「伝道する教団」へ
石橋秀雄議長
日本基督教団は第31回教団総会において「日本基督教団は21世紀に向かって伝道の使命に全力を注ぐ決意表明」をなし、さらに第32回教団総会において「日本基督教団は21世紀に向けて青年伝道の使命に力を注ぐ件」が可決されました。
小島誠志元議長、山北宣久前議長のお二人ともに、祈りと強力な指導力をもって「伝道する教団」へと導いてくださり、それが第37回教団総会へとつながったと私は確信しています。
この結果、今総会は、まさに、全教団的伝道体制を整え「伝道しなければ教会は滅びる」という危機意識を共有し、「主の伝道命令に全力で従う決意」を表明する教団総会であったと受けとめています。
1.伝道に盛り上がる教団
「伝道に熱くなる教団、伝道に熱くなる教会へ」と教団総会で議長就任の挨拶を致しました。
「御言葉が熱心に語られ、御言葉が熱心に聴かれ、高らかに主を讃美する」喜びの礼拝を聖日毎に捧げたい。この礼拝で与えられる喜びを熱く証する信徒の群れとなり、罪の赦しの福音を熱く伝道する教会になって行きたい。この伝道に熱くなり伝道の使命に全力を注ぐ教会の働きによって、「主の言葉はますます勢いよく広まり、力を増していった」(使徒言行録19章20節)と言いえる教団となるように祈りを深めています。
(1)教団伝道方策を立てる
第37総会第37号議案「伝道方策検討委員会を設置する件」が、常議員会付託になりました。これを主の御心と信じ、この議案のもとで教団の伝道体制を整えるために、常議員会で徹底的に議論をし、伝道方策を立て、さらに教団の伝道体制を整えていきたいと願っています。
第37回総会期の教団は分水嶺に立たされていると思います。このまま伝道が衰退し、教勢が低下し続けて行くか、伝道が盛り上がり、教会に活気がもどり、青年たちが自分のより所を教会に求めてくる、そのような教団になりえるか。
伝道方策を立て、具体的な伝道の展開をする体制を整えたいと切に願っています。これによって、第38総会期を迎える時には、その体制のもとに全教団的に伝道の展開がなされ、伝道が盛り上がる教団になりうるように新常議員と共に主に祈りつつ全力で取り組みます。
(2)伝道の視点から
今総会期において、教団常設委員会、常設専門委員会においては「教団の伝道の推進」という視点から委員会活動をとらえ直して展開していきたいと考えています。
2.信仰告白と典礼と教会法
目に見える教会は信仰告白と典礼(礼拝説教と聖礼典)と教会法において具体的存在となります。
この三つは一体の関係にあり、一つが歪むと他の二つは脆弱なものとなり、教会は崩れてしまいます。
信仰告白と典礼(礼拝説教と聖礼典)と教憲・教規が確立される教団になること。議長として、このことを強く訴えて行きたいと思っています。
(越谷教会牧師)
規則と会議を有機的に
岡本知之副議長
「教憲第4条は〝本教団は教憲および教規の定めるところに従って、会議制によりその政治を行う〟と定めている。教憲・教規による圧政もいけないが、規則なき会議もいけない。規則と会議、この両者が有機的に組み合わされて、教団の秩序と対話が形成されていくことを願っている」(副議長予備選での挨拶)
「物事を偏り見ることのないのは神だけであり、人間はどんなに努力しても人や物を偏り見てしまう存在であると思う。だからこそ、会議は議事規則を必要とし、議長団にはそれに基づく公平な議事進行が求められる。限界はあるが出来る限り公平な議事進行を心がけ、そのことをもって教団ならびに諸教会に仕え、神に仕える者でありたい」(副議長選出に際しての挨拶)
私の新副議長としての抱負は、この二つの挨拶に尽くされている。
教団の正副議長はプライメイト(首座主教)でもなければパトリアッチ(総主教)でもない。ただひたすら議事規則に則った公平な議事進行に努めること、それが議長の基本的な役割である。正副議長のリーダーシップは、会議の中でこそ発揮されるのである。
その際、諸規則は会議を会議足らしめるための基本的枠組みであるから、たとえ煩瑣に感ずる時があろうとも、これを皆で遵守することが求められる。これは教団に対話を形成していくための必須の要件である。
この事に関する私の基本的な方針は次の二点のみである。
1.総会議事規則ならびに教憲・教規等に規定のある事項は、そのまま議事進行に反映させる。
2.教団諸規則に定めのない事柄については、ロバート議事規則を援用しつつ議事進行に当たる(但し、このロバート議事法を無条件に教団の諸会議に当てはめるためには、教団規則の中にその旨の定めがなければならない。今はそれがないので、これら議事規則の援用については、その都度議場にその趣旨を説明し、承認を得た上でこれを行う)。
むろん議長には「統括行為」の定めがあり、内外に教団を代表する者であることもまた事実である。しかしそれはあくまでも(少数者をも含めた)教団総会全体の代表者としてであることを銘記すべきである。
今回の総会では教団常議員が全数連記で選ばれた。「全数連記が本来の形」とのことであるが、結果としては、今総会の多数派と目される人々によって、すべての議席が占められることとなった。
このことによって今期常議員会はこれまでにない課題を背負うことになったのではないか。これまでも常議員会では実質的な「対話」は最早成立していなかったと思うが、それでも「対論」は尚存在した。今後常議員会にその対論の場を持たないとしたら、それをどこに確保するのか、それともしないのか。これは教団の今後の歩みにとって重大な選択となろう。
私個人としては、総会休会中の最高意思決定機関である常議員会の働きは充分に尊重しつつ、加えて議長の統括行為として教規第39条に定めのある「各種委員長会議」ならびに「教区議長会議」を新議長が積極的に召集し、各委員会間の連携をはかり、各教区の生の声を互いに共有しあい、共に重荷と課題を担いあって行く中で、石橋議長が掲げられる「伝道する教団の回復」を目指していくべきであると考える。
教団における議長(団)のリーダーシップとは何か、このことを真剣に考えながら、託された責務を果たしていきたいと願っている。御加祷を乞う。
(西宮教会牧師)
伝道の働きを互いに覚え
雲然俊美書記
〈神の召しとして〉
「教団の書記に...」、それはまさに青天の霹靂(へきれき)でした。しかしそれだけに、神さまの召しであることを強く思わされ、また、人間的な言い方で言えば、覚悟を決めたことでありました。
〈書記の働き〉
書記としての働きは、まず何よりも議長、副議長の働きを支え、教団総会から託された、教団における諸活動の推進の責任を担う常議員会の運営を円滑に進め、全体教会としての教団の働きを実りあるものとすることであると思います。
その意味で、教団が携わっているさまざまな課題に真摯に向き合い、議論を積み重ねて、国内外における教団の働きをより活発なものとするために、自らに課せられた働きを担ってまいりたいと思っております。
教会等に連なっている方の中には、「教団は遠い」と感じておられる方もいることと思います。あるいは、教団を愛するがゆえに、さまざまな意見や批判をもっておられる方もいることと思います。それだけに、教団が主イエス・キリストを土台とし、「神のために力を合わせて働く」(Ⅰコリント3・9)ことを喜びとする歩みを共に進めて行くことができればと願っております。
〈宣教協力の推進を〉
その上で、わたしの祈りは、何よりも各教会・伝道所、関係学校・施設等での伝道の働きの前進ということです。それぞれの働きの場において、「十字架の言」(Ⅰコリント1・18)を高く掲げ、伝道をより一層推進する力が増し加えられることを祈っております。
そのために、教団全体が共に伝道・教育・奉仕の業に力を合わせて励み、互いに祈り合い、支え合う全体教会としての内実を深めて行くことを願っております。つまり、教団における宣教協力の推進ということです。
わたしは地方の教会で受洗し、献身をし、神学校(東京神学大学)を卒業後26年半、現在に至るまで地方にある教会に仕えております(その内22年は開拓伝道)。伝道はいつの時代でも、またどの地域でも困難なことでありましょう。教会を立て上げる働きもまた常にさまざまな課題があります。そのような中でわたし自身、牧師として教会に仕える働きにおいて、あるいは伝道において、近隣諸教会や地区・教区の諸教会との交わりや祈りに支えられてまいりました。
地方にある教会も、また、都市部にある教会も、それぞれにその置かれている地域における重い課題がある中で伝道に励んでいることと思います。教団が、各地における伝道の働きを互いに覚え、互いに支え合う一つの教会としての働きを具体的に展開する(例えば教会間の交流など)ことができればと願っております。
さらに、教団は、教会等の働きにおいて、また、そこに集う一人ひとりや遣わされている教師においても、神さまから実に多くの豊かな賜物を与えられています。その賜物を活かして、主の御業を力強く証しする教団でありたいと思っております。
〈祈り合う教団として〉
最後に、教団が、聖霊なる神さまの導きと支えにより、各教会・伝道所、関係学校・施設等に連なっている一人ひとりが組み合わされ、結び合わされて、「自ら愛によって造り上げられてゆく」(エフェソ4・16)教会として成長し、神の栄光のために共に力を合わせて励む教団であることを心から願っております。
(秋田桜教会牧師)