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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4771号】北村慈郎氏による「免職処分無効確認等請求事件」 東京地裁判決 「訴えをいずれも却下」

2013年4月20日

東京地裁の判決は、   「本件訴えをいずれも  却下する」
2010年9月に戒規を適用され教師を免職となった北村慈郎氏は、2011年11月、教団を相手取って「免職処分無効確認等」を求めて東京地裁に提訴していたが、2013年2月25日、「本件訴えをいずれも却下する」との判決が下された。本案審理に入ることのない「却下」、いわゆる門前払いの訴訟判決だった。
請求の内容
北村氏の請求の内容は次の3点(訴状より)。「1.原告(北村氏)が被告(教団)の正教師としての地位を有することを確認する。2.被告が、原告に対して、平成22年9月30日付けで行った、教師退職年金給付額減額決定が無効であることを確認する。3.被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する平成22年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。」
教団の主張
この北村氏の訴えについて、被告とされた教団は、この訴えそのものが「法律上の争訟に当たらない」と主張した(本案前の抗弁)。その要点は2つ。
第1に、正教師の地位は法律上の地位ではなく、北村氏が正教師の地位にあることの確認を求める訴えは法律上の争訟ではない。
第2に、戒規の性質・本旨が、キリスト者としての悔い改めと復帰への手続過程全てであり、本質的な争点について教義、信仰の内容に立ち入ることを要するため、法律上の争訟に当たらない。

北村氏は、2010年11月にも、免職処分の無効と正教師の地位の確認を東京地裁に求める「地位確認等仮処分命令」の申立を行ったが、この時は、第5回目の審尋において北村氏側が「取下書」を提出して終結した。
この仮処分命令申立事件については、本紙第4718号(2011年3月5日)に、免職に至る経緯も含めてその概要を記したが、今回の北村氏の訴え(いわゆる本訴)も、仮処分命令申立における主張と基本的な部分に違いはなく、教団の反論も同様だった。
紛争の経緯(判決文から の要約)
ア 北村氏は1999年以降、未受洗者への配餐を行ってきた。
イ 教団は北村氏に対し、2回にわたり、そのような聖餐(未受洗者への配餐)を中止するか教師を退任するよう勧告したが、北村氏は応じなかった。
ウ 2008年7月の常議員会において、北村氏を戒規処分に付すべきであるとの申立て(先行戒規申立て)が行われ、教師委員会で受理された。
エ 同年10月の第36回総会において、先行戒規申立て決議の無効を確認する議案が可決された。
オ 教師委員会は、2009年7月に内規を改正し、何人でも戒規申立権者となり得るものとした。
カ 同月、常議員の一人が北村氏の戒規申立てを行い(本件戒規申立て)、教師委員会はこれを受理し、調査員会を設置した。北村氏は、同年10月の常議員会において本件戒規申立てが受理されたことを知った。
キ その後、教師委員会は北村氏に対し面談を申し入れたところ、北村氏は猶予を求めた。
ク 教師委員会は、2010年1月26日、北村氏を免職する旨決定した。
ケ 北村氏は免職を不服として上告し、審判委員会に上告理由書を提出した。
コ 審判委員会は、同年9月15日、北村氏の上告理由は、教憲、教規に照らして上告理由に当たらないと判断。総会議長は北村氏に対し、同決定を通知した。
サ 年金局理事会は教師退職年金等規則に基づき、北村氏への年金給付を25%減額することを決定した。
なお、上記エに対し、第37回教団総会では、「教団総会議長が常議員会の議を経て戒規の申立をすることができる」ことを確認する議案が可決されている。
教団の対応
今回の訴訟でも、教団は島林樹弁護士を訴訟代理人として委任し、高野良子弁護士も加えて対応した。また、民法学者の深谷松男氏による意見書「違法聖餐と戒規及びその手続きについて」を裁判所に提出し、法律論的にも信仰的にも教団の弁論が補強された。
結果として、訴えは却下となり、教団の主張の根幹をなす「『信仰告白』と『教憲・教規』における洗礼と聖餐の一体性と秩序を守る信仰的意義と、宗教団体として被告教団の自律的決定権を守る訴訟上の意義」が裁判所に理解され、「この問題は教会の教義とそれに基づく教会固有の秩序にかかわることであり、裁判になじむものではない」とする教団の主張が認められたかたちとなった。

【議長談話】

この度、北村慈郎氏が、免職の戒規を受けたことに対し、不当に牧師の地位を奪われたとして裁判所に提訴したことは、悔い改めをもって復帰への道を進んでほしいとの願いに逆行することでした。東京地裁の判決は訴えの「却下」でしたが、北村氏は控訴したと聞き及んでいます。戒規に係る事案を世俗の法廷に持ち出し、教会の信仰と秩序に司法権(国家権力)を介させようとする姿勢が変わらないことは、誠に残念だと言わざるを得ません。
裁判はなお継続することになると思いますが、北村慈郎氏が改めて戒規の意味を受け止め、悔い改めに導かれるよう、祈ります。

2013年3月21日
日本基督教団総会議長 石橋秀雄

 

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