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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4718号】人ひととき 西海 昭延さん

2011年3月5日

 

「エッファタ」との御言葉によって

2007年、日本で唯一の私立でキリスト教主義の聴覚障がい児学校、日本聾話学校の校長となった。大学時代に社会福祉を学び、就職を考える際に、教授に紹介されるまま見学に訪れたのが、この学校との出会いであった。それまで聴覚障がい児と向き合ったことは一度もなかったが、学校の生徒の屈託のない笑顔に魅かれ、そのまま働くことを決意。現在まで第一線に立ち、子どもと共に歩み続けてきた。

この学校の最大の特徴は、手話を使わない聴覚主導の口話法教育にある。人工内耳や補聴器によって、僅かな聴力を引き出し、愛情をもってひたすら語りかける。言葉は、コミュニケーションの手段であるばかりでなく、人間が思考し、人格形成をする上で決定的な役割を果たしている。子どもたちが聴き、話す力を身につけ、豊かな交わりに生きる人格として成長することを目指している。

このような教育は簡単ではない。繰り返し語りかける時間と、忍耐強く向かい合う根気、そして何よりも愛情が不可欠である。家庭における子どもとの関わりも、極めて大きな意味を持つ。それだけに父母の教育にも力を入れている。我が子を神様から与えられた価高く尊い命として受け入れ、感謝と喜びと希望をもって育むことができるよう支え、励ますことも大切な聾話学校の使命である。

この教育が成功すればするほど、生徒は一般の学校に転校して行くことになる。経営は常に厳しい状況にある。しかし、教会をはじめ様々な方の、祈りと支えによって、必要が満たされて来た。主が備えて下さっていることを感じずにはいられない。

教育に携わる中で、日本社会になお残る障がい児に対する偏見や差別に直面する。それだけに主イエスの御言葉が聞かれ、主イエスの愛が生きられるような社会になってほしいとの願いは強い。耳が聞こえず舌が回らない人の耳に指を入れ、「エッファタ」と言って下さった主イエスの愛の業を継承する教育を全うしていきたい。

 

教団新報
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