【4718号】北村慈郎氏による「地位保全仮処分命令申立事件」

 

「取下書」提出により審尋終結 免職無効を訴えるも

 

このほど、免職処分中にある北村慈郎氏が、免職処分の無効と正教師の地位の確認を東京地方裁判所に求めた(「地位確認等仮処分命令申立」)。結果は、第5回の審尋において北村氏側が裁判所に「取下書」を提出したことにより、この事件については終結となった。

 

免職に至る経緯

 

まず、これまでの経緯を簡単に振り返る。

200710月の常議員会において「北村慈郎氏に対し教師退任勧告を行う件」が可決され、山北宣久教団議長は北村氏宛に「勧告書」「再勧告書」を送付した。

北村氏がこれらの勧告を受け入れなかったことから、20087月の常議員会では「北村慈郎氏に対する戒規申立を行う件」が可決された。また、同年10月の第36回教団総会では、退任勧告の撤回・取消し要求関連の3議案が否決される一方、教団議長の発議による戒規申立決議の無効を確認する議案が可決された。

20097月には、信徒常議員7名(申立人と賛同者)が「北村慈郎教師への戒規適用申立書」を教師委員会に提出、これが受理され、20101月に教師委員会は北村氏の免職を決定した。北村氏はこれを不服として「上告書」を教団議長にj提出し、この上告を受けて同年2月の常議員会において審判委員5名が選出され、審判が行われることとなった。審判委員会は、教師委員会の戒規適用は適正と決定し、北村氏の免職が確定した。また、これに伴い、年金局理事会は教師退職年金等規則に基づき、北村氏への年金給付を25%減額し75%とすることを決定した。

なお、第37回教団総会では、「教団総会議長が常議員会の議を経て戒規の申立をすることができる」ことを確認する議案が可決されている。

 

本事件について

 

20101125日、教団事務局に東京地裁民事第9部から日本基督教団代表役員(石橋秀雄議長)宛「通知書」が届いた。債権者北村慈郎、債務者日本基督教団とする「地位確認等仮処分命令申立事件」について、「あなた(債務者)の主張(言い分)をお聞きすることになりました」(いわゆる審尋)という内容で、期日に東京地裁に来るようにとの通知だった。

この案件について教団は、顧問弁護士の宮原守男弁護士より適任者として紹介された島林樹(たつる)弁護士を訴訟代理人として委任し、裁判に対応することとした。

1回の審尋は、最初の通知から1週間後の12月2日に行われ、その後、1217日、2011年1月11日、1月26日、2月1日と計5回の審尋が行われたが、第3回と第4回の審尋には北村慈郎氏本人も出席した。第5回目の審尋が終結予定期日だったが、この最終の審尋において債権者(北村慈郎氏)側から「取下書」が提出され、本件は終結となった。

以上が大まかな経緯だが、以下、この事件の内容について概略を示す。

債権者側の「申立の趣旨」は、「1.債務者が平成22921日付で債権者に対してなした免職の意思表示は仮にこれを停止する。2.債権者が、債務者の正教師である地位を仮に定める。との裁判を求める。」というもの。すなわち、免職処分中の北村慈郎氏が、教団の教師委員会が決定し審判委員会が適正と認めた免職の戒規について、その無効と自身の正教師の地位の確認を、裁判所に求めたものである。

債権者側の主張を要約すると、1.戒規執行は一事不再理の原則に反する(第36回総会で戒規申立は違法とされたにもかかわらず、再度の戒規申立が受理された)、2.戒規申立の受理手続が違法(「先例集」96を無視している。教師委員会も「先例集」96を無視した内規に改正した)、3.上告審判手続に瑕疵がある(審判委員の選出に「特別利害関係人」すなわち申立人が審議・裁決に加わり、賛同者も常議員と認められる。審判についての手続規定がない。弁明の機会を与えていない等)、4.保全の必要性・緊急性(債権者の紅葉坂教会における任期は3月までで、後任牧師の招聘も内定しているが、債権者は免職処分により牧師として教務活動ができなくなる。従来の戒規は破廉恥な行為に対して適用されてきたことから、名誉感情を傷つけられている等)、というものである。

この債権者側主張は、次のような前提に立っている。すなわち、戒規は「懲罰以外の何ものでもない」と断定した上で、戒規(懲戒処分)を実体法部分と手続法部分に分け、手続は世俗法(市民法原理)により要請される適正手続によるほかなく、信仰に関する事項に何らかかわりなく判断しうる、とする。

 

債権者側が申立取下げ

 

これに対し、債務者教団側は、「本件申立をいずれも却下するとの裁判を求める」として答弁し、債権者の主張に対して全面的に反論した。

まずは本件申立が「法律上の争訟」たり得ない不適法なものであると主張し、また上記の債権者の主張に対しては、債権者が戒規を懲罰規定であるとし、戒規適用の手続を世俗の裁判の訴訟手続と同視するなど、戒規の本旨を全く誤解ないし曲解した上で自説を展開している点を批判した。戒規の本旨については次のように示した。「戒規の意義・目的は、戒規の対象となった者を、あるべき道に回復、復帰させることであり、戒規に相当する事実の認知に始まり、矯正のための祈り、悔い改めへの勧告、譴責等の処分、さらなる悔い改めと回復(復帰)への勧め、といった一連の手続の流れ全体をもってなされる信仰的指導・訓練である。そして、この手続全体を通して聖書的信仰が基礎・指導原理となっていることは言うまでもない」。

また教団側は、債権者の主張は宗教団体の自律性を捨てて裁判所に対して世俗法の論理を導入しようとするものであり、宗教団体へ国家権力を介入させる危険の重大性を指摘し、併せて裁判所に対しては、裁判所が判断を下すことは本件の紛争解決にはならず、政教分離の原則に抵触する危険性を助長して、宗教弾圧への途を拓くことになるという懸念を表明した。

こうして、最終回の審尋を迎えて、裁判所の決定を待とうという際まで進んだが、最終的に債権者側の「取下げ」というかたちで終結となったものである。

 

 

<議長談話> この度、免職の戒規を受けております北村慈郎氏が、裁判所に地位保全仮処分を申立てました。「教会の訓練」としての戒規に係る事案が、世俗の法廷に持ち出され、国家権力の判断に、一時的にもせよ委ねられる状況を招いたことは、誠に残念なことでありました。

本件は、北村慈郎氏側からの「取下げ」というかたちで終結しましたが、北村慈郎氏に対して、自身の受けている戒規についてさらに真剣に受け止めていただきたいと改めて願うものです。このことに関わるすべての者に主の憐れみがありますよう、切に祈ります。


201102

日本基督教団 総会議長

石橋秀雄

 

 

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