「この1カ月で、車で3千キロ走りました」。岩手県沿岸地域にある教会の牧師の言葉である。
北海道には及ばないにしても、岩手県は広い。なんと四国四県がすっぽりと入ってしまう広さである。そこに18の教会が、まさに点在している。けれども、それらは決して「点」としては存在していない。それこそ1カ月で数千キロという距離を移動しながら(しかも雪道を!)、相互に訪問し合い、集会に集うなどして伝道協力を推進している。これは奥羽3県(青森、岩手、秋田)において日常的になされていることである。
北東北3県は教団成立時には東北教区所属であった。戦後、広大な地域に立てられている諸教会の維持と伝道協力のために奥羽教区が創設された。
その創設以来今日に至るまで、奥羽教区では「教区の教会性」ということが語り継がれ、「一つなる教会」としての教区形成が目指されている。つまり、「それぞれ個々に存在している教会同士が支え合って伝道を推進しよう」というのではなく、「『一つなる教会』として共に奥羽の全地域における伝道を推進しよう」ということである。
実は、教団もこのようにあるべきではないかと思っている。教団は「公同教会」(教憲前文、第1条)として「一つなる教会」である。各個教会が全体教会である教団の大切な肢体として、より一層祈り合い、支え合って、日本の各地域における伝道の進展のために力を合わせることができたらと願っている。(教団書記 雲然俊美)