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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4964・65号】統計から見る教団-(2面)

2021年12月25日

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2020年度 教勢報告(B表)財政報告(C表)から見えてくるコロナ禍の影響

各グラフは、紙面をごらんください。

1現住陪餐会員について

 2020年度は7万5087名である。2019年度の7万7288名から2000名が減少した。コロナ禍以前からの減少傾向は続いている。しかし、コロナ禍によって、大きな影響を受けたとは考え難い。中世ヨーロッパで疫病が流行り、多くの死者が出て、人口が激減したという状況ではないので、教会員の数も大幅に減少することはなかった、といえようが、減少傾向に歯止めはかかっていない。

2礼拝出席数

 現住陪餐会員の数値に比べて、激減しているのは、礼拝出席者数である。2020年度は3万6973名、2019年度の4万8084名に比べて明らかに減少している。この原因は明らかにコロナ禍による。会堂に集まって礼拝すること自体を控えねばならなかった状況があり、また、礼拝をささげることが、事実上、困難に陥ったであろう姿が、データ的にも浮き彫りとなった。

 但し、B表の記載欄には、別途、オンライン礼拝欄を設けるに留めており、厳密に各個教会伝道所が何らかのオンライン礼拝をささげた実数であるとは言い難い。礼拝者数の中に、オンラインによる礼拝参加者を加えて記入している教会伝道所もあれば、会堂に実際に集まった人数だけ記入している教会伝道所もある。統計の取り方の工夫も必要であったかもしれないが、各教会伝道所の礼拝に対する考え方の違いもあり、統計上、一概に同じようには扱えなかったことは否めない。

 しかしながら、全体として、礼拝者数が、コロナ禍の影響を全面的に受けたことは、確かなことであろう。

3教会学校

 主日礼拝以上に開催できなかった教会伝道所が多かったことが想像される。コロナ禍以前からの減少傾向に歯止めがかかっていないところに、新型コロナウイルス感染症が拍車をかけたという状況であろう。出席者の平均が、1万人を割ったことは深刻な事態であることには違いない。

4.受洗者数

 2016年度に千人割れとなり、一時危ぶまれた後、やや回復傾向にあった受洗者数も明らかに減少した。年間受洗者743人という数字は衝撃的である。原因としては、やはり、礼拝や集会の中止などによって、教会の主たる伝道活動が、一時的に機能不全に陥ったことによるものと思われる。求道者が与えられ難い状況になり、受洗希望者への積極的な導きも困難な状態にあったことは否めない。と同時に、洗礼式そのものを、コロナ禍の中で控えている教会伝道所も少なからずあったことも考えられる。オンラインを用いた礼拝や集会の限界が、如実に表れた結果であろうか。

5教会伝道所数

 コロナ禍に関わらず、減少傾向は続いている。

6逝去者数

 B表には記入欄が設けてあるが、逝去者数のみを個別に統計処理することはしていない。したがって、確かなことはいえないが、受洗者数が、逝去者に追いついていないのは間違いない。新型コロナウイルスが原因によって、逝去された人が、大幅に増加したという証拠はない。

7献金

 収入においては、明らかに一つの傾向がみられる。2019年度と比較すると、礼拝献金は19億1144万3千円→16億912万4千円と減少、月定献金(維持献金)は53億4126万4千円→52億1337万1千円とほぼ横ばい、特別献金は28億4842万円→29億2880万1千円と増加している。経常収入全体としては、103億9941万円→100億5363万9千円と、前年度のマイナス4%にとどまった。礼拝献金の減少は明らかに会堂に集まれなかったことによる。しかしそれを補う仕方で、月定(維持)献金の継続があり、格別、特別献金が多くささげられたことは特筆すべきことであろう。

 この傾向は、教会を自分たちが支えて行くという、他の宗教とは異なったキリスト教会独自の信徒一人ひとりのロイヤリティーの高さをうかがい知ることができる。

 支出の全体額も、80億3176万4千円→75億3238万6千円とマイナス4%にとどまった。但し、伝道費にかぎれば、4億4138万2千円→3億3199万円とマイナス25%である。これは明らかに、各個教会伝道所が伝道活動を展開できなかったことを表して余りある数字である。これに対して、牧師謝儀は、52億2168万1千円→50億7149万7千円とマイナス3%にとどまった。各個教会伝道所は、牧師を支えるために力を尽くしたことが分かる。しかしそれはまた、牧師を支えるだけで精一杯の状況に追い込まれていたとも考えられ、今後、深刻な事態を招くことも予想される。

8今後の課題

 今回は、データを通して、可能な限り見えてきた教会伝道所の姿を雑駁であるが分析してみた。そこに見えてきたことは、コロナ禍により、教会伝道所にとり当然のことであった「集まる」という行動自体を抑制せざるを得なかったことによる影響である。顔と顔とを合せて、賛美と祈りを神にささげるという命の礼拝が機能不全に陥った。それは教会の伝道活動を直撃した。礼拝者数の著しい減少、それに伴う受洗者の減少は、生き生きとした教会伝道所の日常を奪った。さらには、財政面を直撃した。1年半経た今、それらに代わるものとして、オンライン礼拝や集会の普及、さらには、オンライン献金などの“アプリ”が次々と開発されつつある。

 しかし、その流れに追いついていない教会伝道所もあり、IT格差も生じている。オンラインによる礼拝行為自体を認めていない教会伝道所もある。様々な考え方がある中で、コロナ禍の下にある各個教会伝道所は、あるべき姿を求めて、祈り続けるしかない。

2021年11月17日

日本基督教団事務局

総務部 道家紀一

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