1日目の夕食休憩後のセッションでは、教区報告がなされた。沖縄教区を除く16教区からの出席があり、事前配布された各教区提出の資料に基づいた報告がなされた。
今回は、教区総会の議決が主な内容となるが、資料には決まった書式がなく、結果として、各教区の事柄に取り組む姿勢が垣間見えるものとなった。そこで、資料に記載された議決のみを項目別に計上して、全体の傾向を捉えることとしたい。
第一は、教勢と伝道に関する事柄である。
◎教会・伝道所廃止・解散(3教区)。
◎教会(謝儀)互助・財政(10教区)。
ほとんどの教区で危機感を持ち、教勢と伝道力の低下にどう対処するかが、財政、とりわけ互助の課題として現れ出ている。
第二は、教区の宣教理解と姿勢に関する事柄である。
◎教区宣教基本方策改定など(7教区)。
◎教区機構改正(6教区)。
独自の宣教基本方策を掲げる教区がある一方で、そのようなものを定めない教区もある。教区機構改正もそうであるが、前述の教勢と伝道に関わる形での課題が浮上してきている。「財政と教勢に見合った現状に即した形で縮小」「教区改革」「教区組織・財政の抜本的見直し」といった言葉が続き、その具体策として「地区と教区の役割を見直し、地区活動を中心に再構成する」という方向を目指す動きが、複数の教区報告で見られた。
第三は、東日本大震災に関する事柄である。
◎関連する何らかの議決をした(10教区)。
◎特に原発事故関連の議決をした(3教区)。
言うまでもないことだが、被災教区はもとより、高い関心を持ってどの教区も取り上げている。議決の形ではなくとも、ボランティア派遣や募金推進委員会の設置なども含めれば、全ての教区総会で取り上げられている。教団問安使に対する質疑の多くもこの課題に集中していた。
第四は、全体教会に関わる事柄である。
◎北村慈郎教師の免職問題に関する何らかの議決をした(6教区)。
◎「合同とらえなおし」と沖縄教区に関わる何らかの議決をした(2教区)。
その他、2種教職制に関する議決、セクシュアルマイノリティ差別に関する報告等が見られた。
「合同とらえなおし」関連議決が少ないこと、「教師問題」については、事柄そのものよりも戒規の問題にシフトしていること、マイノリティ差別関連の議決も報告に挙がっていないことなど、今までとは異なる傾向が見て取れる。
これらの報告を受けた後、石橋秀雄議長は総括として次のように述べた。
「教区総会が教団問安使を拒否することなどできない。教団が教区を置く、という筋道を確認したい。そのような決意で、問安拒否の通知を受けていた京都教区にも問安使派遣予定に自らの名を挙げていた」。
また、京都教区より「無断傍聴に対する抗議と謝罪を求める要求書」が出されていることに触れ、「京都教区総会の2日目、受付を通って議場に入った。無断傍聴ではないとの認識であり、謝罪要求には応じかねる。しかし、教区による教団問安使拒否という事柄については、信仰職制委員会に諮問の上、京都教区に対して誠実な回答をするつもりである」との見解を明らかにした。
(林牧人報)