【4717号】みんなで生きる~JOCS創立50周年、新しい50年へ~

日本キリスト教海外医療協力会    大江  浩

 

①.JOCSの源流、そして今日までの歩み

JOCS(1960年創立)は、2010年に創立50周年を迎えました。母団体は1949年に設立された日本キリスト者医科連盟(JCMA)です。その源流は72年前の日中戦争の時代、京都大学YMCAのキリスト者医学生を中心とした中国での難民医療活動に遡ります。

中国難民救済施療団の第1陣(1938年)は学生キリスト者の情熱の証しとして始まり、第2陣(1939年)では全国各地の医科系YMCA関係者を巻き込む活動に広がって行きました。私たちの歴史を貫くものは、戦争に対する贖罪の意識、キリスト者による償いとしてのアジアにおける保健医療協力、保健医療を通じた「みんなで生きる」平和な世界の実現、という理念です。JOCSは教会と共に歩むキリスト者による「祈りと働き」の器です。

JCMAは、設立当初、戦後日本の無医村地区での医療奉仕や福井大地震・伊勢湾台風などの災害被災者への支援を行いました。そして東アジア・キリスト者医療従事者会議(58年、香港)でのアジアの同胞からの要請、即ち「アジアの”呼び声”に応えて」が、JOCS設立の契機となりました。以来JOCSは、半世紀にわたり、アジア・アフリカへ、召命感に燃えるキリスト者の保健医療従事者(ワーカー)を派遣し続けています。

②.「みんなで生きる」JOCSの使命と働き

JOCSは、「基本方針」に、その理念と使命を謳っています。「本会は、聖書の『私があなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい』というイエス・キリストの教えに従うことを基本姿勢とし、世界の保健医療事情の向上を目指す…」。

1の働きは、クリスチャンのワーカー派遣です。50年間で延べ11カ国、70名を超えるワーカーを主としてアジアの国々へ送ってきました。JOCSは、創立50周年に向けた5ヵ年計画で、4つの焦点/女性と子ども、障がい者、少数民族、HIV陽性者への働きを重視し、それらの人々と共に生きるワーカーを派遣する、という方針を掲げました。4つの焦点は、「最も貧しく弱く小さくされた人々」だからです。女性や子どもであるが故に、ある階層に生まれたが故に、ある信仰をもつが故に、障がいの故に、少数者であるが故に、HIV/AIDSの感染・患者であるが故に、差別・偏見の対象となり、抑圧され、搾取されている人々は、世界各地に存在します。私たちは、そうした顧みられることのない人々の痛みを分かち合う必要があります。それらの人々の「声なき声」を聴かねばなりません。

2の働きは、現地の保健医療スタッフへの奨学金支援です。ニーズは拡大する一途で、現在は7カ国で延べ80100名(年間)へ奨学金を支給しています。

私は、200910月にウガンダの奨学生のモニタリングに赴きました。奨学金の受給者である現地の医療スタッフたちは、少なからず貧しさにあえぎ、家族などが病を患うものの医療に乏しい地域で生まれ育ったことが理由で医療者を目指しました。ウガンダは長い内戦の影響で荒廃し、後遺症として貧困とHIV/AIDSの問題にも苦しんでいます。保健医療の最前線で、様々な困難を乗り越えながら、身を粉にして懸命に働いている彼らの姿に深い感銘を受けました。

また、20104月にはインドネシアの奨学生モニタリングを実施しました。同国へは、JOCSのワーカー第1号である梅山猛氏(小児科医)の派遣以来、5名のワーカーを各地へ送りました。スタッフの奨学生モニタリングレポートから、元ワーカーが、その献身的な医療活動によって現地スタッフのロールモデルとして信頼を得ていたこと、そして今もそのことが語り継がれていることを改めて知りました。奨学生のOBOGは、指導的な立場で後輩の育成にあたっています。現地で蒔かれた種が豊かに実を結び、地元の人々の命を守り支える重要な働きの担い手となっている彼らに、こちらが大変励まされた次第です。その様子は、JOCS50周年記念DVD(※)に描かれています。

※JOCSのHPからもご覧になれます。

3の働きは、協働プロジェクト/Project LITTLE“(※)です。

※”LITTLELiving Together with the People“の略称

JOCSは、2010年度から現地主体の協働事業として、新たに5ヵ年計画のバングラデシュでの学校保健教育プロジェクトを開始しました。現地協力先のBDP(Basic
Develop-ment Partners
)は、ACEF(アジアキリスト教教育基金)のパートナー団体です

対象となるのは、BDPの運営する学校のうちミルプール地区の4小学校とガジプール県プーバイル地区の10小学校、計14校(合計生徒数は、約3000人)です。子どもたちの健康への意識向上と保健行動の改善を目的としていますが、衛生教育での新しい試みが団体間協力によって始まりました。

③.50周年感謝礼拝(2010923日)でのブラザー・フランクの講話

ここでブラザー・フランクの講話の一部(和訳:植松功氏)をご紹介したいと思います。ブラザー・フランクは、バングラデシュ・マイメンシンのテゼ共同体(フランスにある超教派の男子修道会)の修道士で、岩本直美ワーカー(看護師)と山内章子ワーカー(理学療法士)が従事する、障がいのある人々と共に生きる働きを支えてくださっています。

「直美さんと章子さんは、JOCSワーカーとして、バングラデシュのマイメンシンに派遣されました。それは、貧しい人々、中でも障がいをもった貧しい人々の中で働くためです。この二人が、スラムに暮らす障がい者たちを訪問する時、それは、彼らに何かを与えるためではありません。それは、障がい者に、自分に与えられている賜物(おくりもの)に気づくようにと促すためなのです。

二人はこう語りかけます。『今までみんなが、貴方は役に立たない存在だと言い続けてきましたね。でも今、貴方は気づかねばなりません。貴方の中にこそ、人類に与えられた賜物が豊かにあり、貴方には多くの可能性があるということを。それに気づいたとき、貴方は新しい人になるのです。内側に宝を持ち、それを人と分かち合う新しい人です。多くの人の目には見えない貴方の宝に気づいてください、そして貴方が気づいたその宝に、”はい”と言ってください』。

…直美さん、章子さんは、そして最近私たちの近くにJOCSから派遣されてきた乾真理子医師は、非常に貧しい人々の間で一生懸命働き、彼らと一緒に生活しています。彼女たちはその能力を分かち合い、それによって沢山の小さな奇跡が起きています。彼女たちから輝き出る喜びの秘密はなんでしょうか。知的な障がいをもった貧しい少年少女たちが体験する癒しの秘密とはなんでしょうか。身体的な障がいをもった人たちや医療的ケアが受けられない村の貧しい人々の間で生きる彼女たちの秘密は何でしょうか。

彼女たちは祈るのです。いのちの源である復活されたキリストに全てを委ねる信頼の祈りです。」

バングラデシュでの地域に根ざした障がい者支援、知的ハンディのある人々と共に生きるラルシュ共同体の活動は、先述の50周年記念DVDの映像(HP)からご覧になれます。

④.最後に

JOCSがスタディツアーで訪れている南インドのタミルナドゥ州にあるクリスチャン・フェローシップ病院には、”We Treat, God Heals“という言葉が掲げられています。「私たちは治療を為し、神様が真に癒しの業を行われる」という意味です。

この”Treat“を、”Serve“あるいは

Care“に置き換えてみると、医療者ではない私たちにもできることを見出します。”Serve“とは即ち、「奉仕をする/ボランティアをする」こと、

Care“とは「大切にする/愛する」こと。聖書の御言葉にあるように「自分を愛するように、こよなく隣人を愛する」一人ひとりから平和がつくられていきます。

「平和を実現する人々は幸いである」(マタイ59)、JOCSは平和の道具として誕生しました。そして、「祈りと働き」のために存在します。本来であれば、JOCSの活動の必要性が無くなる日が来ることを待ち望みます。しかし、現実はそれとは程遠いですが。

私たちは、貧しく弱くされた人々を「世の光」として、内なるキリストの愛を見出します。そして私たちは、「地の塩」として、「みんなで生きる」平和な世界の実現のため、キリストにつながる全ての人々と共に、新しい50年を歩んでいきたいと思います。

(JOCS総主事)

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