「何を大切にするのか」を確認しつつ
旭川豊岡教会、ひまわり幼稚園 《北海道旭川市》
先の見通せない不透明な状況にあるこの時、以下を心がけています。⑴不安な気持ちに流されたまま判断しないこと。⑵「何を大切にするのか?」という原点を確認し、判断基準を明確にしつつ、状況に応じて自らのなすべき行動を具体的に設定すること。⑶関係者に判断の結果・根拠を説明すること。
旭川豊岡教会では時間を短縮し、20〜30名規模の大人礼拝を守っています。「マスク着用」、「手指消毒」、「教会備品に触らないこと」、「教会で飲食しないこと」が予防対応の中心です。また、各自の体調に応じて、礼拝出席の自粛もお勧めしています。委員会や集会は基本的に中止し、子ども礼拝は休止しています。
ひまわり幼稚園は0〜2歳児まで約100名の園児が在籍する認定こども園です。4月20日以後、保護者に「可能ならば登園の自粛」を、「登園する場合も園児の在園時間の短縮」をお願いしています。教職員の出勤も減らし、体調管理に努めてもらっています。
今後、この状況は簡単に終息しないでしょう。そこで、「ひまわり幼稚園年間カレンダー」の行事について実施の有無・方法を検討しています。同時に、この状況を「認定こども園への移行に伴い、運営が難しくなっている保護者会の意義付けのための時間」として積極的に受け止めたいと考えています。
(韓守賢報)
教会員の自主的判断を尊重
柏教会 《千葉県柏市》
感染の広がりや政府の対応などが日々変化する中で、教会での対策や意識も毎週異なる。また、教会の規模や現状(礼拝出席者数、居住地域、年齢層、礼拝堂の容積と収容人数、換気できる窓の大きさなど)によっても違いが出る。
3月第一主日の聖餐中止を苦渋の決断に感じ、マスク着用のままの説教に至極戸惑ったのはもう随分昔に感じる。以下に記すのは4月下旬の時点での当教会における関心事や牧師としての思いである。
人によって危機感の強さや意識が異なり、何が正解か分からない。何が何でも礼拝堂での礼拝を続けようなどとも思っていないが、当教会では結果として、教会に足を運ばず自宅で礼拝するようにとの案内を少しずつ徹底していき、徐々に礼拝出席者数を抑えていくことになった。それは、教会員の自主的判断を尊重しようとの思いからである。自宅での礼拝も一人ひとりが主体的にそうしようと判断するのが、ピューリタン的信仰を何らかの形で受け継いでいるプロテスタント福音主義に相応しいのではないかと思わされている。それで、教会員に自宅での礼拝をお願いするときも、緊急事態宣言が出されたからとは言わず、また、自粛という言葉も使わないことを牧師として気をつけている。結局、イースター後からは牧師、伝道師の他、奏楽者、役員の一部とごく近隣の教会員、合計十数名が礼拝堂に集まっている(通常であれば約100名の礼拝出席)。
なるべく礼拝堂での礼拝を続けたいと思う理由には、家庭環境や家族関係に問題を抱えていて、自宅では息が詰まってとても礼拝できないという方がいらっしゃるかもしれないからということもある。
3月1日から礼拝のライブ配信を開始し、未だに試行錯誤しているが、礼拝はインターネットでというアピールを第一には挙げない。パソコンやスマホを持っていない教会員も多いので、あくまでもご自宅で礼拝をである。したがって、インターネット礼拝に切り替えるという言い方もしない。次主日の予告が記されている週報を郵送などで送って、各自が少しでも次主日の礼拝に備えられるようにしている。
次の課題は、教会員の日々の御言葉と祈りのサポートではないかと考えている。
(春原禎光報)
最後に残された神の言葉
鎌倉雪ノ下教会 《神奈川県鎌倉市》
当教会が新型コロナウイルスを意識して礼拝の形を変え始めたのは、本年3月1日である。礼拝の時間を半分以下に切り詰め、事前に出席自粛を呼びかけたが、蓋を開けてみれば150名が集まり、見事に〈三密〉を満たしてしまった。
その後の紆余曲折を詳らかにすることは紙面が許さないが、現在は教会堂に必要最小限の者だけが集まり、主日礼拝の動画のライブ配信を続けている。礼拝以外の諸集会はすべて中止。洗礼入会式は非公開。毎月の長老会もメールのやりとりだけで行っている。
改めて、「教会とは何か」ということを考えさせられる。正直なところ、教会の仲間に会えないということがこんなに厳しいこととは思わなかった。精一杯の献財によって建てた教会堂も、今やもぬけのから。すべてをはぎ取られたかに見える教会に、なお最後に神が残してくださっているのは、神の言葉のみ。「わたしには金や銀はないが」(使徒3・6)という使徒の言葉をふと思い出す。
礼拝動画のライブ配信をもって教会の礼拝と呼び得るのか、議論はあるだろう。オンラインでの交わりも試みているが、インターネットにアクセスできない人に対する配慮も忘れることはできない。しかし今、神はご自分の教会をもう一度、「聖書のみ、信仰のみ、恵みのみ」という場所に立たせようとしておられるのではないだろうか。むしろこのような時だからこそ、礼拝のライブ配信を通して思いもよらない人たちが御言葉を聴き始めている。神の奇跡と言うほかない。(川﨑公平報)
復活の主を伝える教会の扉は開く
東梅田教会 《大阪府大阪市》
緊急事態宣言が出ても教会で礼拝を行う。3月の役員会で、このことを決めましたが、他の教会の動向を耳にする度、本当にこれでよいのかと悩みつつの歩みです。
折しも緊急事態宣言が出された後の最初の日曜はイースターでしたが、復活の朝、女性の弟子たちもイエスの墓石が取り除けられているのを見たのだから、今も私たちと共にある復活の主を伝える教会の扉はどんな時代にも開いておきたい、との願いからです。
「そんな状況ではないのだ、命の大切さを伝えるのなら教会での礼拝は休止すべき」との声はあります。「この時世に教会で礼拝を続けているのか」と匿名の電話もありました。「教会で礼拝をやっていると、家族が行こうとするので、やめて欲しい」とも言われます。
でも、このような状況だからこそ孤立し、取り去れない不安の中で押しつぶされそうになっている人がいるなら、そしてその人が必死な思いで教会に行きたいと願うなら、その人と共に祈るのも私たちの礼拝だと信じています。
もちろん家庭礼拝を推奨し、礼拝の模様はLINEのグループを作成し、ライブ配信をしています。わざわざスマホを購入したという方もおられます。これを観られない方には、家庭礼拝の例をFAXでお送りしてもいます。
それでも教会での礼拝も続ける限りは出来るだけの環境は整えないといけません。当教会は通常は地域をはじめ様々な団体に会堂を利用していただいていますが、それを休止し、礼拝以外では会堂の利用は行わないでいます。また窓や扉を開けて礼拝を行い、礼拝後の諸集会も休止しています。
奏楽は自動伴奏機、その他の礼拝当番は教職、職員、神学生で行います。通常の礼拝出席は100名ぐらいでしたが、今は十数名。ライブ配信視聴者は70名ぐらいです。
礼拝の配信を行うなら「礼拝とは何か」というところからしっかりとみんなで考えた上で始めたかったのですが、そのような時間もなく、緊急処置的に開始に踏み切りましたが課題も見えてきました。礼拝配信に限らず、これまで当たり前すぎて考えずに後回しにしていたことが、今問われているように思います。またこのような時にこそ、教会が担うべき使命は何かが問われます。そしてこの問いに全ての教会がそれぞれに祈りつつ決断し、歩んでいます。
東梅田教会が会堂での礼拝を続けていることは、もしかしたら後世には、間違っていたと言われるかもしれません。それでも私たちは、誰とどのように生きていこうとするのかをそれぞれに考え、動き出していくことが、今を生きる私たちの信仰告白であると信じます。
特に「つながり」について考えさせられます。訪問も出来ない中で、電話や手紙などを含め、どのように教会に連なる一人ひとりの心とつながっていけるのか。また自分の教会のことだけでなく、この状況下で財政的に厳しくなる教会・伝道所の今と、どのようにつながりここからを歩んでいけるのか、ひとつ一つの問いに祈りながら誠実に応えていきたいと思っています。
(大仁田拓朗報)
御言葉が行き渡るように
高幡教会 《東京都日野市》
高幡教会では、2月末に「礼拝堂での礼拝を中止して、家庭礼拝に切り替える」決断をしました。
この決断の理由には、①昨年12月に教会でインフルエンザが流行り、降誕祭に洗礼式、聖餐式、愛餐会が出来なかったこと。②日曜日に礼拝堂が満席に近い密状態になることがあること。③礼拝者の4割以上が80歳を超えていること。④近隣の老人ホーム職員の感染が分かったことなどがあります。
決定の翌日には、ユーチューブ用動画を撮影し、3月1日から配信を続けています。毎週約3分の2の教会員(44名)が、パソコンやテレビ、携帯電話などで、オンライン礼拝に参加して、日〜月の視聴回数は150回程です。
また、週報、礼拝CD、祈祷と説教の原稿を、教会員全員に毎週郵送して、御言葉ができるだけ行き渡るようにしています。
3月22日、「短縮版、人数制限有り、事前申込制、窓全開での試験的礼拝」を午前と午後の2回行いましたが、翌週は寒さと大雪のため、その後は、緊急事態宣言のために断念しています。
ただしイースターには、長老と当事者数名のみの礼拝で、洗礼式、転会式、転入会式を行い、教会全体に喜びがあふれました。
現在教会員は、オンライン礼拝に家族と一緒に参加したり、知人や友人に動画を紹介して伝道の機会を活用しながら、事態の収束と礼拝の再開を祈り求めています。
(岡村 恒報)
二つの会堂から礼拝を中継
北九州復興教会 《福岡県北九州市》
私たちの教会には、清水会堂、曽根会堂の二つがあります。両会堂とも、4月12日より、礼拝堂に集まっての礼拝は中止にしました。清水会堂では、ラインによって礼拝中継を行っています。
礼拝堂での礼拝中止は、最初は4月26日までと決めましたが、5月10日まで延ばし、さらに5月31日までと延ばしました。
教会学校も休会しています。また、祈祷会も休会としていましたが、4月22日より再開しました。しかし、これもライン電話によって行っています。曽根会堂では、フェイスブックによって礼拝中継を行っていましたが、5月10日よりラインによる中継に切り替えます。
しかしながら、礼拝中継にスマホやパソコンを通して参加できるのは、全体の半分ほどです。それ以外の方には週報をファックスで送ったり、郵送したり、教師が自宅まで持っていくことをしています。
定期教会総会も、当初の4月26日から5月24日への延期を決めましたが、5月に入り役員会で再度検討し、礼拝堂に会しての教会総会開催は断念して、議決権行使により承認を求めることになりました。
新型コロナウイルスの感染等はなく、守られています。ただ、教会員で、老人施設や病院に入っている者が数名います。その伴侶、家族は、面会に行くことは禁止されていて再会を切に待ち望んでいます。(久多良木和夫報)