海岸部に比べて知られていない、と言うよりも、どうしても関心度が低いが、関東教区、栃木県・群馬県の内陸部にも、大きな地震被害を受けた諸教会がある。5月8~10日、教団新報から記者2名が、諸教会を駆け足で訪ねた。
宇都宮教会の被害が深刻だ。礼拝堂の天井や壁に無数の亀裂が走り、応急的処置をした後から余震のために新しい亀裂が出来、最早対応が困難な状況だ。壁は大谷石で造られ、独特の趣があって、教会員は強い愛着を持つのだが、しかし、耐震的には脆弱だ。「補強では間に合わない、建て替えた方が合理的だろう」と案内してくれた役員はつぶやく。木村太郎教師は、福島新町教会の出身、似たような状況にある母教会を「不謹慎に聞こえるかも知れないが、劇的に倒れた方が決断が着いた」と思いやる。皮肉と言うにも辛い話だ。
伊勢崎教会は、素人目には酷い亀裂は無いようだが、礼拝堂の基礎部分や外壁内壁に多数のひび割れがある。「専門家による簡易診断の段階で、継続使用は危険と診断され、礼拝等の集会は、別棟の集会室で持っている。スペースと機能の面では何とか足りているので、逆に、礼拝堂の将来像を画きにくい面がある」と、福士卓士教師。ここも、天井が高く美しい建物だけに、教会員の思い入れは強いそうだが。
一方、桐生東部教会では、古い建物と新しい建物の間に構造上の隙間があり、地震の時にはクッションになるだそうだ。その役目を果たしたものの、結果、破壊された箇所が今は雨漏りの原因になる。耐震上理想的には、この隙間・クッションをより大きくする必要があるが、それには莫大な費用が要る。「他の地域の深刻さを思えば、最低限の対応を自力でしなくてはならないと考える」とは、小野團三教師。被害を受けたからこそ、より被害の大きな教会を思いやる。
他に、宇都宮上町、西那須野、四條町、上尾栄光、の諸教会、そして被害甚大なアジア学院を訪ねた。
被害状況も、対応策も、素人目には容易に判断ができない。決断するのは当事者教会以外にはない。それだけに、協力体制・援助の具体化が待たれている。
「教区が一丸となって、一つの幻を持って」と疋田國磨呂関東教区議長(当時)は強調した。教団・教区の迅速で手厚い対応が待たれる。 (新報編集部報)