交流を深め、今後の働きの場へ
6月18~20日、天城山荘(伊豆市)にて、2012年度新任教師オリエンテーションが開催された。出席者は73名(そのうち新任教師48名)であった。主題は「教団の教師として宣教を共に担う」であった。教師委員会としては、このオリエンテーションが、教団における宣教の働きの学びと共に、教団教師として、新しい出会いと交わりの恵み(同期の者が集まる唯一の機会)を味わう機会となることを願って準備に当たった。
《日本基督教団の伝道》
1日目、小宮山剛委員長による開会礼拝説教では、最初の任地の経験から、「伝道者は生けるキリストに出会う恵みを、最も身近に見聞きする立場に置かれており、それが伝道者として歩み続けさせていただく源となっている」ことが語られた。
その後、石橋秀雄教団総会議長による講演「日本基督教団の伝道」がなされた。 教会が本来持っている命と力の回復について、自身の経験を通して、主イエスとの出会い-キリストの神性の告白-、伝道する教会の信仰告白、信仰告白と教憲・教規に触れて話された。特に贖罪信仰、悔い改めから洗礼へ、主の教会に加えられて聖餐に与る、この順序が非常に重要であることが強調された。
夜には交わりの時がもたれ、新任教師以外の出席者も加わり、自己紹介を中心にして、いろいろなゲームが行われ、新しい出会いと共に、交わりを深めた。
《教団教師論》
2日目はまず、岡本知之教団総会副議長による講演「教団教師論」がなされた。
教団は合同教会であるゆえに、教師観、教会観においても多様な理解が共存する。しかし、教派の相違を越えて、教師の「職務」について共通の理解を持つことができる可能性が、牧師の職務の伝統的な「三職(預言者的職務、祭司的職務、牧者的職務)」の観点から提示された。特に教師は、教会員の誰よりも早く、かつ深く御言葉によって打ち砕かれ、そこから立ち上がっていく力を、御言葉によって与えられる恵みが力説された。
《震災への取り組み》
続いて雲然俊美教団総会書記による講演「震災の教団の取り組みについて」がなされた。被災教区の教師かつ教団書記という立場から、全体教会としての教団の取り組みの経過と共に、被災教会の状況と各教区の対応が報告された。東日本大震災の被害の特徴として、被害が広範囲であること、地震・津波・原発事故と多重被害であること、再建・復興の取り組みが長期的とならざるを得ないことが強調された。
《教会的権能・教務》
最後に内藤留幸総幹事による講演「教団の教会的権能・教務-教会・教区・教団の関わり」がなされた。
教会形成の土台としての正典(聖書)、信条(信仰告白)、秩序(教会法・組織)について紹介した後、教憲が示す「教会の形」について、また公同教会の権能としての神の言葉の説教と聖礼典(洗礼と聖餐)について述べた。
さらに教団(宣教を担う教師を生み・育てる)・教区(宣教の場所である教会を生み・育てる)・教会(神の手足として、教師と共に宣教を担う信徒を生み・育てる)のそれぞれの働きについて語った。
昼食を終え、午後には「教団の取り組み」として、教団事務局(道家紀一教団幹事)、出版局(有澤年出版局長)、年金局・隠退教師を支える運動(櫻井淳子年金局事務室長)、宣教研究所(宮本義弘委員長)、部落解放センター(東谷誠委員長)のそれぞれの働きや取り組みの紹介がなされた。
《特別講演》
休憩をはさんで、石丸昌彦氏(精神科医・放送大学教授・柿ノ木坂教会信徒)により「メンタルヘルス上の問題を抱えている人々との関わり方」と題して、特別講演がなされた。
メンタルヘルスの現状、精神疾患を抱えている人々との関わり方、精神疾患と信仰の関係について語った。「神のものは神、医師のものは医師に」という、医師、心理療法家、牧師の役割分担を表す言葉が印象的であった。
講演後も個人的に質問する新任教師が数人おり、1時間にわたって、講師にていねいな対応をしてもらい、感謝であった。教師として赴任した時、直面する課題である。良き学びとなったと思う。
夕食前の自由時間は、台風の関係で散策は中止とし、温泉組と残って交わりを持つ組、休息を取る者に分かれ、しばしの休憩によって英気を養った。
夜は分団の時間を持ち、各講演についての感想や、それぞれの働きの紹介と課題、悩みや喜びが活発に話し合われた。また今回は、幼児施設のある教会に派遣された教師の分団が持たれたことは幸いであった。
《牧会講話》
3日目は、大隅啓三隠退教師による牧会講話が行われた。今年度は新任教師の3分の2が担任牧師であったことを前提にして、12使徒のアンデレ、執事フィリポを通して、脇役に徹することの大切さが語られた。また最後まで中部教区で奉仕した中で示されたことが語られ、地方伝道につかわされている新任教師にとって身に迫るものがあり、大きな慰めと励ましを覚える時となった。
その後、全体のまとめとして、参加した新任教師全員が、一言ずつ感想等を述べた。教団を身近に感じるようになったこと、約3ヶ月ぶりに同窓生に会えたこと、異なる神学校出身者、Cコース出身者にも出会えたことへの感謝が述べられた。最後に堀眞知子書記による閉会礼拝をもって、すべてのプログラムを終えた。
5回の食事の席は、毎回くじによって決められ、参加者同士が、和やかに語り合い、お互いを知り合い、交流を深め合うことができた。これらの出会いが、今後の働きの場において豊かに生かされることを心から祈りつつ、恵まれた新任オリエンテーションを終えることができ、感謝であった。(堀眞知子報)