2次派遣、8月1日から9月9日までが第3次派遣、10月24日から11月20日現在、第4次派遣のボランティアが活動をしているという状況である。
これまで延べ200名を超えるボランティアが被災地で様々な活動を行った。メンバーは幅広く、教職、信徒、キリスト教主義学校の学生、まったく教会を知らない人などが西東京教区を中心として集まっている。70代の参加者や、西東京教区以外からの参加者もいるという。
派遣のための費用はすべて教区内で賄っているが、もちろんこれまでの余剰金の積み立てだけでは賄い切れるものではない。今回新たに教区内でささげられた献金は、現在500万円を超えており、ここにも教区内の一人ひとりの意識の高さが表れていると言える。
具体的な活動は、エマオ内の東北教区被災者支援センターからの指示に従って行われている。ボランティアの宿泊場所は、西東京教区が独自に現地の教会を手配し確保するなど、できる限り、現地エマオに負担のかからない方法が考えられている。

一人の人と寄り添うことでなし得ること

ボランティアの活動場所は、仙台市内の若林区荒浜地区が中心となっている。活動の内容は様々で、当初は泥出しが中心であったが、時間が経過するにつれ、活動の内容も多少変わってきたということである。現在は、かろうじて使用できる家屋に戻ってきた人たちのための住居の補修なども行っているということであった。
順調に見える働きであるが、荒浜地区での活動は当初は容易なものではなかった。簡単に言うと、現地の人々のキリスト教に対する疑義。ボランティアの見返りに何か求められるのではないか、キリスト教への改宗を強要されるのではないか、何の見返りも期待せずに、そんな活動が行われるはずはないという反応が強かったそうだ。
そんな現地の人たちの心を必死に解きほぐしたのが、前出の野田SCF主事であった。与えられた賜物を生かし、現地の人たちと粘り強い対話を重ね、また、ボランティアの働きを見せていく中で、少しずつ理解が得られていったということである。
現在では本当に信頼を得るまでになり、当初と比べるとはるかに、現地の人たちの口が柔らかくなっていることを実感すると、真壁牧師は語る。
印象深いエピソードの紹介がいくつかあったが、その中から一つ。ある牧師夫人ボランティアの話である。彼女の出身は東北。東北育ちの彼女は東北弁で会話ができる。若いボランティアは、そこまでの余裕がないのか、方言の壁が大きかったのか、なかなか現地の人たちと打ち解けるところまではいかない。しかし、彼女は東北出身であることを生かし、ある高齢の女性に寄り添い、じっくり話をすることで、現地の人たちや若いボランティアらに良い感化を与えていた、というのである。ボランティアの働きは何も力仕事だけではなく、そうやって一人の人と寄り添うことでなし得ることもあると知らされた、と真壁牧師は語る。
これからの課題は、何よりも継続。規模がこれまでよりも小さくなることがあるかもしれないけれども、この活動を息長く続けていくことが何よりも大切だと真壁牧師は語る。そして、エマオがモットーとしている「どれだけ早く被災地を復興できるかより、どれだけ被災者に寄り添い、気持ちを合わせられるか」を大切にしていく活動を続けたいと語った。
西東京教区は、宣教の三本柱として、
積極的に福音伝道をする教区
諸教会が互助に努め、連帯する教区
課題に取り組み、地域に奉仕する教区を掲げている。
今回の教区としての被災地ボランティアの活動の土台に、この三本柱があるのは言うまでもないことであろう。
(小林信人報)

 

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