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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4946・47号】2021年春季教師検定試験 学科試験はレポート、面接はオンラインで

2021年3月27日

組織神学的な思考の弱さが課題

2021年春季教師検定試験が2月9〜25日の日程で開催された。コロナ禍にあることを考慮し、受験生の安全の確保を第一と考え、オンラインでの試験開催となった。事務局の尽力により、十分な準備がなされ、ズームを用いた試験運営も滞りなく行うことができた。受験志願者も一人の欠けもなく受験できたことを感謝したい。

春季教師検定試験は、この春に神学校を卒業し、各個教会に遣わされていく補教師の試験が中心となる。補教師受験者40名(Cコース継続受験者含む)と正教師4名、教師転入審査1名の受験者が与えられた。

従来、旧約説教・釈義、新約説教・釈義などはレポート提出による試験であったが、筆記試験として課していた教憲教規・宗教法人法、旧約聖書神学、新約聖書神学などもレポート提出による試験とした。ギリシャ語と面接試験はズームを用いてオンラインで実施した。

試験全般に関しては、試験科目の多くがレポート形式となったことにより、参考書などを用いてよく準備されたレポートが多くあった。受験生が誠実に試験に取り組んだことの現れであると言える。面接に際しては事前に、公同教会、信仰告白、教憲・教規、説教、聖礼典を踏まえて召命を述べるようにレポートを求めた。レポート上ではきちんと述べられているにも関わらず、面接では日本基督教団がなぜ公同教会であると言えるのか、十分に答えられない受験者も数多くあった。「教憲・教規」の試験でも問われたが、与えられた召命についてはっきりと述べ、伝道者としての歩みに期待と希望、志を持って証しする受験者があったことは頼もしい。しかし中には自分の召命観を語ることに不十分な受験者もあった。

説教・釈義のみならず他の科目についても共通して見受けられるのは、日頃から聖書に親しんでいないことである。教師試験であるか否かに関わらず、聖書を読むというキリスト者の基本を重んじることが大切である。また組織神学的な思考・論述の弱さも感じる。これは今回の試験に限らず、ここしばらくの受験者の傾向である。

試験について「説教・釈義」のみの報告となるが、聖書の内容を丁寧にたどっているという点では好ましいレポートが多かった。一方でたどった聖書のみ言葉から、説教者自身が何を受け取り何を伝えたいのかはっきりしないものが数多く見られた。旧約聖書では創世記3章より罪をめぐる説教を求めたが、罪理解について倫理道徳的なところに留まるものが少なくなかった。悔い改めという言葉もキリストの十字架のない改悛として語られるものが少なくなかった。新約聖書ではヨハネ15章より説教を求めたが、十字架を前にした言葉であったことが十分に語れていない。加えてキリストとのつながりも、終末に根ざした結びつきであることに言及した説教はほとんどなかった。創造論、贖罪論、終末論というような組織神学的枠組みで思考する弱さが聖書理解、そして説教にも現れている。

教師検定試験は合格することはもちろんであるが、自分に不足している課題を見つめる場でもある。神とキリストの教会に誠実に仕えていくために、自分の欠けを理解しつつ主の憐れみにすがる伝道者として立っていただけるよう祈りたい。

試験終了後、Cコース受験者の認定面接も行われ、2名の志願者を認定した。その後、第11回教師検定委員会を開催した。今回の試験の振り返り、今後の予定などを協議・確認した。(清藤 淳報)

講 評

2021年春季教師検定試験は、昨秋の試験に引き続き、新型コロナウイルス感染症予防のため、受験志願者の安全を考慮して行われました。学科試験はレポート、全体、個人面接はオンラインで行われました。教師検定試験は召命を問う試験です。受験志願者が主の召しに応えて、誠実に試験に臨まれました。しかし、課題もありました。学科試験が全てレポートになり、参考書と取り組む時間ができましたが、参考書をそのまま書き写したようなレポートが多くありました。大切なことはレポートに記した言葉が、福音を語る生きた声となって受肉しているかどうかです。面接試験も同じ空間で、召命を問い、答える緊張感が、オンラインでどこまで迫ることができたのか、課題が残りました。しかし、主の導きのもと、試験が行われたことに感謝しています。

第41総会期 教師検定委員長

井ノ川 勝


2021年春季(レポート試験)・補教師試験問題

教憲教規および諸規則・宗教法人法

次の2題に答えてください。

(両方で1600字程度)

1.教憲・教規が定める教団の教師について、具体的な条文を挙げながら説明してください。また教憲では、召命という観点から教師になることを、どのように述べていますか。

2.宗教法人を設立する手続きにおいては、規則の作成と所轄庁の認証を受けることが求められています。その規則に記載すべき内容を宗教法人法の条文を引用して説明してください。また、このような規則が必要とされるのはなぜなのか、その目的とするところを記してください。

旧約聖書神学

次の2題を、旧約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、それぞれ1500字程度で神学的に論じてください。

1.モーセ五書における文書仮説を踏まえた歴史観について

2.旧約時代における黙示思想とその文学について

新約聖書神学

次の2題を、新約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、それぞれ1500字程度で神学的に論じてください。

1.新約聖書における聖霊について

2.マルコによる福音書の神学的特徴について

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