第60回北海教区年頭修養会が、2012年1月9日~10日、シャトレーゼ・ガトーキングダムサッポロで開催され、全道各地から、また、道外からの客人も含め、総勢486名が集いました。
今年は札幌地区が企画・実施を担当し、『お話しください わたしたちは聴きます ~大震災から10ヵ月…~』というテーマを掲げ「聴くこと」を中心としたプログラムが行われました。昨年3月11日に起きた東日本大震災は、多くの人々に深い痛みと悲しみをもたらしました。北海道に住む私たちにとっても、あまりに大きなできごとでした。このことをどう受けとめ、教会の歩みをどう進めることができるのか、いまだ戸惑いと不安の中にあって、今、私たちがなすべきことは「聴くこと」であるとの思いから企画されたプログラムです。そして、2日間の修養会は、『聴くとき』、『分かち合いのとき』、『祈るとき』、『遣わされるとき』の4つの「とき」で構成されました。
一日目の『聴くとき』前半では、奥羽教区の村谷正人さん(教団大船渡教会牧師)、東北教区の片岡輝美さん(教団若松栄町教会信徒)を証言者として迎え、「被災地からの声」に耳を傾けました。村谷牧師は、被災地支援活動の大切な拠点となっている大船渡教会の働きと被災地の現状、北海教区との支援の関わり、ボランティアの若者たちとの交流や伝道、そこに働かれる主の恵みについて語ってくださいました。片岡さんは、「放射能からこどものいのちを守る会・会津」と「会津放射能情報センター」の代表として、福島原発による放射能汚染の現状と、こどもたちを放射能から守るための様々な取り組みについて語ってくださいました。
『聴くとき』後半は、山浦玄嗣さん(カトリック大船渡教会信徒・山浦医院院長)による「津波を超えて、闇から光へ」と題する講演が行われました。山浦さんは聖書をケセン語(気仙地方のことば)に翻訳されたことで知られていますが、時にケセン語を交えながら、大津波の壮絶な経験を語られました。しかし、その語り口は、戦中・戦後、「ヤソ」であったために理不尽な迫害を余儀なくされたこども時代を逞しく生き抜いた山浦さんならではの気概とユーモアに溢れたものでした。未曾有の大震災に遭ってなお、自分のことばで「福音」を伝えることに情熱を持ち、起こった全てのことを受け入れ、明るく元気に生きることを教えてくださった山浦さんの力強いことばに、私たちは光を見、感動と励ましを与えられました。
夕食後は『分かち合いのとき』として5つの部屋に分かれて、以下のようなナイトプログラムが催されました。
①山浦さんを囲んで~講演で聴けなかったことについて更に深める集い
②被災地から~村谷正人さん(前述)、後藤祈さん(札幌北部教会)、北口沙弥香さん(真駒内教会)からの支援活動報告
③放射能とどう向き合うか~片岡輝美さん(前述)、川原茂雄さん(北海道琴似工業高等学校教諭)、藤井創さん(酪農学園大学教員)による原発についてのパネル・ディスカッション
④聖書の学びと祈り~後宮敬爾さん(札幌北光教会牧師)による聖書研究
⑤年頭修養会60回の歩みを振り返る展示ブース
『祈るとき』で開始された修養会2日目。早天祈祷会では、1日目に与えられたことを静かに黙想し、小さなグループに分かれて共に祈りを合わせました。
プログラムの最後に、私たちは遣わされ、被災地の人々とつながり続けること、被災された方々を忘れないことを確認する『遣わされるとき』として、主イエスの名によってひとつとされる礼拝を捧げました。聖歌隊で讃美をするもの、分かち合いで互いに耳を傾け合うものに分かれ、全員が礼拝の備えのときを持ちました。礼拝では、こどもたちによる讃美や全道の仲間で結成された大聖歌隊の讃美が歌われるごとに、こどもたちが作った小さな蝋燭に火が灯され、光の輪が広がりました。参加者全員で、灯を見つめながら、被災地にある人々とつながっていくことを祈りました。
こどもたちもクラフトを製作して支援バザーで販売するなど、被災地とつながる活動を行いました。第60回という節目に全道各地の信仰の仲間と再会し、交わり、励まし合うだけでなく、おとなもこどもも共に平和の働き人となるために思いを合わせることができたことは大きな実りでした。
この修養会のために祈り、様々な形で支えてくださった多くの方々、そして、良い出会いと導きを与えてくださった主に感謝を捧げます。
(島田桂子報)