「機構改定の目的と課題を確認する件」を可決
教団機構改定に関して、40号「教団機構改定の目的と課題を確認する件」、46号「沖縄教区選出議員の出席まで、教規変更を伴う教団機構改定の教団総会決議を行わない件」、47号「教団『教団機構改定に関する検討資料Ⅱ』を破棄する件」、53号「『教団機構改定』の議論を直ちに凍結する件」、59号「教団機構改定の根幹となる意思を確認する件」の5議案が一括上程された。
53号議案について、「具体的にいつまで凍結するのか」という質問に対し、「沖縄教区との関係が改善されるまでという理解である」との答えがあった。「議論の場である総会が、議論の凍結を決定するのは認められない」との反対意見、「沖縄に痛みを負わせることを終わらせるのが先決」との賛成意見があり、採決の結果議案は少数否決となった。
常議員会提案である40号議案では、機構改定の目的を「各個教会の負担軽減による伝道推進」、課題を「教団の全体教会としての一体性の確立」と確認することが提案された。これに対して、課題に「合同教会の豊かさの尊重」という文言を加える修正案が提出された。「『一体性の確立』と『豊かさの尊重』は対立しているのか」という質問があり、「対立ではなく、両方とも大切にという意図だ」との答えがあった。
46号議案について「教団総会で決議をしないというのは、常議員会では議論はすべきだが、総会での議決はすべきではないという意味である」という説明が加えられた。
59号議案について「『愛のある』の『愛』とは何か」という問いに対し「様々な立場、すべての伝道所、教会の意思を反映し、それらが切り捨てられないという意味である」との答えがあった。
40号議案原案については「今回機構改定案を総会に提案できなかったのは常議員会の責任。その常議員会が、この議案を提出するのは理解できない」という反対意見、「全国1700余の伝道所、教会での全体教会であり、また、世界の教会を踏まえた全体教会という理解の中でこの議案には賛成」等の意見があった。
採決に入り、46、47、59、40号修正案が少数否決となり、最後に40号議案の原案が賛成多数で可決となった。
(小林信人報)
機構改定に関する報告会を開催
総会二日目午後のセッションで機構改定検討に関する報告会が行われた。最初に雲然俊美議長がこれまでの議論や取り組み、また本総会において機構改定に関する教規変更議案の提出に至らなかった経緯を説明した。それによると、第40回総会において教団の将来的な教勢・財政の危機的状況を共有することから機構改定の検討が始まり、常議員会は伝道対策検討委員会を立ち上げて伝道推進と機構改定を一体に検討を進めた。しかし伝道と財政を一体に議論することや沖縄教区不在で進めることへの異論は最初から根強く、常議員会は各方面から意見を聞いて丁寧に議論を重ねてきた。ところが2020年からの感染症拡大によって各教区や教会で十分な協議ができず、機構改定への理解は深まらなかった。その中で常議員から「機構改定の目的と課題を確認すべき」との提案がなされ、次総会期常議員会に申し送ることにして教規変更案を取り下げるに至ったものである。
続いて久世そらち教団機構改定検討小委員会委員長が、機構改定の要点を説明した。久世委員長は「機構改定には大きく二つの側面がある」と述べた。一つ目は教団総会議員の半減である。これによって費用が圧縮できるだけてなく「より教会会議にふさわしい教団総会ができるようになる」とした。二つ目は事務局の伝道局と教務局への再編である。伝道局は教団の教会としての働きを担い、教務局は総幹事の下で実務を担う。「単なる財政逼迫による規模の縮小ではなく、新しい教団の姿を思い描いて取り組んできた」と久世委員長は述べた。
これらの報告の後、出席者から機構改定に関する意見を受け付けた。「改定によって教区の特性や意見が軽視されないようにしてほしい」、「中央集権的から地方分権的な教団となるような機構改定を」など教区の尊重を求める声や、「伝道局よりも宣教局がふさわしい」、「〝局”という文字が戦時中のトップダウンを連想させる」など名称に関する意見が出た。他には「諸委員会のメンバー構成にジェンダー平等を明記すべき」との声も上がった。
(米山恭平報)
4年分の決算、および予算を承認
教団総会二日目、教団、部落解放センター、出版局、年金局の4年分(18年度〜21年度)の決算と予算を扱った。
教団決算で宇田真予算決算委員長は、20年度補正予算の段階から決算の間で繰越額に50万円の齟齬が生じていることを報告し、「公認会計士に調査を依頼する」と述べた。また、この間、会堂共済、カナダ合同教会から献金が寄せられたこと、コロナにより負担金を減額する一方、オンライン化により会議や委員会の費用も減額したこと等を報告した。23年度予算では負担金5%減とし、当期収支差額が7万円という余裕が無い案を提案した。
関連して、兵庫教区提案の「沖縄宣教連帯金に関する件」を扱った。連帯金を2010年度から減額し20年度から復額したことの経緯と意味の検証を常議員会が責任を持って行い、減額分を沖縄教区に送ることが提案された。第33総会において名称変更議案が廃案となった経緯について「議長が採決を宣言した後に議事妨害があり時間切れとなった」とする意見がある一方、「充分に議論せずに採決しようとしたことに対する抗議があった」とする意見があった。連帯金の減額については、沖縄教区が自ら辞退するのが筋との意見がある一方、教団側が詫びなければならない立場にあるとの意見があった。議長は、挙手により採決を図り、少数否決とした。
部落解放センターの報告では、亀岡顕運営委員長が、今年は水平社宣言100年を覚えて、京都において全国会議を計画していたがコロナのために1年延期となったこと、4月に迎えた上野玲奈主事と共に新たな活動を目指していることを報告した。
出版局の報告では、山北宣久理事長が、「出版局が存亡の危機に陥る中、理事会、職員一体となって励んで来た。三者協議会、経営改善検討チーム、出版局将来検討委員会が設けられ、加藤真澄マネージャーと共に、ステアリングコミッティが開かれるようになり、2年連続で黒字を計上できた」と述べた。
また、大谷理経理課長が18年と21年を比較しつつ詳細を報告、「売上高は18年度から3000万円程減っているが、売上原価が、製造原価減、年次昇給の停止、残業時間の半減、賞与の削減等で5400万円減となり、売上総利益でプラスに転じている。純利益で2018年に3800万円赤字だったものが2021年には700万円の黒字となった」と述べた。
年金局の報告では中川義幸理事長が、2018〜2021年度までの4年間に、給付額が4億5200万円から4億4200万円と漸減。主な原因として給付人数(平均)が、735名から716名と減っていることを上げた。また、「後半の2年はコロナで苦しんだものの、諸教会、教区事務所の協力により支えられた。市況の回復により運用益が保たれた」と述べた。
総幹事選任に関する件では、常議員会に付託し、新たな総幹事が決まるまで、秋山徹総幹事の任期を延長することを承認した。
出版局長承認に関する件では、常議員会で推薦者を得ることが出来なかったことを受けて、飯光出版局長代行を引き続き代行とすることを承認した。
財務関連議案は審査委員会に付託した上で、三日目に全てを可決した。
(新報編集部報)
隠退教師の代務者復帰、年金支給継続へ
教団総会三日目、多くの議案を残す中で駆け足での議事運営となった。
隠退教師が代務者として復帰するときに、退職年金の一部または全部を継続して給付することができるようにするための、「教規132条変更に関する件」と年金局規定、「謝恩金規則」廃止に関する件を扱った。132条変更議案を323名中306人の賛成で可決、謝恩金規則廃止議案を挙手により賛成多数で可決した。
「常設委員会および常設専門委員会委員選任に関する件」では、「教団三役および新常議員より7名」の選考委員会を組織することが提案された。「各教区総会議長17名を加えて選考委員会を組織する」との文言を加える修正動議が出された。議員数319名中賛成138名で否決、原案を賛成多数で可決した。新常議員から、田中かおる、岡村恒、田口博之、菅原力、豊川昭夫、守安久美子、河田直子各議員を選考委員とした。
秋季教師検定試験の合格者承認は、総会開催が例年より一か月早く、結果が確定していないことを受けて、常議員会に付託した。雲然議長は、「判定が出た段階で直ちに三役会で名簿を確認、常議員会で承認し11月の早い段階で教区に伝える」と述べた。
残りの時間10分程のところで、九州教区から出された、正教師、補教師の区別をなくすべく、教憲9条を改正することを求める議案を扱った。日下部遣志九州教区議長は、「教団が合同する時、宗教団体法にそって教師制度が作られたが、本来、プロテスタント教会に教師の区別はあってはならない。神の主権より国権を上位においた過ちを悔い改めるべき」と説明。審議の中で、「今から意見を交わして採決するのは不可能。次期総会に再提案する」と述べ議案を取り下げた。
第42回総会議事録承認に関する件、第43回教団総会開催に関する件を可決した後、雲然議長は、上程できない13の議案を朗読し、充分ではない議事運営を詫びつつ、廃案とした。
(新報編集部報)