「仙台エマオ」シニア世代のボランティアを
昨年、神学校の卒業期に、被災者支援センター、「仙台エマオ」の教団派遣専従者の口が掛かった。「小さな教会の牧師になろうと思っていたので、悩みに悩んだ」そうだが、夫人から、「神様が呼んでくれている」と励まされて決断した。
以来、主日は担任教師として教会で、平日は仙台エマオで、ボランティアのコーディネーター、ニューズ・レター、メール・マガジンの作成、教会・大学回り、ドライバー役と、八面六ぴの活躍をしている。
大震災後最初の1年は、担当者が次々と交代し、佐藤さんが初の教団派遣専従者となった。
「もう農業を諦めていたが、泥まみれになって働く若者を見て、もう1度農業をする気になった」と話すお年寄りが何人も現れたそうだし、七郷・笹屋敷地区では、佐藤さんが、町内会に出席を求められるようになった。仙台エマオの活動が、地域の人たちに欠かせない存在になったことを示している。
ボランティアの登録者は3500人。2年目の1年間に1200人が奉仕した。仙台エマオでは、1日60人から70人、夏場には最大100人が、幾つかの教会に分宿し、夏には会堂の長椅子も利用する。
ボランティアも3年目に入り、作業の質も変わりつつある。「仙台では、力仕事が少しずつ減って、食事づくり、独居老人の話相手が足りない。シニア世代のボランティアを」と佐藤さん。
「教会とは無縁で、祈ろうともしなかった若者が、みな輪になって頭を垂れてくれる」と、佐藤さんもボランティアの世話をしていて祈りの重要さを改めて学んだ。
ボランティアから受洗者が生まれ、献身者も誕生した。
「仮設住宅で、身体不自由者、貧困者が取り残されて行く。こうした人たちにどう寄り添うことが出来るのか。どうか教会での祈りに覚えて下さい」と佐藤さんは願っている。
1980年埼玉県生まれ。農村伝道神学校卒。2012年4月、教団派遣専従者・いずみ愛泉教会担任。