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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4741号】日系アメリカ人の歴史を受け継ぎつつ サンノゼ、日系人教会のお正月

2012年2月4日

2012年を迎えました。
昨年春の東日本大震災のため、今なお多くの人々が痛みと悲しみ、不安を抱えつつ歩んでおられることでしょう。しかしまた、その中で復興を目指し、前に向かって進もうとしておられる方々もたくさんおられることと思います。こちらにも東北出身で、ご家族のこと、故郷のことで心を痛めている方々がおられます。主の平安とみ支えが被災地の皆さんの上に、復興に取り組む方々の上に豊かにありますように祈ります。

ウェスレー合同メソジスト教会は、日本からアメリカに移り住んだ人々によって始められた教会です。それゆえ、日本にいたとき以上に日本的なもの(行事・食べ物)に囲まれながら、教会生活を送っています。
年末、29・30日は、ウェスレー合同メソジスト教会恒例の餅つきでした。今年は3000パウンド(約1・36トン)のお餅が出来ました。この餅つきは、教会財政を支えることを目的としていますが、若い世代に日系アメリカ人の伝統・文化を伝えていくという役目も果たしています。
1月は1日に主日礼拝を守り、15日礼拝後は「お雑煮」を食べ、22日昼には、日語部の主催で英語部&日語部合同の「新年親睦会」が開催されます。新年親睦会は敬老会も兼ねており、80歳以上の教会員、教会関係者に招待状をお送りします。招待者数は約70名、昨年はそのうち47名!が新年親睦会に参加してくださいました。
こちらへ来てからパワフルな80代、90代の兄弟姉妹に何人もお会いしました。
餅つきのとき、鏡餅を誰よりも手早く形良く作りあげるのは、90歳のNさん。ほぼ一日中立ち仕事ですが、午前中から午後まで仕事をこなされます。Eさんは、昨年90歳の誕生日記念に「スカイダイビングに挑戦したい」と言い、さすがにドクターストップと家族の反対に合ったそうですが、代わりにジップクライミング(木と木の間に渡したロープにぶら下がって移動する)に初挑戦してこられました。
75歳で知らない土地を目指して旅立ったアブラハム、80歳で出エジプトの指導者として立ち上がったモーセ、90歳でイサクの母となったサラ、84歳で幼子の主イエスと出会い、人々に救い主の到来を告げたアンナ。聖書にも年を重ねた証し人、指導者が何人も登場してきますが、こちらへ来てから彼らの存在がより力強く、リアルな存在としてイメージできるようになりました。
現在90歳前後の兄弟姉妹たちは、日本で、アメリカで、シベリア等で、戦争を経験してこられました。空爆や砲撃から間一髪逃れた方、日本兵としてシベリアに抑留されていたという方、アメリカで日系人収容所に容れられた方、アメリカの日系人部隊に所属していたという方、広島の原爆でご家族を亡くしたという方にも出逢いました。多くの苦難、ご苦労を経て、今、明るく前向きに生きておられるその姿に、私たちも、神が備えてくださる未来を信じつつ、一歩を踏み出す力が与えられるように思います。
神によって立てられ、神の救いの御業に参与するために立てられたアブラハムたちも、順風満帆な、平穏な日々を歩んできた訳ではありませんでした。子孫が与えられないまま、高齢に達したアブラハムとサラ。もはや子どもは望めないとあきらめたこともありました。モーセはヘブライ人に同胞として受け入れてもらえず、挫折を抱え、エジプト人を殺したその責任を問われることを恐れて、遠いミディアンの地に逃れました。アンナは若くして夫に死に別れ、それから何十年もやもめとして、年を重ねてきました。彼らは皆、恐れや不安、あるいは挫折、苦難、悲しみを背負いつつ、生きてきました。しかし彼らには神への信仰があり、祈りがありました。
将来のことを考えると、ふと心が闇にとらわれそうになることも少なくないと思います。だからこそ祈ることを忘れず、人間の経験や知恵、可能性を超えて、神が示してくださる救いの御業を信じ、それを証しする者となりたいと思います。どんな状況の中でも、アブラハムのごとく新たな挑戦を忘れない者でありたいと願います。
新しい年も主が私たちに先立って道を示してくださいますように!
(ウェスレー合同メソジス ト教会日語部牧師
西之園路子)

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