【4744号】荒野の声

▼「聖体拝領は、よい人たちにはさいわいとなるが、わるい者にはわざわいとなる。その結果として、地獄に堕ちるはずの者も天国にいるのだが、その者にとっては、天国は地獄である。『重力と恩寵…ちくま学芸文庫』」▼学生時代に夢中になって読んだシモーヌ・ヴェイユを、古本屋で見つけ、久し振りに読んだ。何十年も手にしなかった。昼食を抜いて買い求めた選集も処分した。▼最初の任地で、高校生相手に、聖書よりもシモーヌ・ヴェイユの話をしていた。その一人が、より深く学びたいから神学校へ進むと言い出したのを、反対して止めさせた。年齢的にも未だ本当には献身の覚悟が出来ていない、一般大学を出てからでも遅くはないと諭した。この娘は、大学一年で重大な病を発症し、亡くなった。▼本当に覚悟がなかったのは、この高校生ではなく、教師たる私の方だった。▼受洗志願はともかく、献身志願となると、責任が持てないと、躊躇う。伝道そのものも同じことだ。「伝道するとは、他人の価値観の変更を迫ることで、隣人を愛しなさいと言ったイエスの教えに反する」と言った牧師がいる。何のことはない、伝道するのに絶対に必要な覚悟・確信がないということだ。▼冒頭の引用は、聖体拝領の魔術的効果を前提にしていると解釈されるかも知れない。聖餐式とは区別されなければならないだろう。まして、牧師が信徒の行く先を決めて引導を渡すのではない。しかし、そのくらいの覚悟・確信が必要だ。

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