私は卒業式の週に大震災のために、被災地の教会を問安して回った。そのために幼稚園を休んだ。卒業式の練習は一回だけ。その日も園長として出ることができなかった。
卒業式の前日、園に出勤した。A君「園長、卒業式忘れんなよ」。私「忘れないよ」。B君「園長、卒業式のやりかた教えてあげるよ」。私 「ありがとう」。B君「きおつけして、そして、こっちのお手てでわたして、こっちのお手てで握手、バッテンするんだよ」。B君、真剣に卒業式のやり方を教えてくれた。左手で卒業証書を渡し、右手で握手する。このようにして卒業証書を渡している。
卒業式当日。C君がわたしに向かって叫んだ。「園長、間違えるなよ」。私「分かった。頑張る」。真剣に私のことを心配してくれているのだ。
越谷も地震で大きく揺れ、この卒業式の週は「自由登園」として登園バスを出すことができなかった。144名の内、登園してきたのは64名、64名という状態だった。
計画停電で停電の中の卒業式となった。大災害の傷みを共に負う中での卒業式までの日々であった。
しかし、怖い思いをし、怖い場面をテレビで見ている。その中で「相手の心思う優しい心」が育っていることを強く感じて感動した。
この「心」が、幼児の中にしっかり育っているというところに大きな希望をもつことが出来た。
(教団議長 石橋秀雄)