2日目の午後、「救援対策本部報告の件」と「震災対応に関する件」が併せて上程され、審議された。
救援対策本部では、主に岡本知之副議長より「シンポジウム準備委員会報告」「11246祈りの時」の報告があり、また被災地域を有する、東京(木下宣世議長)を含めた4教区からの被害状況および対応、会計などの報告がなされた。震災対応に関しては、加藤誠幹事より、東北教区被災者支援センター(エマオ)におけるボランティア活動、石巻築山ワークのボランティア要請が増加していること、また遠野・自殺防止センター活動支援、福島第一原子力発電所事故による放射能被害への対応などについて報告された。
質疑応答では、「東日本大震災救援募金」について「救援対策は募金、海外は献金。教団の募金は献金。違和感がある。献金という趣旨が記されるべき。教団を通すケースと教区を通すケースがある。教団救援対策本部に一本化してほしい」との意見があった。
これに対し雲然俊美書記は「社会委員会も募金。外部にアピールするために募金としている。教会では献金。海外は教会に限定されている」と説明し、その他、「全教団的働きとして位置付けたい」「募金は活動の行為、ささげられた瞬間、献金」などの意見があった。 また「東日本大震災緊急シンポジウム」について「具体的に教区につながるシステムを作ってほしい。前回常議員会ではシンポジウムによって答えが出ると説明されたが、被災地の出席はほとんどなかった」と意見があった。
これに対し、「福音によって問われるときとしてシンポジウムはよかった」「救援の原点は礼拝である。そこで御言葉を聞いて救援の力を得ると聞いた。その点について、震災の前も後も変わってはならない原点であると思う。そのことを明確にしてくれた。救援活動を裏付けてくれた」「シンポジウムはいろんな人がいろんなことを受け止めてゆく性質のものである」など活発な意見が交わされた後、各報告はいずれも承認された。
下記は被災3教区の報告で、特に強調されたこと、または印象に強く残ったこと。救援対策本部事務室報告については、本紙4736号に特集の予定がある。
奥羽教区(邑原宗男議長)
第22号となる「被災教会状況」が配布された。初動報告はこれで終了とのこと。宮古教会、千厩教会、大船渡教会、 新生釜石教会の近況が記され、これらの教会への訪問者、ボランティアの写真が沢山盛られ、建物と共に人の心の復興(復交)が大事にされている様子が伝わってきた。
東北教区(髙橋和人議長)
各教会また関係施設の被害状況が一覧表により詳細に報告された。被害の大きいこと、広範囲なことに今更のように驚かされる。併せて、教区被災者支援センターについても、各地でのボランティアの働きが報告された。教区として重点的に対応すべき会堂・牧師館が上げられた。
関東教区(秋山徹議長)
教区被災支援委員会報告として、各教会の状況が実に詳細に上げられた。被害額合計、教会・伝道所約3億円、幼稚園・保育所約8千万円、またアジア学院を入れると合計10億8千万円となる。
(松本のぞみ報)
被災教区の減免処置要望 歳入歳出予算
2012年度歳入歳出予算案、経常会計2億7666万円、収益事業会計2710万円が予算決算委員会より提案され可決した。
伊藤瑞男予決委員長は原案を次のように説明した。
経常会計収入では、負担金は11年度原予算に対し0.5%減、2億6179万円。減額割合は11年度同等、各教会の財務状況を勘案した判断である。震災被災教会の教団負担金部分の減免処置は計880万円となり、減額分を被災3教区以外の教区で分担する。
経常会計支出では、年金局繰出し金を250万円増額し2千万円とする。他団体負担金中NCC分担金を550万円減額し350万円とする。沖縄宣教連帯金は3カ年にわたる減額により12年度は計上しない予定だったが、執行部の意向で40万円を残し計上した。
収益事業会計では、会館室料が貸室解約により空室を生じ150万円減額となることを含め、490万円の赤字を計上する。ただしこれは、11年度末の繰越金にて補われることを見込んでいる。
説明を受け、被災教区議長からは、被害状況、再建状況は刻々動いているので実情に合った減免処置が強く要望された。また減免分を負担する教区からも厳しい財務状況が訴えられた。支出項目をさらに精査、見直して支出を抑制するよう意見があった。
内藤総幹事からは、NCC分担金減額がまだ確定されておらず、増額の可能性が追加説明された。これに対しては予算案を堅持するよう意見があった。
(渡邊義彦報)
大胆な提案巡り議論白熱 教区活動連帯金検討委員会
岡本知之委員長が、第4回委員会での協議内容を報告し(新報4734号参照)、この件について活発な議論がなされ、1日目の夜の時間全てが費やされた。
提案の扱いについて、提案は枠を超えていること、1パーセントの拠出が難しいこと等から、一旦終了し、新たなものとして考えた方が良いとの意見が出された。また、今は東日本大震災復興のために教団を挙げて力をつくすべきであり、この件は、伝道方策検討委員会に委ねるべきとの提案がなされた。
報告について、格差是正だけで来たこの20年間、教勢の低下が止まらなかったことを振り返り、今、転換を図らないと、更に衰退する等の肯定的な意見が出された。一方で、27総会での決議を受け継ぎ、教区間格差を埋めていくという精神を尊重する制度を検討してほしい、現状維持こそが何十年に渡る伝道の形である等の意見が出された。
意見、質疑を受け、岡本委員長は以下の点に触れた。現在の制度は、拠出教区、受け入れ教区が固定化されていることが問題。指標をもとに配分するのを止めて、事柄を中心に配分していくための変更である。現状維持のための資金配分ではなく、教区の自立性を重んじつつ、何等かの方策や戦略に基づいた各教区の伝道を推し進めて行くために支援する。一つの体を形成している教団が伝道において一致し、そのための活動を支援していきたい。
検討委員会報告は、報告として承認された。提案内容については、今後も検討が重ねられることとなる。 (嶋田恵悟報)
委員会目的そのもので議論
伝道方策検討委員会
今回の報告は、すでに教団新報等に掲載済であることが確認され、なお次のような幾つかの討議がなされた。
教区活動連帯金検討委員会との合同協議を予定しているとのコメントに、伝道方策委員会に吸収するつもりかとの質問があり、協議をしたいとの先方の申し出に応じただけである、との回答があった。
常議員会において、当該委員会の設置目的が今一度明確にされることが望ましいと記されたことについて、常議員が各自語った伝道の幻をきちんと捉え、分析すべきであるとの意見が述べられた。
他教団・他教派における伝道方策のレポートからは具体的な果実が得られないという内容の記述について、削除したほうがよいという意見と共に、レポートを分析して検討すべきではないかという意見があった。これに対しては、教団内の諸活動について検討することがまず優先するとの回答があった。
これまでの教団の伝道のありようについての省みと考え方を聞きたい、あるいは、教団がしてきた伝道をまとめるべきではないかととの意見に対しては、それは当該委員会の課題ではなく、宣教研究所の課題である、との認識が示された。
この件に関連して、従来の開拓伝道は伝道所が教会となることを目的としていたが、それには無理があった、体力に見合ったものではなく、名称は教会でありながら、現在も実体は伝道所であるものが多く存在することが指摘された。
(秋葉恭子報)
現状把握進むも残る課題 センター明確化推進小委員会
センター明確化推進小委員会報告では高橋潤委員長が現状の報告と今期委員会の取組みの目標について報告した。
3総会期にわたる小委員会の設置を経て、各教区に置かれている各種センターの現状把握は進んだが、なお各センターが教団宗教法人のもとに残るか、各個教会宗教法人による運営に移行するか、または独立した社団法人等の設立を選択するか、判断の足並みは一様ではない。各教区センター等の判断は、残留、または移行の判断を決定している教区、教区の判断とセンターの意向にズレを生じているケース、なお判断保留で検討中のケースがあることが確認された。
このような現状の確認に基づき、小委員会として次のことを常議員会に提案することを今期の目標とするとした。各教区、センターの判断を促すため、教団に残るセンターのあり方をさらに明確にし、各種センター規則案、会計基準案を作成して提示する。これによって教団事務局と各種センターの位置づけと主として会計上の確認が可能となるという判断である。
規則案、会計基準案は次回常議員会に提出するよう準備中と報告された。
(渡邊義彦報)