議案第29号「教規変更(伝道所関連)に関する件」について、活発な意見交換がなされた。賛成反対それぞれに、教規における伝道所の位置づけについての真剣な意見交換であった。
現状の伝道所の位置づけが曖昧であり、課題が多くあることが浮き彫りになったが、議案名から分かるとおり、教規変更には3分の2の賛成が必要であり、修正議案も出されたが、可決に必要な233に対し、修正議案賛成210、原案賛成199でともに少数否決された。
なお、現状を放置できないという点では、ほぼ共通した認識があり、今後も、伝道所の位置づけに関しては丁寧な議論が続けられるものと思われる。
議案第32号【「日本基督教団と沖縄キリスト教団との『合同のとらえなおしと実質化』特設委員会」を設置する件】について、前総会で一度同様の議案が否決されたが、西中国教区はそれでも沖縄教区といかに向き合うかを考えて、この議案を提出したと提出理由が述べられた。第25・26・27教団総会での決議を根拠として、『合同のとらえなおしと実質化』を推進すべきだとの主張がなされたが、採決の結果、過半数173に対し、140で少数否決となった。
議案第33号「米軍再編に抗議し、全国の軍事基地撤去を求める声明を内外に向かって表明する件」について、「平和を実現する人々は幸いである」との御言葉に立って、教団全体で地元の痛みを共有してほしいと補足説明がされた。
平和を願うこと自体はもちろん賛成だが、声明を出すのであれば、もう少し具体的に練り直すことが必要だとの反対意見も聞かれた。採決の結果、過半数174に対し、147で少数否決となった。
議案第34号「『合同のとらえなおし』:『戦後責任』とその歴史検証に関する件」に関しては、まず、沖縄教区とどのように向き合うか、どこに立って歴史を検証するのかについて議論がなされた。
ここでも、議案32号と同様に、過去の教団総会決議や合同の経緯に触れる議論がなされたが、平行線をたどった。採決の結果、過半数171に対し、138で少数否決となった。
議案第35号「同性愛者をはじめとするセクシュアル・マイノリティ差別に関する件」に関しては、賛成意見として、自らが差別者だという自覚を持って歩むべきとの意見が聞かれた。採決の結果、過半数165に対し、135で少数否決となった。
「沖縄宣教連帯金」関連の議案審議は、まず議案18号「2010年度教団歳入歳出予算に関する件」と議案40号「2010年度教団歳入歳出予算案:沖縄宣教連帯金予算案に関する件」が同時上程されることから始まった。
議案40号は、第36総会第3回常議員会で可決された歳入歳出予算(案)における「沖縄宣教連帯金」支出予算80万円を、従来どおりの120万円とするという提案であり、事実上、議案18号の修正案であった。
この審議では、36総会期を通じて議論されてきた所謂「合同のとらえなおし」を巡る「合同」理解、これと密接な「沖縄教区は教団とは距離を置く」という問題及びその打開策と重ねられて議論された。過去の総会にまで遡り、その議決を論拠とする意見が述べられる一方、「距離を置く」と言いながら連帯金を受けるのは矛盾していると厳しい意見が述べられるなど、白熱した。しかし、賛否両論ともに、何れも長い時間の間に繰り返し述べられてきたことであり、目新しいものでは無かった。対立は解消されないどころか、むしろ硬直化しているように映った。
議案40号は、賛成140票で少数否決され、議案18号が、189票を得て可決された。
議案19号「2011年度教団歳入歳出原予算に関する件」では、議案40号の提案者である深澤奨議員から、40号と同趣旨の「沖縄宣教連帯金」を従来通りの120万円に増額すべきという修正案が出されたが、138票で少数否決、本案が189票で可決された。4つの投票総数は、何れも330票。
その他、事前から関心が集まった議案では、鈴木功男議員提案の議案37号「伝道方策検討委員会を設置する件」は、閉会時間が迫り、上程はされたものの、審議はなされず、常議員会付託とすることが決議された。
総会前日の常議員会は、その殆どの報告議案が、総会に備えるためのものであり、総会議事に反映されている。ために、この新報総会報告号では省いているが、「靖国・天皇制問題小委員会」継続案否決については、特別に記さなければならない。
小出望宣教委員長は、委員会の継続を強く要望したが、小委員会の活動内容について、「勉強会なら自主・自弁で行えば良い」などとの批判があり、採決の結果、大差で否決された。
従来、靖国・天皇制問題を重視してきた常議員が継続に賛成しないという予測外の結果となった。
(小林信人報)