東京信徒会講演会は2011年3月5日鳥居坂教会を会場に、教職・信徒46名が出席して開かれた。
主題「伝道に燃える教団『宣教基礎理論-その問題点と見直しをめぐって』に強い関心が寄せられた。
宣教研究所では、前々総会期から「宣教基礎理論」見直しが進められていたが、今総会期第1回常議員会で、伝道議案審議の際に重要課題として浮上。講演会開催の切っ掛けとなった。
講師の宣教研究所宮本義弘委員長は冒頭、マタイ5章13節を引用して次のように問いかけた。「あなたがたは地の塩である」。この御言葉をどのように読むか。主イエスは、「地の塩になれ」と言われたのか。ここに50年前に作成された宣教基本方策と宣教基礎理論を読み解く鍵がある。
キリストの光に照らし出されて輝く者という姿が抜け落ち、自分自身の力で塩の働き、輝きを保ち続けようとするならば、信仰は難行苦行である。そこからの解放が今問われている。
宣教百年の1958年、伝道不振解決のために研究を開始。'61年「宣教基本方策」策定。それに基づく「宣教基礎理論」を'63年に完成。現在に至る。
基本方策に記された骨子、「体質改善が必要であることを自覚し、合同教会としての一致と連帯性の強化」が重視された。
教会の体質とは、神の前での人間関係の質と定義され、神と私たちの関係から始まるのではなく、信徒相互の人間関係から始まる。つまり人間の手によって変革できると示唆した。
ここに、十字架によって神と私たちとの関係が、贖い、赦され、神と和解させていただいたという根本的な関係が解消されてしまう危険。更に「教会はこの世との連帯性の中に生きている」とし、教会の礼拝は横の関係を重視して位置付けられる危険性を孕んだ。
こうした教団半世紀を経て、今、新たな教団の歩みを始める第一歩として、宣教基礎理論の見直しに多くの期待が集まっている。
(鈴木功男報)