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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4733号】東日本大震災 半年が経って、今

2011年10月8日

あの日から半年が過ぎた。一瞬にしてひっくり返され壊されてしまった日常、毎朝目覚める度ごとに、夢であって欲しいと願わずにはいられない受け入れがたい現実、あれから半年が過ぎた。涙に沈みきり、もう一度立ち上がろうとすることが、波に飲まれて逝った人々への裏切りであるようにさえ思えた日々、しかし、暮らしを取り戻すことで、地震を津波を、嘲笑ってやりたいとも思うのだ。
(教団新報への通信から)
半年前に、私たちは悲鳴を聞いた。慟哭を聞いた。そして、慰めるべき己の言葉の貧しさを恥じ、精一杯に延ばさなければならない手の力の足りなさを嘆いた。半年が経って、今私たちは何をなすべきか、私たちに何ができるか。改めてその声を、その祈りを聞くことから始めなくてはならない。ここに、被災3教区の祈り・叫びを、各教区総会議長の声を通して届ける。

弱っている時にこそ、み言葉に立てられ
多くの祈りに支えられ 東北教区

3月11日の前のことがすぐには思い出せないという声を聞くことがあります。あまりにも多くのことが起き、多くのことが変わってしまった。それぞれがあの日以来の「違ってしまったこと」を抱えています。
なくしたこと、得たこと、留まってしまったもの、踏み出せないこと、せかされることを負いながら、舗装道路を外れて知らないわき道に入ったように、ごつごつしたものの上を進むように日が過ぎています。
生活感覚や心の動き方も影響を受けました。気持ちが過敏になって涙もろくなったとか、心がこわばっているとか、こらえることができなくなったと言われます。
半年を迎え「その後」という言い方で、どれだけのことがまとめられるだろうか。あの日以来次々と頭をもたげ林立してきた「問い」の向こうに、これからを見通すことができるだろうか、という思いがあります。 そこで今の時点までの取り組みを紹介し、引き続き祈りに覚えてくださるようお願いします。
被災者支援センター
今回の災害の特徴はその規模と範囲の大きさ、そして被害の多様さです。それにいくらかでも対応しようとすれば東北教区の人的な経済的な実力をはるかに超えてしまいます。そのために多くの場面で多方面からの協力を必要としました。幸いなことにそれが思いを越えて与えられています。
まず、石橋秀雄教団議長の訪問により教団と被災教区の連携による対応を基本としました。それに続いて、東北教区センター「エマオ」に東北教区被災者支援センターが立ち上がりました。
教区の諸教会は被災し、物資もなく、情報も途絶え、ライフラインが止まり、それぞれが教会員の対応に追われ、また避難者を受け入れまったく余裕のない状態でした。
その中で支援センターには直ちに多くの教区と団体の人的支援、経済的支援が寄せられました。特に災害に対する組織と活動の立ち上げについては、これまでに救援活動経験のある教区のノーハウが与えられたことで初動対応することができました。
さらに教団からは連続して専従者が派遣されて支援体制が整い、それに平行して、石巻は石巻栄光教会に仙台では荒浜・七郷に、支援拠点が与えられました。ボランティアの継続的な派遣が行われています。
これらの一つひとつが多くの献身的な働きによって成り立っています。拠点とセンターに詰めているスタッフ、ボランティアとそれを派遣する教区や団体、宿泊を提供する教会、教会への訪問、自主的な企画による応援、祈りと励まし、その他の、紙面では紹介しきれない多様な働きが重ねられています。
現在、一時休止した石巻拠点が、新たに一軒家を入手して活動を再開しました。教団との連携による活動です。ワークは地域との対話的な働きです。冬に向けての新たなワークも必要となっています。
教区総会
今年度の教区総会が開催できるかどうか大きな問題でした。交通機関の分断、宿泊や食事の確保、印刷所が開かれないという要因。3月は年度末でありながら、多くの教会で教会員が礼拝に集まることができませんでした。そのため、役員会、教会総会を開くことができず、経済的にも3月の決算が困難な教会もありました。教区総会全部の資料を手作りし、日程を短縮して、やっとの思いで教区総会を開くことができました。そして、各教会の努力によって出席は例年通りとなりました。
総会では「東日本大震災対応、東京電力福島第一原発事故の対応に関する件」が可決されました。教会復興の目指すところを、建物や教勢の復旧ではなく、教会の本来の使命であるみ言葉に仕えることが力づけられ、霊的に復興されて、地域的な役割を果たしていくこととしました。弱っている時にこそ、み言葉に立てられ、支えられ、慰めを受けることによって教会が希望をもたらす塔としての役割を果たすことできるようにと願っています。
教会救援復興委員会が設置されました。他の教区活動は縮小凍結し、身をつめて教区の全力をここに集中するようにしました。
①被災した建物や土地について、改修・修復・建設の支援を始めています。88教会中54教会が被災する中、建て替えなどが必要な12の教会を重点支援の対象としました。
②幼児施設への放射線被害と震災被害の支援の方法を決定しました。
③放射性物質による被災の調査を進め、「東北教区は、放射能汚染の被害を受けている教区の皆さんを支援します」の文書を明らかにしました。
④信徒・教職のケアのため7回の「支援をする人のための心のケア」セミナーを開きました。
⑤広報「東北教区教会救援復興委員会通信」を毎週ファックスで発行しています。これまでに21号を発行しました。各教区宛にもお送りしています。
のべ22名の委員に、委員以外の協力者、支援センターの働きを加えると、文字通り教区の総力となっています。
今後について
放射線被害が東北への偏見を助長する中深刻さを増しています。「会津放射能情報センター」が子供の遠隔地休養や情報収集で働きを重ねています。教区の協力団体として連携が期待されます。
今後の見通しは不確かです。しかし、これまでに東北教区に寄せられた支援金は7千万円を越え、そのほかにも多くの支援の申出や、慰め労わり力づけられる訪問とお言葉を頂いています。
多くの祈りに支えられ、教区の諸教会が黙々と礼拝を守り、み言葉を希望を持って聞き続けていますことを感謝を持ってここまでの報告といたします。
(東北教区総会議長・仙台東六番丁教会 高橋和人)

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