「水平社宣言100年」と「部落女性」をテーマに
部落解放ユースゼミナールが9月18〜19日に開催された。テーマは「『水平社宣言100年』と『部落女性』」。講師に川﨑那恵さんを迎え、一日目は尼崎教会を会場にし、オンラインも併用して講演を聞いた。二日目は水平社博物館の見学とフィールドワークを予定していたが、台風の接近のためプログラムを変更し、オンラインにて講演の分かち合いと意見交換のときを持った。参加者は34名だった。なお計画していた水平社博物館の見学は、日を改めて行う予定である。
川﨑さんは、「福音と世界」2022年3月号にて「部落女性のスティグマ」と題して記事を執筆しており、この内容をさらに深めて話した。部落差別と解放運動の歴史を振り返りながら、家父長制による女性差別と部落差別の中で孤立させられ、沈黙させられていった「部落女性」の声を、丁寧な聞き取りの中から紹介した。また自身の部落問題との関わり方、関わる中での心境の変化と、自身の取り組みを話した。部落差別を社会の課題として認識し、差別の痛みを見つめ、共に課題に向き合いながら、共に新しい社会を目指して部落差別に取り組んでいきたいと語った。
川﨑さんの講演を通して、また話し合いの時間を通して、差別の中で沈黙させられた人、そこから声を上げた人たちの思いを身近に感じることができた。そして、自分がいまでも差別に無自覚になっていることに気付かされた。川﨑さんは、「寝た子を起こして仲良くごはん」という言葉を大切にし、実践しているとのこと。差別からの解放を、人と人の出会いや、新しい繋がりの先に見出していくことは、これから差別に向き合うための希望であると思う。教会がそのような出会いと解放への一歩を踏み出す場所であって欲しいと祈らされている。
(松村光司報/第24回部落解放ユースゼミナール実行委員長)