救援募金と伝道は教団の両輪
会館問題小委員会設置
第37総会期第4回常議員会が、10月17~18日、教団会議室に於いて、常議員30名全員の出席で開催された。各教区議長またはその代理者も、沖縄教区を除いて全員出席した。
前回に続いて、議事に先立ち開会礼拝が持たれ、長崎哲夫常議員が、コリントの信徒への手紙二8章9節に基づいて説教した。
エルサレム教会の信徒への援助について「募金を通して、神の大きな恵みが実現している。マケドニアの諸教会の危機的な状況の中でこの募金は行われた。福音宣教と募金運動が車の両輪となった。3・11以来全教団が一つとなって、悲惨な状況下にある教会の復興に取り組んでいる。一致して深い学びと行動を持っている」と語り、昔も今も伝道と募金・援助が密接に結びついていることを強調した。
総幹事報告を巡って、それぞれの項目について、重大事から細々したことにまで踏み込み、時に白熱した質疑が行われた。
キリスト教会館の耐震工事について、簡易診断を行った結果、精密診断をする必要性があること、深刻な状態であることが報告された。その対応を巡って、危険度についての現状把握、隣接のアバコの問題にも絡み、建て替え、移転等の将来的な展望を問いただす質問や意見が強く述べられ、「その重大性緊急性に鑑み、対策委員会を設けて事に当たるべきだ」という提案がなされた。
この件については、翌18日、石橋秀雄議長と、藤掛順一常議員、鈴木功男常議員、藪田安晴年金局理事長を委員とし、内藤留幸総幹事、藤盛勇紀総務幹事を担当幹事とする「会館問題小委員会」設置が決議された。
全国財務委員長会議報告では、被災教区の負担金減免について審議されたこと、また教区活動連帯金配分協議会が引き続き開催されたことが報告され、別記(2面)の協議会報告に記したように、詳細にわたる質疑となった。
日本キリスト教協議会(NCC)に関して、理事会組織に変更する案が有力であるが、流動的で不確定要素があることが報告された。NCCの活動の現況、教団との関係、負担金についてなど、根幹に関わる事柄に及ぶ質疑がなされた。特にNCCの姿勢に批判的な意見が強く述べられた。一方で、改革、関係改善に繋がると、NCCの改革案を歓迎する意見もあった。
例回のように、逝去教師・宣教師の報告があり、その働きを覚えて、感謝と追悼の祈りが献げられた。
8月9日に行われた第2回常任常議員会について、東日本大震災救援募金、同ボランティア支援、キリスト教会館耐震簡易診断などについて協議対応したことが報告された。
常設委員会ならびに常設専門委員会報告については、それぞれ詳細な報告がなされ、質疑があったが、随時掲載している各委員会報告に譲る。特筆すべき事項としては、伝道委員会から、委員会報告の中で、次のように提言がなされた。「教団には諸教会の要望に応え、伝道のための予算を持ち、更に長期的な研究や計画を作成し実施できる、教団全体の伝道体制に対し責任と継続性を持つ部署が必要である。そのような意味で伝道局設置の必要性を確認した。今後は、伝道局設置可能性について継続して検討すること、伝道方策検討委員会へ伝道局設置も含める機構改正を伝道委員会から要望することの2点を決定した」。
また、伝道委員会が東中国教区内で委員会を持ち、これに併せて近隣教会での礼拝奉仕を行おうと計画したものの、一端は受け入れた教会が、教区の干渉(?)によって、これを返上した件について、事実関係と是非とを問う意見が北紀吉常議員より述べられ、宇野稔東中国教区議長は、今総会期教団に委員を送っていない教区としては、矛盾を来す事柄であったと説明した。この件を巡り、干渉か指導か、そも教区にそのような権限はあるのかとの激しい議論になり、教区と教会との関係そのものを問うことともなった。
石橋議長は、「教団と教区との関係は、信仰職制の答申に基づいて判断したい」と述べ、収拾を図ったが、議論は続いた。
信仰職制の答申そのものについては、内藤総幹事は、既に新報に掲載したことだと説明し、岡本知之副議長は経緯を説明した上で、「教団では、この答申に基づいて、教区との関係を構築する。教区と教会との関係も明記されていると受け取る」と述べた。
教師検定について、委員会報告の「受験志願者の履歴を確認する」とは、「どの程度まで確認する必要があるのか。合否に影響があるのか」との主旨の質問があり、東野尚志委員長は「各教区での面接を整理する必要がある。教区で履歴に間違いがないか確認して欲しいということ、また、資格試験と間違えている人があるので赴任予定を確認した」と説明した。
その他、教団歳入歳出予算に関連して、「特に幹事等の人件費を押さえるべき、教会の実態に合わない総額になってしまわないか」との井上勇一京都教区議長の意見に、伊藤瑞男予算決算委員長は、「人件費は簡単には削れない。柔軟に対応できない性質がある」と答えた。小出望東海教区議長は、教会の収入減少に伴う教区収入の減少により教区の予算が足りない現状を訴え、委員会の姿勢を問うた。
(新報編集部報)
「宣教基礎理論」で白熱した議論
第37総会期の宣教研究所は、『信仰の手引き』発行作業によって中断していた「宣教基礎理論」の見直し作業を再開している。現在の作業状況は、目次立て、ガイドラインの作成、宣教基礎理論に盛り込む主要項目の決定を経て、原案作成の作業中である。
その状況のもと《「宣教基礎理論」改訂のためのガイドライン》が常議員会報告に資料として提出された。
このガイドラインの性格について質問があり、今回のガイドラインはあくまでも現段階における委員会内部の共通理解を示したものであって、今後、これに基づいて完成したガイドラインを常議員会で検討してもらう予定であるとの回答があった。
ガイドラインの内容については、宣教と伝道という言葉の問題、基礎理論の具体的な適用の問題に議論が集中した。
「Ⅰ宣教とは何か」の第2項目、《「宣教」は、第一義的には、従来の言い方で言う「伝道」のことである》に対する質問から、「宣教」と「伝道」という言葉の定義を巡る議論がまず活発となった。主な議論は以下のとおりである。
「従来の云々」という文言はどういう意味か。これに対しては、「伝道」という言葉が使われていなかった背景を踏まえたものであり、また一義的・二義的という言葉に捕らわれて欲しくない、また、宣教=伝道+証しと捉えている、との回答があった。
この事柄に関しては、「伝道基礎理論」にしてほしい、狭い意味の伝道に特化してもよいのではないか、正面に信仰告白を据えてほしい、などの意見が寄せられた。さらに、評価する意見がある一方で、宣教についての多義的な意見がある現状で、「宣教とは何か」のまとめは乱暴であるとの意見もあった。
また、社会活動基本方針についての見直しは異なる観点でなされたものであり、今回のガイドラインに沿って新たに見直してもらいたいとの要望が出された。その他、次のような要望も出された。
差別されている人に神の愛を伝えるために具体的な方法で現してほしい。若い人への伝道に役立つことを入れてほしい。キリスト教が女子教育や福祉に大きな貢献をしてきたことを踏まえて、伝道の手段に取り入れてほしい。より地域のことを考えるものを盛り込んでほしい。組織を見直して教会を立てていく施策を「宣教の方法」に入れてほしい。
宣教の方法に関連して、69年の機構改正のゆえに、教団として進められていた伝道が教区に丸投げされた結果、その当時立てられた教会を維持するために教区が互助に苦慮することになったとの指摘がなされ、その反省も踏まえてガイドラインを作成してほしいとの要望もあった。
(秋葉恭子報)