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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4733号】東日本大震災、その後とこれから  関東教区の被害状況

2011年10月8日

関東教区の場合、東日本大震災によって被った被害と救援活動は、奥羽教区や東北教区とも性格が違っています。栃木、茨城、群馬を中心に教会・付属幼稚園・保育園等の建物被害、信徒の家屋の被害が中心で、その復興と再建が課題です。
関東教区内の教会の被害の概況について。特に教会建物に大きなダメージを受けたのは、水戸中央教会(茨城)、伊勢崎教会(群馬)、宇都宮教会(栃木)で、それぞれの教会を中心に、その再建計画と懸命に取り組んでいるところです。
水戸中央教会は街の中心の好立地にある教会ですが、付属館と牧師館に壊滅的な打撃を受け、倒壊の危険があり、解体工事が終わりました。牧師は現在、外に家を借りて仮住まいの生活をしています。再建が急がれます。
宇都宮教会は大谷石で建てられた礼拝堂の構造が問題で、余震のたびごとにつぶれないかと不安で、伝道集会に人を招けないという状況。建物全体の建て替えに向けて、検討しています。
伊勢崎教会は駅の前にある風格のある古い建物ですが、これも構造に問題があって、両脇の壁が外に向かって開きつつあり、余震のたびにその角度が大きくなっていますので、大規模な補修工事が必要です。
また益子教会の場合、教会の塔が倒壊しそうで解体したところ、腐食が進んでいることが判明し、当初の予算をはるかに上回ることが分かりました。
教会員が ほとんどいない教会ではこの費用を負担するあてがなく、教区が責任主体となって再建しなければならないところもあります。
このほかにも、専門家による建物簡易診断によって、桐生東部教会や安中教会、原市教会、勝田教会大宮チャペルなど、はじめにはそれほど大きな被害とは見えなかったところも、被害が指摘され、かなりの補修を必要とするところが出てきています。
関東教区144教会のうち何らかの被害を受けた教会は33教会、このほかに、付属幼稚園の施設で大きな被害を受けたところ、四条町教会の清愛幼稚園、宇都宮上町教会のみふみ幼稚園、西那須野教会の西那須野幼稚園、水戸教会の聖光学園保育部、鹿島教会の鹿島幼稚園、水海道教会の二葉幼稚園、竜ケ崎教会の竜ケ崎幼稚園・保育園など、分かっているだけでもかなりの負担になることが予想されます。
さらに福島原発事故による放射能汚染のために園庭の除染を強いられるところがあります。幼児期の子どもを預かっており、社会的な責任が問われますので、これらの対策は急を要します。
被害額の合計は教会・伝道所で約3億円、幼稚園・保育園で約8千万円。このほかに、西那須野にあるアジア学院は本部棟、研修棟.寮などに壊滅的な被害があり、余震のたびに、中の人たちは外に飛び出なければならないという状態がしばらく続きました。全体の再建に7億円を要するとのことです。アジアやアフリカ、南米などから来て有機農業を学び、それぞれの国に帰って農業指導者として奉仕する人たちの研修の機関で、キリスト者の国際的な証しの場として有益な働きをしている学院です。全国の教会の祈りと支えが必要です。
また、信徒宅の被害が茨城地区の水戸中央教会や日立教会、鹿島教会、勝田教会、栃木地区の宇都宮上町教会などを中心に多数ありお見舞いを考えています。教会の再建を支える教会員も、自宅の復興も図らなければならない事態です。
教区として、「被災支援委員会」を立ち上げ、①各教会の報告された被害状況を把握し、また、②建物診断の専門家を要請に応じて派遣して、全体の被害状況をまとめること、③各教会の自主性を重んじながら、それぞれ重い被害を受けている教会が希望を失わないように、宣教の拠点を確保すること、④それぞれに相応しい再建計画を立てて行くために、何度も足を運んで各教会の協議に参加し、サポートすること、などに努めているところです。
そこで課題になることは、教会再建のために教区・教団からの支援がどのような形で、どれほど可能かということです。教団は東日本大震災の救援対策として、10億円の募金計画を立てました。自らの内に被災教会を抱えている関東教区として、応分の目標を立て、責任をもってこの目標を達成しなければなりません。しかし、これは目標であって具体的な原資ではありません。
一方、各教会の再建の計画は具体的な資金計画を必要とし、それぞれの教会からの援助申請額もまとまりつつあります。このギャップをどのように埋めて行くか、奥羽、東北各教区の教会も同じ課題を抱えています。教団として、被害を受けた人々の体と魂と霊の全体的再建のために、地域社会の痛みを担い、福音による希望を証しする愛の働きを展開しなければなりませんが、それと並んで、このたびの震災で被害を受けた教会や教会関連施設の宣教拠点を確保するための、全体の基本になる再建計画と資金計画が必要だということです。
各地区がそれぞれの被災教会や地域に対して救援活動を展開してきましたが、初動段階では新潟から東北への救援物資運搬のルートがあり、積極的な活動が行われました。
また埼玉地区では大船渡教会や石巻地域でのバザー、物資を送ることが継続的に行われました。地区から集めた衣料が集まりすぎて、地区内の教会の倉庫に山積みになっています。これから冬にかけてまた冬物の需要があるでしょうから、送る計画しています。茨城地区は磐城教会を中心に行われている地域の継続的支援を行っています。
放射能汚染に対する正しい情報と対策法を求める声があがっていますので、これも教団の対策委員会と連携しながら取り組むことを考えています。「一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶ」そのことを実感する機会となるように願っています。
(関東教区総会議長・
上尾合同教会 秋山徹)

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