教区機構改定をめぐり協議
北海・大阪・四国
北海
軍事力に依らない平和への取り組み推進を決議
5月6〜7日の日程で、札幌北光教会を会場にし、第85回北海教区定期総会が開催された。開会時の議員数は、正議員109名中93名。
開会礼拝の中で准允式、按手礼式が執り行われた。なお、式の冒頭原和人議長は、「教団の二種教職制度については問題提起がなされ、教団の課題となっているが、いまだその解決には至っていない。この問題が早急に解決することを願って式に臨む」と語り式が執り行われ、議場は新たな教師誕生の喜びを共有した。
諸報告ではまず議長総括がなされた。その中で、他教団との関りについての言及があり、議場からの「その関りについて具体的に何か事が進んでいるのか」という問いに対し、議長は「現在はまだ他教団のアイデアを聞いたり、情報交換程度の話である」と答えた。「北海道クリスチャンセンターについて教区としてどのような見通しをしているのか」という問いに対し、「建物の多少の老朽化も進んでいる。まだ建て直しを決断するような時期ではないが、様々な方向性を模索し、意見を様々集約しながら運営委員会を中心に見通しを立てていきたい。協力を乞う」と議長が応じた。
一日目の議事の最後に「札幌地区教会青年協議会韓国スタディーツアー2025」の報告がなされ、コロナ後徐々にまた活発になっている教区内の青年活動の一端を議場は確認した。
二日目、常置委員会選挙に関する件で、教区常置委員会は全数連記を提案したが、教団の常議員選挙の全数連記での選挙方法を制限連記にするためにも、まず教区からそのような姿勢を示すべきという意見等があり、動議が認められ、修正案となった。採決の結果、制限連記案は86中賛成39で少数否決され、常置委員会提案通り、全数連記で選挙は行われた。
教団問安使の雲然俊美議長とのやり取りでは、日本基督教団の全体教会としての一体性を巡る文言について疑義を唱える意見が多く議場から出され、議長は、「全体教会という言葉は誤解を生じさせる言葉かもしれないが、各個教会に対する教団の教会性を表すだけの言葉であり、一体性についても、キリストは一つというエフェソ書の言葉が一つの根拠となる」と答えた。
その他、法定諸議案、「第四次長期宣教計画に基づく2025年度活動計画に関する件」、「戦争する国への道を進もうとしている日本政府に対して、抗議の意思を表明し、軍事力に依らない平和への取り組みをさらに推進する決議に関する件」、「原発回帰に反対し、核廃棄物を北海道に持ち込ませず、泊原発廃炉を目指して行動する決議に関する件」、「2025年度アイヌ民族の権利を回復する運動の推進決議に関する件」、「北海教区と西東京教区との第9期宣教協約締結に関する件」等が可決された。
三役選挙結果
【議長】原和人(札幌手稲)、【副議長】杉本和道(真駒内)、【書記】西岡知洋(余市)
常置委員選挙結果
【教職】杉岡ひとみ(千歳栄光)、草地大作(小樽)
【信徒】佐久間光昭(置戸)、林和恵(岩見沢)
(小林信人報)
大阪
総会での教団信仰告白について討議
第70回大阪教区総会が5月5〜6日、大阪女学院ヘールチャペルで、開会時正議員267名中183名が出席して行われた。
「仮議事日程承認に関する件」で尾上信之議長は、開会礼拝で教団信仰告白をするかしないかについては、総会準備委員会で話し合った上で、議事日程の承認という形で総会に諮ることとしたことを告げ、「今回は信仰告白をしないという形での礼拝としたい」と述べた。仮議事日程は承認され、教団信仰告白をしない形での礼拝を捧げた。
大阪教区では毎回、「三号議案に関する件」として、2007年に定めた「主にある一致と前進のために」を総会書記が朗読することを決議している。この議案の中で、「教団信仰告白をしてから、三号議案の読み上げをする」との修正動議が出された。「主にある一致を目指すならば信仰告白をすべき」等の賛成意見がある一方、万博キリスト教館出展の是非を巡る議論の中で共に告白することが困難になったこと、沖縄との関係を踏まえ、教区総会で、告白をしばらく止めることとしていることを根拠に反対する意見があった。この動議に対して、採決をすることになじまないとの理由で、動議を採決せず原案を扱うことを提案する修正動議が出された。修正動議の修正動議を208名中132名の賛成で可決した。
常置委員会報告で尾上議長は、20項目の「主たる取り扱い事項」を報告。2025年度教団伝道資金は、交付金を満額申請せず、かつての教区活動連帯金の負担金と交付金の平均比率を基に算出した316万円を申請し、不足分は互助積立金を充てる案を可決したこと、「教区機構改定検討特別委員会(仮)」の設置について、各部・各委員会、常置委員会での「話し合い」を受けて、三役から特別委員会の設置が提案されたが、まずは教区総会で課題を共有するために継続審議としたこと等を報告した。
今総会の中で、教区機構改定について意見を求める時間が設けられ、「互助を削減することがないように」、「教区が、これまで何を大事にしてきたかを確認することが先に来るべき」等の意見があった。
25年度予算の審議では、第66回総会で定めた特別措置の負担金減額が24年度で終了し2020年度負担金(5000万円)に戻ることになるものの、各教会・伝道所の負担が重くなることを懸念し、4600万円とし、不足分400万円を第2特別資金から繰り入れる案が承認された。負担金については、高齢化と会員数減少に直面している窮状を訴え、前年度並みにすることを求める意見があった。
教団問安使挨拶では、藤盛勇紀副議長が、「教団議長挨拶」を朗読。多岐にわたって質疑応答があり、様々な要望が述べられた。特に、教団が策定を進める「教師論」を、「広く用いて行きたい」とあることについて、教師検定の基準のようにされて行くこと、重要な問題を常議員会だけで議論することに対する疑義が述べられた他、沖縄教区との関係について、「当時を知らない教職が増えて来ており、この世代で解決して欲しい」、「総括して謝罪をするということから始めるべき」等の意見があった。
「辺野古新基地建設中止・普天間基地即時返還、琉球弧の軍事要塞化反対声明に関する件」を140名中116名の賛成で、「狭山事件の即時再審開始を求める件」を140名中127名の賛成で可決した。
三役選挙結果
【議長】尾島信之(南大阪)、【副議長】宮岡真紀子(北千里)、【書記】東島美穂(大阪城北)
常置委員選挙結果
【教職】有澤慎一(池田五月山)、藤原寛人(高槻)、山﨑道子(豊中)、山田真理(扇町)、小西望(天満)、老田信(大阪聖和)、宮川経宣(大和郡山)、阿部倫太郎(東和歌山)、藤川義人(奈良高畑)、中西真二(小阪)、井上啓史(浜寺)
【信徒】鈴木恵美子(馬見労祷)、松吉芙蓉(東梅田)、川喜田好恵(豊中)、東谷誠(いずみ)、岡山牧呼(大阪聖和)、筧正彦(茨木東)、宮本修(千里丘)、申一男(小阪)
(新報編集部報)
四国
各部を伝道局に統合する規則変更を可決
第83回四国教区総会が4月29〜30日、松山教会で開会時正議員・推薦議員140名中101名が出席して行われた。
「教区機構改定に伴う教区規則第6条変更に関する件」では、伝道部、教育部、社会部、教師部を「伝道局」に統合し、財務部を「財務局」とする規則変更が提案された。提案理由として、「教区の厳しい現状を踏まえ、教区の機能をさらに強化し、教区が各個教会の働きに資する支援を継続的かつ有効に果たしていくため」であることが述べられた。
寺島謙議長は、これまでと同じ体制を維持して行くことは、負担金を増加させ、各個教会に負担を強いることになることを告げ、「厳しい状況の中を伝道する教会・伝道所に何が必要かを検討し、有効な支援を継続して行くため新しい体制を実現したい」と述べた。松井曉郎副議長は、教憲・教規の変更に準じて2/3の賛成を持って可決とすることを常置委員会で確認したこと、可決された場合は、教団の同意を得なければならないことを告げた。審議の中で、この規則変更は、教区総会で承認され次第、教団の同意を待たずに動き出すこと、教団の同意が得られなかった場合は、その段階で対応することが確認された。89名中79名の賛成で可決した。
常置委員会報告では、「評価と展望」を寺島議長が朗読。2つの重要事項として、互助制度変更と機構改定を取り扱ったこと、継続的な取り組みとして、東京教区との交流、関西学院大学神学部との協定に基づく「神学生の研修プログラム」を実施したこと等を報告した。互助制度変更については、24年度の総会で承認された変更に基づき、互助申請の際、受給教会は、自給額のみではなく、教師謝儀額を定めて申請することになったこと、新制度の移行に際し、説明会を実施し、教師謝儀について考える貴重な機会となったこと等を報告した。
「教区教会互助規則変更に関する件」では、「援助額について、最低実施率、および上限を設けることができる」との条文を削除すること等を可決した。
24年度決算、25年度予算を承認した。長島恵子財務委員長は決算報告の中で、23年度は100万円の単年度赤字であったのに対し、24年度は120万円の赤字となったこと、繰越金により維持されているものの、今後、繰越金が減少して行くと影響が出て来ることを告げた。
教団問安使として網中彰子総幹事が挨拶し、雲然俊美議長の挨拶文を朗読した。沖縄教区との関係回復、教勢低下について課題をどのように受け止めているか、出版局の今後の方向性、機構改定の進捗状況、教団のハラスメント対応の現状等について質問が出た他、「戦後80年を迎え、戦責告白に立ち返りながら時代に対峙して行くべき」との要望があった。
一日目夜には、伝道協議会が行われ、近永教会の芦名弘道牧師が「教会における教師謝儀」と題する発題をした。
三役選挙結果
【議長】寺島謙(松山城東)、【副議長】松井曉郎(大洲)、【書記】野村義和(香美)
常置委員選挙結果
【教職】大田健悟(鴨島兄弟)、篠浦千史(さや)、筧牧人(伊予長浜)、成田信義(土佐)、森分信基(八幡浜)、木谷誠(今治)
【信徒】長島恵子(鴨島兄弟)、須賀香世(高知)、菅田栄子(松山城北)、中村証二(善通寺)、清水佐代子(日土)、中山耕平(土佐)
(新報編集部報)