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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4954・55】社会での奉仕者の声に聞く-社会委員会が支援した活動の中から
新型コロナウイルス 感染拡大の渦中で

2021年7月31日

日本経済を支えている外国人を支援

カトリック札幌司教区難民移住移動者委員会 《北海道》

日本のカトリック教会は、外国人宣教者が多く活動しており、外国人が母語で、あるいは日本語でミサに集うことから司牧面だけではなく、日本社会での課題にも関わる機会が多い。

私が所属する「難民移住移動者委員会」は、今から20年前に「国際協力委員会」から改称され、宗教を問わず、日本にいる外国人の支援を目的として活動している。近年では日本国内で増加しているベトナム人技能実習生に関わる課題にも取り組んでおり、コロナ禍で妊娠・解雇の相談が増えている。北海道でも広い大地に点在するベトナム人の状況を知るきっかけは、主日のミサに集う教会であり、高齢化した教会にベトナムの若い人々が活気を与えてくれている。

札幌では、委員会室で日本語教室を開いている。学習者は様々で、母語も違えば、学ぶ目的も違い、日本語レベルも違うという状況である。講師陣は、大学で日本語教員養成課程を学んだ学生がボランティアで関わっている。緊急事態宣言下で委員会室での教室は閉鎖されたが、コロナ禍において家に籠りがちにならないようにと、オンラインを駆使しながら、教室活動を続けている。学習者と講師陣のマッチングとクラス編成は、とても大変でそれぞれの力量をよく把握していないと難しいのだが、この面倒な作業を毎回担って下さっているのは、教団の女性である。彼女の献身的な働きは、この教室の要となって長く続いている。

また、教派を超えた活動として、指紋押捺拒否運動から始まった「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会」がある。北海道では、2020年10月に教団北海教区平和部門委員会との共催で「コロナと外国人住民」というオンライン学習会を行った。政府によるひとり10万円の「特別定額給付金」の支給対象とならなかった非正規滞在等の人々への支援報告を主に、委員会からはコロナ禍でアルバイトを失った留学生や稼働時間が少なくなり、給与が減った技能実習生への支援について報告させていただいた。

コロナ禍の支援を通して見えてきたのは、不安定な生活をしながらも日本社会で働いている外国人が日本経済を支えているということだった。

(西 千津報/カトリック札幌司教区職員)


現実と向き合い、違いを超えて共に働く

広島市での「炊き出し」 《広島県》

国際平和都市として多くの人が国内外から訪れる広島市。あまり目立ちませんが、市内には50名余の人々が野宿をしています。広島流川教会では、カトリック幟町教会(世界平和記念聖堂)と広島学院と協力し、月1回、すぐ近くの公園で「炊き出し」を行っています。コロナ禍前は、カレーを作り、テーブルとイスを並べて、温かいカレーと手作りのデザートなどを食べていただいていました。時に、わたしたちもテーブルに共につき、カレーを食べながらいろいろなお話しをうかがうこともあります。

しかし、昨年度より感染予防のため、集っての食事が出来ず、食べ物(流川教会担当時はドライカレー)、飲み物、タオル等を個包装して一人一人に手渡しています。それと献品いただいた衣服や靴、衛生用品等を毎回並べて持ち帰っていただいています。

流川教会がこの炊き出しに参加しはじめたのは、2016年度からです。参加にあたり、前年度に教会全体で広島での野宿の実態等の学習会、そして臨時総会での参加決議をもってはじめました。教会全体の理解と祈り、具体的支えの中で続けられています。

わたしたちは、この働きを一教会で担うのではなく、常に広島西分区内諸教会、関係施設・学校に呼びかけています。分区内の様々な方々から、献金や献品、当日の奉仕等の協力をいただいています。各個教会で担うのが困難でも、協力して取り組める、日本基督教団としてのつながりの中での働きです。

また、広島市では「炊き出し」以外にも「8・6」に関わる平和運動、「2・11集会」などもカトリック、他教派との協力の中で行われています。社会における現実と誠実に向き合うときに、各個教会、教派の違いを超えて出会い、共に働く力を主イエスは備えてくださっていることを実感しています。

コロナ禍で様々な教会の集会等が休止されました。しかし、「炊き出し」だけは、最も困難の中にある人々に主イエスは寄り添っておられるとの信仰に立ち、その主に仕える働きとして休まず続けられています。

(向井希夫報/広島流川教会牧師)

公園で個包装した支援物資を配布

公園で個包装した支援物資を配布
※写真 教団新報より

公園で個包装した支援物資を配布

※写真 教団新報より


ボランティアによる傾聴ができない中で

ふれあいサークルレインボー 《兵庫県》

路上生活者ふれあいサークルレインボー は2002年11月発足、姫路市内にホームレス状態の人が多いことから、公園や駅を回って、安否確認、生活相談、食事の提供を開始しました。

2008年頃のリーマンショックの影響は姫路の場合、約半年遅れてホームレスや生活相談の件数が急増するという形で現れ、しばらくの間炊き出しや夜回りの次の日に、ホームレスの方数名に付き添って役所に行き続けました。コロナ禍でも姫路は都市部から少し遅れてホームレスの人や相談が増えるかと思っていましたが、現在も極端な増加はありません。しかし住むところはあっても、生活に困る人は増えていて、フードバンク等は支援の依頼が増え続けています。

以前に比べて、相談窓口が増えたり、理解が深まることにより、住む場所を失う前に福祉につながっていれば良いのですが、劣悪な住み込みに行ったり、ホームレス状態にある人をこちらが見つけられていない可能性もあるので心配をしています。

これまで20年近く、一度も炊き出しと夜回りを中止することなく続けて来ましたが、活動の拠点としていたカトリック教会のキッチンが感染予防のため使用できなくなり、2020年3月初めて中止の案内を出しました。中止とは言っても、来られる人に中止を確実に伝える手段もなく、カトリック教会の前で食料を手渡して、直ぐに帰ってもらう形でしばらく行いました。少し前からは、近くの教団の教会や、コミュニティースペースのキッチンを借りてカトリック教会の駐車場でお弁当や食料を配布しています。他にもコロナの影響で、学生のボランティアが参加できなかったり、集まって雑談をする中で細々とした相談を聞くなどの大切な活動ができなくなっています。

この間、特に問題を感じたのは、ホームレスにも行き渡ると言われていた「特別定額給付金」です。早くから役所と連絡を取り、路上にいる方に声をかけて周りましたが、ホームレス状態のまま給付金を受け取れたのは一人だけ、他に相談のあった十数人は住民票、通帳、身元を証明するものがない等の理由で、受け取ることはできませんでした。

同じようにワクチンについても、ホームレスの方が希望しても路上生活を続ける中では、接種することは不可能な現実があります。

(車田誠治報/龍野教会牧師)

活動が制限される中、食料を配布

活動が制限される中、食料を配布
※写真 教団新報より

活動が制限される中、食料を配布

※写真 教団新報より


若年女性の社会復帰を支援

LETS仙台 《宮城県》

「LETS(レッツ)」という名称は、「Liber-ation(解放), Emp-owerment(回復), and Treatment(手当)for Survivor(カルト脱会者のために)」という運動理念を表す言葉の頭文字を組み合わせたものです。故川崎経子牧師がカルト脱会支援を展開していた「小諸いずみ会 いのちの家」の活動を、福島を中心とした東北地方のカルト脱会者やその家族らが中心になって受け継ぎ、「いのちの家LETS」という滞在型のカウンセリング施設を十数年前に始めました。

間もなく課題として浮上してきたのは、カルト諸団体から生まれてくる「2世」たちの急増という実態です。「2世」たちの主な課題は、外部からは手を差し伸べにくい「機能不全家族」の問題です。

併せて顕在化していたのは、「援助交際」や「JKビジネス」などと呼ばれる、十代の少女たちを取り巻く人身取引被害の激化という状況でした。そこに家族との不和を背景とする家出少女たちがなだれ込み、その頃流行し始めたSNSによって売買春を含む人身取引が一気に大衆化する時代を迎えました。「2世」たちを直接救援したい思いは山々でしたが、それ以前に貧困女性たちを取り巻く環境の劇的な悪化が始まっていたのです。

とりあえずわたしたちは、カルト問題とは無関係に家庭不和を抱えた生活困窮者を無差別に受け入れ始めましたが、瞬く間に施設が満杯になってしまいました。経済的な困窮だけでも深刻なのに、そこにカルト由来の問題が加わっては太刀打ちができません。「いのちの家LETS」のある福島県の田舎町では、社会復帰のための就職環境も十全ではないという問題もありました。

そこで、もっと都市として規模の大きな仙台を拠点とする姉妹施設の「LETS仙台」を2019年に発足させました。とりあえずは若年女性限定で、一時的な住環境を提供して社会復帰を促すケアハウスです。教団の社会委員会からのお支えも頂き、現在までに10名近くの人々の社会復帰を実現しましたが、まだ直接には「2世」への支援にまで到達していません。更にコロナ禍にあって、日々何件もの相談が寄せられています。

(竹迫之報/白川教会牧師)

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