伝道推進室より応援した教会・伝道所
朝ごとに新たにされる主の慈しみ
本宮教会牧師 中條 康仁
福島県のほぼ中央に位置し、県内の市では最も少ない人口3万人の街・ 本宮市。阿武隈川が流れる自然豊かな場所で、古くから街道が交差する宿場町として栄えました。現在では県を代表する物流工業都市として発展し、また利便性の良さから、郡山市のベットタウンとして子育て世代が多く移住するようになりました。住みやすさランキングでは11年連続県内1位を獲得するまでに至りました。
古くもあり新しくもある本宮の地に本宮教会はあります。創立は1916年5月20日、来年は創立110年を迎えます。東北学院神学部で学びを受けた初代牧師・吉田菊太郎牧師は、阿武隈川沿いに本宮伝道所を開設し、信徒10名、日曜学校48名の方々を牧会しました。1919年吉田牧師が退くと、その後数名の牧師を経て、赤城英夫牧師(1930年〜36年)、井関磯美牧師(1936年〜57年)が働きを担いました。特に井関牧師時代には力強く宣教が推し進められました。本宮保育園(現本宮幼稚園)の開設、ラクーア博士始めとする音楽伝道団(ラクーア伝道)への積極的な協力等、地域の方々へ熱心に宣教し、信徒15名、日曜学校20名、保育園50名となりました。井関牧師退任後は、安井潤牧師が牧会し(1957年〜2015年)、長らく教会と幼稚園、地域の方々に仕えました。また菊地一男牧師、佐藤健牧師・七海牧師等も仕え、2022年からは中條康仁が仕えています。
本宮の歴史は阿武隈川氾濫の歴史と言っても過言ではありません。度重なる氾濫と水害を経て2012年阿武隈川の堤防改修工事が行われました。堤防と道路拡張のために教会用地の一部を売却し、その資金と全国諸教会からの献金を通して新会堂が建てられました。改めて心から感謝申し上げます。しかし喜びも束の間、2019年台風19号によって再び河川が氾濫し(今度は支流の安達太良川でした)、本宮教会を始めとする河川地域は2メートル強の浸水被害に遭いました。まるでバビロン捕囚によって神殿が失われた時のように、悲嘆と絶望の心境となりました。その時期は毎週信徒宅で礼拝を捧げ、いわき郡山地区の皆さんも泥かきや復旧作業を手伝ってもらいました。共に汗をかいて、無事復旧がなされました。本当に感謝でした。
現在は午後2時から主日礼拝を捧げています。先日70年以上教会で仕えられた糠澤隆雄兄が召天され深い悲しみを共にしましたが、礼拝出席者7名は変わらず前を向いています。主はそれでもご自身に信頼して歩む者たちに祝福の扉を開いてくださいます。ピアノ・オルガン奏楽者が与えられ、聖書朗読者が起こされ、求道者も来るようになりました。次の祈祷課題は、日曜日に幼稚園の子どもたちや保護者の方々、職員さんたちが礼拝に集うことです。そして主イエスさまを信じる信仰告白へと導かれることです。夏にはバーベキューをしたり、クリスマスにはキャンドルサービスをしたり、本宮教会でも教会が楽しくホッとする場所となるよう何とか工夫しています。
これからも教会の源流である福音主義キリスト教に根差しつつ、喜びをもって歩んで参ります。どうぞこれからもお祈りに覚えていただけましたら幸いです。こちらも本宮の地から祝福をお祈りしています。
「主の慈しみは決して絶えない。主の憐れみは決して尽きない。それは朝ごとに新たになる」(哀歌3・22〜23)。